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フリーミアムとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】

2021/01/01 (更新日:2021/09/29)

この記事ではSaaSの価格体系のうちの1つ、フリーミアムについて、無料トライアルとの違い、メリット・デメリット、事例などを解説します。

フリーミアムとは

フリーミアムとは、無料プランと有料プランの2つの段階に分類し、運用する価格体系です。顧客は、基本的な機能を無料で利用できますが、機能や容量などを追加して利用する際に課金が必要になります。

フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用できることから、導入ハードルを大きく下げられます。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにすることが可能です。

フリーミアムと無料トライアルの違い

フリーミアムと無料トライアルの違いは、サービスを利用できる期間と機能です。

期間の面では、フリーミアムモデルでは無料プラン利用可能な期間に制限がないのに対して、無料トライアルでは期間が限定されます。

機能の面では、フリーミアムモデルの無料ユーザーは一部の機能しか利用できないのに対して、無料トライアルではほぼ全ての機能が利用可能です。

フリーミアムと無料トライアルのどちらが、どのサービスに向いているかは一概にはいえませんが、原価がかかり続けるサービスかが1つの重要な観点です。

サービスを利用するのに原価を必要とするサービスにおいて、フリーミアムを採用するとコストがかかり続けてしまうため、サービスの持続が困難になってしまいます。

フリーミアムの3つの制限の型

フリーミアムは、無料プランにどう制限をかけるかによって、大きく3つの型が存在しています。基本的には、この3つの型の中から選んだり、組み合わせたりすることで課金条件を設計することになります。

機能制限型

全ての機能を無料で提供せず、追加機能の実装や、既存機能の強化によって課金が発生する型です。

利用量制限型

ストレージの使用量、データの処理量に基準を設け、利用料がその基準を超えた場合に課金が発生する型です。

サポート制限型

無料プラン時に、カスタマーサポートを行わないなど、サポートリソースに制限をかける型です。

フリーミアムの注意点

フリーミアムでは先ほど述べた制限のかけ方を間違うと、顧客はいつまでも無料で利用することができてしまいます。一方、適切な制限を設けられれば、サービス利用開始から早い段階で有料化せずにはいられないという心理にさせることが可能です。

顧客がもっとサービスを利用したいと思うように設計しつつ、使えない機能が多すぎてサービスの価値が全く伝わらないということがおこらない適切なバランスの判断が重要です。

そのためには、顧客の支払意欲調査などを実施し、顧客ニーズと支払に対するモチベーションのバランスをしっかり把握することが大切になります。

フリーミアムのメリット

フリームアムのメリットは次の3点があげられます。

顧客獲得単価を下げられる

サービスが無料で始められる以上、有料のサービスと比べて、顧客のサービス導入に対する心理的ハードルは低くなります。結果的に、有料マーケティングや営業プロセスのコストを費やしすぎることがなくなります。

結果、プロダクトの品質向上により多くのリソースを投下することが可能になり、好循環が生まれやすくなります。

顧客のプロダクト理解が得られやすい

やはり資料やデモだけでは顧客のサービス理解は難しいものです。実際に、サービスを一定期間使ってもらうことで、サービス本来の価値を課金前に伝えることができるのはフリーミアム独自の魅力といえるでしょう。

共有してもらいやすい

サービスが無料で使えるため、上長の決裁承認を取る必要がなくサービスを利用できることになります。そのため、サービスを始める価値を感じたらすぐに利用するでしょう。結果、サービスの価値を確信した場合、会社全体での導入を推薦したり、知人に紹介したりする行動につながりやすくなります。

フリーミアムのデメリット

フリーミアムのデメリットは「収益化の難易度が高い」ことがあげられます。

無料プランにかける制限が甘かったり、あまり必要のない機能に制限をかけたりすると、顧客はいつまでも無料で利用することができ、本来、課金するポテンシャルがあった顧客の課金機会を逃すことになります。これではサービスの収益化をいつまでたってもすることができません。

一方で、制限がきつすぎると、サービスの価値を理解する前に解約されるリスクが高まります。これでは、収益化はおろか、事業を成長させる事は難しいでしょう。

フリーミアムを成功させるには

フリーミアムを成功させるには、顧客のニーズと支払意欲のバランスを正確に把握することが大切になります。

例えば、Chatworkのようなビジネスチャットアプリの場合、課金に対するモチベーションが寛容になるセグメントは、「従業員人数15名以上の会社だ」と把握することができれば、「従業員人数15名まで無料」という制限をかけられます。

この意思決定に必要なデータは、バリューベースプライシングを実践する過程で得ることが可能です。バリューベースプライシングに関しては、別記事で解説していますので、そちらをご覧ください。

顧客のニーズと支払意欲に対して、価値に見合った制限と適切な金額を設定すれば、低い獲得単価でリファラルが生まれやすいサイクルを構築することができるので、魅力を感じた方はぜひフリーミアムモデルを検討してみてください。

フリーミアムの事例

Slackはフリーミアムの最高の事例といえるでしょう。Slackは有料ユーザー数14万人を誇るビジネスチャットサービスです。

Slackの無料プランは、利用料制限型です。メッセージの閲覧と検索が10,000メッセージまで、ファイルストレージの容量が最大5GBまで、と制限を設けています。この上限に達すると有料プランに移行する必要があります。

導入時は、従業員規模に関わらず無料で導入できるため、大企業でも導入のハードルは限りなく低くなります。また、10,000メッセージを超える頃には、かなりのコミュニケーション履歴が蓄積されるため、相当のことがない限り、解約することを惜しまれるでしょう。かといって、メッセージコミュニケーションを突然やめる事は不可能なため、スムーズに有料化されるでしょう。

このようにいつまでも無料で使う事は不可能で、顧客にとって価値が高い条件で制限をかけることが大切になります。

余談ですがSlackでは、フリーミアム終了後、アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)に切り替わります。

アクティブユーザー課金モデルは、「顧客にとってシンプルでわかりやすい」かつ、「顧客あたりの単価を上げやすい」モデルとされています。フリーミアムで獲得単価を下げながら、アクティブユーザー課金モデルによって1顧客あたりの単価を上げていく、長期的に莫大な利益が生まれやすいプライシングストーリーが描かれています。

このように自社の成長戦略に沿って最良のプライシングを設計する事は、事業成長において非常に大きな武器となります。ぜひベストなプライシングの実践を検討してみてください。

まとめ

フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用開始できることから、導入ハードルを大きく下げられます。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにすることが可能です。

一方、設計を間違うと、収益化の難易度が格段に上がるため、注意が必要です。

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

CEO at プライシングスタジオ株式会社

プライシング専門メディア「プライスハック」を監修するなど、プライシングに関する専門知識が豊富。プライシングスタジオの全案件にて、クライアント企業の価格課題分析 及び プライシングのアドバイザリー業務を担当。コンサルティング経験としては、飲食業界のプライシングに関する長期プロジェクトに参画し、売上改善を達成。

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