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BI(ビジネスインテリジェンス)ツール業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定...

2021/05/22

この記事では、BI(ビジネスインテリジェンス)ツール業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは2 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格・料金体系の概要3 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格体系比較4 BIツールでよく使われている価格体系5 単一価格モデル5.1 概要6 複数パッケージ価格モデル6.1 概要7 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格体系に関する考察7.1 月額料金は複数パッケージ価格モデルを推奨7.2 無料トライアルを推奨8 プライシングを適正化するためには BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは BIツールとは、日々企業に蓄積されるデータを分析し、意思決定に活用することを助けるシステムです。BIは「Business Intelligence」の略語で、組織のデータを収集・蓄積・分析して可視化することで、経営上の意思決定に役立てる技術や手法を指します。 近年は「データドリブン経営」や「データドリブン・マーケティング」に注目が高まっており、BIツールは、こうしたデータを活用した経営やマーケティングを支援するツールです。BIツールは可視化・分析・計画までをツール上で可能にするため、次のような機能が備わっています。 機能 概要 レポーティング 必要なデータを抽出し、見やすいようにまとめて表示する OLAP分析 蓄積したデータを分析処理し、データの要因を深堀り特定する データマイニング 蓄積したデータに対して統計的な処理を行い、有益な情報を引き出す プランニング 過去のデータをもとに、計画のシミュレーションを行う BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格・料金体系の概要 BIツールは、主に月額制の利用料金を設定しています。その中でも「単一価格モデル」「複数価格モデル」という2つの価格体系が設定されています。さらに、無料でサービスを試用できる体系として、無料トライアルが設定されています。 SaaSの価格体系まとめ|代表例と共にメリット・デメリットを解説 SaaSにおける価格体系の特徴・メリット・デメリットを解説します。それぞれの価格体系の特徴を踏まえて、各事業者様が価格を設定する際に役に立てば幸いです。…… BIツールと似た料金体系を採用している業界には、採用管理システムやMAが挙げられます。契約した企業ごとの価格になる理由として、一部の部署でしか利用しないシステムはユーザー数が増えることが見込みにくいからです。 採用管理システム(ATS)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察 採用管理システム(ATS)業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。…… BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格体系比較 現在、公開されているBIツールの価格一覧は以下の通りです。 サービス名 月額料金 価格体系 無料 トライアル ボリューム ディスカウント Data Knowledge 500,000円〜 単一価格モデル(※1) ◯ ー Canbus 10,000円〜 複数パッケージ価格モデル ◯ ー GoodDate 40,000円〜 複数パッケージ価格モデル ◯ ー Zoho Analytics 2,700円〜 複数パッケージ価格モデル ◯ ◯ (※1)追加オプション機能は、従量課金モデル×複数価格モデル (調査日:2021年4月2日) BIツールでよく使われている価格体系 BIツールにおいては、従量課金モデルと複数パッケージ価格モデルの2種類の価格体系が採用されています。 単一価格モデル 概要 単一価格モデル(Flat rate pricing model)とは、サービスに対して料金体系が1つであるサブスクリプションモデルです。全てのユーザーに対して単一の製品・機能・価格を提供するため、SaaSの価格体系の中でも最もシンプルなものになります。例えば、ターゲットセグメントが画一的であったり、機能や価値が単一化されているシンプルなサービスで利用されます。 また、事業ニーズがあるかを仮説検証しやすいという観点から、PMFが優先されるシード(新規事業フェーズを含む)・アーリーステージなどで利用されることが多いです。 複数パッケージ価格モデル 概要 複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取ることができることから、利益を増加させることが可能です。一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるように注意が必要です。 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの価格体系に関する考察 BIツールのプライシングにあたっておすすめしたい価格体系は次のモデルです。 月額料金は複数パッケージ価格モデルを推奨 BIツールには、複数パッケージ価格モデルが推奨されます。複数パッケージ価格モデルは、複数の価格帯で提供することで、複数の顧客セグメントに対してのニーズを満たすことが可能です。例えば、個人向けのサービスであれば、ユーザーの利用頻度や利用量、法人向けのサービスであれば、大企業か中小企業かで、セグメントごとに価値と合う価格で提供できます。 また、貯めるデータ数が多いほど利用価値が高まるため、データ数や連携できるシステム数の上限をパッケージの区分とするのが推奨されます。 複数パッケージ価格モデルとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】 複数パッケージ価格モデルは2つ以上の料金プランを提供する価格体系です。複数のプランを用意することで、顧客のニーズに応じた料金を提示することができるため、SaaSの中でも主要な価格体系になります。…… 無料トライアルを推奨 無料トライアルを採用している企業が多く、無料トライアルを提供している企業に潜在的な顧客が流れてしまう恐れがあります。業界で確固たる地位がない限り、無料トライアルでまずは使ってもらうようにすることが大切でしょう。 無料トライアルとよく混同されるフリーミアムですが、BIツールにおけてフリーミアムは相性が悪いです。フリーミアムは、基本的な機能を無料で利用できるものの、機能や容量などを追加して利用する際に課金が発生します。多岐にわたる分析の過程で適切に制限をかけることは難しく、価値を正しく理解されない場合が多いためです。 フリーミアムとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】 SaaSの価格体系のうちの1つ、フリーミアムについて、無料トライアルとの違い、メリット・デメリット、事例などを解説します。…… プライシングを適正化するためには ここまで、BIツールに最適な価格体系について考察してきました。最適なプライシングは、大きく3つの要素から決まります。 ①顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか(ある機能、ユーザー体験、外部ツール連携など)、顧客セグメント(SMB、エンタープライズなど)によって支払意欲は大きく変わります。どんな顧客の課題を解決するために生まれたプロダクトか、現在の顧客はどのような属性かといった内容をプライシングに反映させる必要があります。 ②競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。SaaSにとっては、同じSaaSの競合の他、買い切りソフトウェアや代替サービスも競合となるので注意が必要です。 ③コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。SaaSにとっては、開発コストの他、カスタマーサクセスのコストを検討する必要があります。 これらの要素は、絶えず行われる機能アップデートや、大型ファイナンスによる積極的なマーケティング、組織拡大などから日々変化します。理想は四半期に一度、少なくとも半期に一度は、価格改定をするべきです。米国では約40%のSaaSスタートアップが少なくとも半期毎に価格を見直しているというデータもあります。 今こそ見直すSaaSのプライシング戦略 価格調査分析から決め方まで徹底解説 SaaSプライシングの要点を解説したセミナーが開催 SaaS/サブスクビジネスにおける価格戦略は、事業成長に影響する非常に重要な要素である一方で、設定や適正化、タイミングが難しい。こうした問題に頭を…… 社内で画一化された分析手法を確立し、迅速な意思決定ができる体制を構築する必要があるでしょう。それには、プライシング分析の専任者を採用するか、プライシングの分析ツールを導入するのが最も効果的です。実際のところ、国内スタートアップでは、まだまだ価格分析におけるアプローチが浸透していないのが現状で、専任者の採用は困難を極めます。費用的にも圧倒的にお得なPricing Sprintなどのプライシングの分析ツールが最も手軽なアプローチといえるでしょう。 戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、無料ホワイトペーパーをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。

プライシング戦略とは?事業に適した価格設定の基本

2021/01/25

この記事では、事業に適したプライシング戦略について解説します。 プライシング戦略として、値下げ戦略、値上げ戦略などの各論の戦略も重要ですが、この記事ではより包括的に事業に適した価格を決めるプライシング戦略についてご紹介します。 プライシング戦略とは?2 価格の3観点(3C)と事業特性に合わせたプライシング3 事業ステージに応じた価格戦略3.1 問題児:成長率高・シェア低3.2 花形:成長率高・シェア高3.3 金のなる木:成長率低・シェア高3.4 負け犬:成長率低・シェア低4 事業による価格の変更サイクル4.1 短期サイクルの価格変更4.2 長期サイクルの価格変更5 まとめ プライシング戦略とは? 事業にとっての価格と聞いて何を思いつくでしょうか? 「お客様からいただく対価」であったり、「マーケティングミックス(4P)の一つの重要な要素」であったり価格は様々な面で重要な要素ですが、私たちは価格を事業において最も重要な礎と考えています。 なぜなら、価格によって事業が収益化できるかが決まるからです。収益化できれば、より事業投資を加速させ、事業成長できますが、収益化の見込みがつかなければ投資ができず事業成長は鈍化していきます。 事業を通じて顧客へ価値提供を行う観点からも、事業に投資し、成長させることは必要不可欠であり、そのための収益化を決定づけるものこそが価格なのです。 そのため事業成長のためには、事業に合った適切な価格戦略が必要になります。 価格の3観点(3C)と事業特性に合わせたプライシング 事業に適した価格戦略を考えるために、まず価格決定で重要な3観点について説明します。 価格を決める際、考慮すべきことは、コスト(Cost)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つの観点(3C)です。 コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。 競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。 顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか顧客セグメントによって支払意欲は変わるかを把握します。 どれか1つだけで価格を決めるわけでなく、3つの観点(3C)を考慮して複合的に価格決定することが理想的なプライシングになります。 一方、3観点のうち何を起点に考えるかに応じてプライシングの手法が変わります。 コスト⇒コストベースプライシング:コストを起点に一定の利益/利益率を乗せて価格設定する方法 競合⇒競合ベースプライシング:競合価格を起点に価格設定する方法 顧客⇒バリューベースプライシング:顧客の支払意欲を起点に価格設定する方法 顧客の購入起点で、売り手と買い手の関係は始まるので、一部の場合を除き顧客起点のバリュープライシングから始めることが、どのような事業においても有効となります。またバリューベースプライシングは他のプライシングと異なり、顧客の購入可否を予想できるため、理想的な状態での販売数、売上の推計を行うことができ、計画性をもった事業運営が可能になります。 では、バリューベースプライシングが有効でない一部の場合とはどのような時でしょうか、それは下記のようなケースです。 製品カテゴリに差別化要因がない 差別化要因のない製品カテゴリでは、廉価なものが顧客に選考されるため競合ベースの価格設定が有効となります。 商習慣により該当製品群の平均売価が顧客の知覚価値より高い コストベースの価格設定を業界全体で行っており*、実際の売価が顧客の知覚価値より高い場合(売価>知覚価値)は、バリューベースの価格設定は単価の引き下げを生み、売上を毀損することが考えられます。 *業界内で競争回避のために意思の連絡を行い価格設定を行うことは、独占禁止法の不当な取引制限で禁止されています。 上記の場合には、バリュープライシング以外が起点の観点となるため、自社の事業内容を3つの観点(3C)で整理し、自社の事業に合ったプライシングの注力観点を見定める必要があります。 バリューベースプライシングとは|顧客価値に基づいた価格設定・価格戦略をおすすめする理由 顧客の価値にもとづいて価格を設定する、バリューベースプライシングについて、定義・採用すべき理由・気をつける点・実行方法を解説します。…… 事業ステージに応じた価格戦略 注力すべきプライシング観点が把握できても、取り得る価格は複数存在します。売上/利益が最大化する価格、顧客が最も増える価格、もしくはブランド価値を高めるための価格という選択肢もあります。 現在の事業状態と事業目標に照らして合目的な価格設定を選択する必要があります。 ここでは事業ステージごとの価格の選択で最も基本的な売上/利益、顧客獲得のどちらを優先すべきかについてを、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)に沿って検討する方法をご紹介します。 プロダクトポートフォリオマネジメントは、「市場成長性」と「市場における相対シェア」の2つを軸にした4象限に事業をプロットする手法です。 各象限で取りうる価格戦略を判断することができます。 問題児:成長率高・シェア低 自社の事業が成長率高・シェア低の問題児の場合、この事業は成長市場なのでシェアをより獲得していくべきステージです。この場合、価格設定は顧客最大となる価格をつける戦略が有効です。 花形:成長率高・シェア高 自社の事業が成長率高・シェア高の花形の場合、この事業は参入障壁を作るステージです。 この場合、取り得る価格は顧客最大価格・利益最大価格の2つが考えられます。 まず、顧客最大となる価格を設定し、顧客数を囲い込み販売数をあげることで製品一つあたりのコスト効率を高め参入障壁を築く戦略です。 もしくは利益最大価格をつけることで得た収益を、製品投資し差別化要因を強化して参入障壁を築く戦略もあり得ます。花形事業は、自社の事業戦略上どちらで参入障壁を作るかを決定し、顧客最大か利益最大かを選択することができます。 金のなる木:成長率低・シェア高 自社の事業が成長率低・シェア高の金のなる木の場合、この事業は収益回収のステージです。利益最大の価格設定を行い、他事業に投資するための資金回収を行う戦略が有効です。 負け犬:成長率低・シェア低 自社の事業が成長率低・シェア低の負け犬の場合、この事業は撤退・放置のステージです。 価格変更インパクトが価格変更のリスクとコストに見合わないため、価格は現状維持が推奨されますが、自社の別の製品に対してシェアの奪い合い(カニバリズム)が発生している場合には、価格変更を行い他事業への負の影響をなくすことが推奨されます。 このように事業ステージに合わせて、価格設定を行うことで事業戦略と合目的の価格設定を行うことができます。価格決定でもちいる顧客最大価格、売上/利益最大価格については、仮説から試算することもできますが、バリュープライシングで顧客調査を行い、テスト実施することでより根拠をもった意思決定を行うことができるようになります。 PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順 最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。…… 事業による価格の変更サイクル 価格の変更サイクルは、日頃の値引き、値上げなどの短期サイクルのものと長期サイクルの基本価格の変更に分けられます。 短期サイクルの価格変更 短期サイクルの価格変更は、明示的には特に在庫がある業界で用いられます。在庫があまりそうな場合、値引きを行うなどが行われます。非明示的なものとしては、B2Bビジネスで顧客ごとに値引きを行う場合も、短期での価格変更と考えることができます。 どちらの場合も、値引き及び値上げのルールを作成しておき、ルールに沿った運用を行うことが大切です。在庫がある事業の短期の価格変更の運用を円滑に回すものとして価格監視ツールや、自動価格設定ツールや需要を予測して価格変更を自動で行うダイナミックプライシングがあるのでこういったものを利用することで設定されたルールを確実に遂行することができます。 長期サイクルの価格変更 長期サイクルの価格変更は、年間で1、2回の基本価格の見直しです。この際は、事業ステージの応じた価格戦略の選択を再度行います。事業ステージが変わらず現状価格維持が最も適している場合もありますが、定期的に支払意欲調査を行い、顧客最大価格、売上/利益最大価格に変化がないかを定点観測していくことで事業環境の変化から最適な価格戦略を実施できるようになり、価格がコントロールできるものになります。 まとめ この記事では、事業に適した価格戦略を行うための方法についてご案内しました。 まず、プライシングにおいて重要な3観点(3C)を踏まえた上で、自社の事業に合わせたプライングを選択することが大切です。次に事業ステージに合わせた価格戦略を選択し、価格の運用ルールを定め実行していくことが推奨されます。最後に定点的に支払意欲を観測していくことで、価格改定をサイクルさせコントロールできるものにする方法についてご紹介しました。 皆様の事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライスハックまでよろしくお願いします。

バリューベースプライシングとは|顧客価値に基づいた価格設定・価格戦略をおすす...

2021/01/25

顧客の価値にもとづいて価格を設定する、バリューベースプライシングについて、定義・採用すべき理由・気をつける点・実行方法を解説します。 バリューベースプライシングとは2 バリューベースプライシングをすべき企業3 バリューベースプライシングのを採用すべき理由3.1 商品・サービスに対しての正しい利益を得られる3.2 顧客価値起点の製品・サービスの改善3.3 効果的な価格戦略を構築できる4 バリューベースプライシングで気をつけるべき点4.1 専門的な知識と十分なデータが必要になる4.2 継続的な実行の必要性5 バリューベースプライシングの実行方法5.1 顧客セグメントを定義する5.2 顧客価値を仮定する5.3 顧客調査を実施する5.4 価格を設定する6 まとめ バリューベースプライシングとは バリューベースプライシングとは、顧客が商品・サービスに感じている価値に基づいて価格を設定することです。 バリューベースプライシングにより、商品・サービスの価格を原価や競合の価格にとらわれずに、値段を決められます。 バリューベースプライシングをすべき企業 顧客の購入起点で、売り手と買い手の関係は始まるので、一部の場合を除き顧客起点のバリュープライシングから始めることが、どのような事業においても有効です。 また、バリューベースプライシングは他のプライシングと異なり、調査を行うことで顧客の購入可否を予想できるため、理想的な状態での販売数、売上の推計をおこなうことができ、計画性をもった事業運営が可能になります。 一方、バリューベースプライシングが有効でない一部の場合とはどのような時でしょうか、それは下記のようなケースです。 ・製品カテゴリに差別化要因がない 差別化要因のない製品カテゴリでは、廉価なものが顧客に選考されるため競合ベースの価格設定が有効となります。 ・商習慣により該当製品群の平均売価が顧客の知覚価値より高い コストベースの価格設定を業界全体で行っており*、実際の売価が顧客の知覚価値より高い場合(売価>知覚価値)は、バリューベースの価格設定は単価の引き下げを生み、売上を毀損することが考えられます。 *業界内で「競争回避のための、意思の連絡」を行い価格設定を行うことは、独占禁止法の不当な取引制限で禁止されています。 バリューベースプライシングのを採用すべき理由 バリューベースプライシングの採用すべき理由は次の3点があげられます。 商品・サービスに対しての正しい利益を得られる バリューベースプライシングでは、自社の顧客の支払意欲に基づいた価格設定を行うため、顧客にとって高すぎて検討に乗らない価格を設定することや、顧客にとって安すぎて品質が低いと感じる価格が設定されることが減り、商品・サービスに対しての適切な対価を得られるようになります。 また、商品・サービスの開発・改善を繰り替えし、顧客が感じている価値が上昇した場合、それに応じた値上げも可能です。 例として東京ディズニーランドは開園以来、顧客の価格に対する感度を参考に10回以上の価格改定を行っていますが、顧客価値が向上しているため値上げが可能になっている考えられます。 顧客価値起点の製品・サービスの改善 バリューベースプライシングは価格に顧客価値という観点が入るため、顧客価値を満たす製品・サービス開発をおこなえます。 顧客価値のある製品・サービス特性を把握することで、より強みを強化する製品・サービス改善が可能になるだけでなく、バリュープライシングの調査で明らかになった顧客の支払意欲と現在の製品にギャップがある場合においても、それを埋めるためのサービス改善を行うことが可能になります。 結果として顧客満足度をあげることができ、長期的な顧客との関係性を作ることが可能です。 効果的な価格戦略を構築できる バリューベースプライシングの最大の利点は、顧客の支払意欲の把握により、価格変更による顧客数の変化を推定できることになります。 価格変更による顧客数の変化を推定することで、事業戦略上必要な顧客の離脱を起こす価格改定を避けることができ、戦略的な価格戦略を実行できます。 バリューベースプライシングで気をつけるべき点 バリューベースプライシングは、顧客の感じる価値に基づいて価格設定がおこなえますが、実行フェイズにおいては2点の注意が必要になります。 専門的な知識と十分なデータが必要になる バリューベースプライシングを実際におこなうためには、それに対応した専門的な知識と十分なデータが必要になります。特に、顧客の価値を価格として表すために、顧客調査を行うには価格と調査に対する専門性と時間を要します。 このことから、多くの企業は原価に基づいた価格設定や競合他社ベースの価格設定を採択しているのが現状です。 PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順 最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。…… 継続的な実行の必要性 バリューベースプライシングによる価格設定は、顧客が感じている価値を価格として反映させたものになります。事業活動による改善、ターゲット・市場の変化で、顧客が感じる価値は変動します。 そのため、1度だけ設定したら終わりでなく、継続的に顧客の価値を調査し価格設定をし続けることで、継続的に顧客価値を反映した価格設定が重要になります。 バリューベースプライシングの実行方法 バリューベースプライシングは、価値を勘案して価格設定することですが、より確度の高い事業運営を行うために、顧客調査を行うバリュープライシングの実行方法をご紹介します。 顧客セグメントを定義する 製品・サービスに感じる価値は、顧客セグメントごとに異なります。 顧客調査を実行する前段階として自社の製品・サービスを利用する顧客セグメントを仮定することが必要です。 顧客価値を仮定する 自社の製品・サービスに対して、顧客セグメントごとに価値を感じているであろうポイントを仮定します。 調査の前段階として価値を仮定することで、顧客調査の段階で価値と支払意欲の関係性を把握することができるようになります。 顧客調査を実施する 顧客セグメントとセグメントごとの価値を仮定できたら、PSM分析などの支払意欲を調査する手法を用いて顧客調査を実施します。 調査段階では、誰に何を調査するかの調査設計が必要になります。 他の調査と比較してバリューベースプライシングの調査の特徴として、価値を定量化するために価値を想定できる状態の対象に調査をおこなう点があげられます。 自社の顧客に対して調査をおこなうか、自社製品・サービスを調査の前段階として伝えるなどの工夫が必要です。 価格を設定する 顧客セグメントに対して得られた支払意欲のデータをもとに価格を設定します。 顧客調査による支払意欲の把握により、価格変更によって生まれる顧客増減、売上増減を推計できるため、事業目的に合わせて顧客最大化、売上最大化の価格を選択します。 ここで、適切な調査が実施できている場合は、価格変更によりどういった属性の顧客が離脱するかもしくは増えるかといったこともわかるため、事業戦略と相反していないかの確認もここでおこない、事業戦略に適した価格設定を決定します。 事業戦略に適した価格設定については、こちらの記事もお読みください。 プライシング戦略とは?事業に適した価格設定の基本 価格戦略(プライシング)の重要性・様々な価格戦略について解説します。商品を最適な価格に設定することは、商品の利益を上げるための有効な手段です。…… SaaSプライシング戦略|SaaS事業に適した価格戦略 SaaS業界でプライシングが注目されているわけ 近年、SaaS業界におけるプライシングに対する注目度は、他の業界と比べ異常なほど高いです。理由は簡単で、海外VCを中心にプライシングの重要性、その効果…… まとめ バリューベースプライシングは、顧客の価値に基づいて価格を設定することです。 顧客価値に応じて価格を設定することは、よりよいサービス改善や効果的な価格戦略に繋がります。 バリューベースプライシングを行なった価格戦略が自社の商品・サービスに適しているか相談したい事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順

2021/01/24

PSM分析とはどのような分析手法なのでしょうか。この記事では、最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。 PSM分析(価格感応度分析)とは2 なぜ支払い意欲を調査すべきなのか3 PSM分析と他の調査手法との比較4 PSM分析の方法・手順4.1 ステップ1.アンケート調査4.2 ステップ2.可視化5 PSM分析の不足点5.1 交点の取り扱い6 Pricing Sprintとは?7 まとめ PSM分析(価格感応度分析)とは PSM分析(価格感応度分析)とは、バリューベースの価格設定を実現するために、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法です。1976年にオランダの経済学者VanWestendorpによって開発されたことから、PSM分析は「Van Westendorpモデル」と言われることもあります。 PSM分析を応用することで、商品・サービスがどの程度の価格なら最も顧客に受け入れられるかを把握でき、売り上げや顧客数を最大化できる価格を試算できます。 また私(高橋)が執筆したnoteでは、日本国内向けサービスの料金変更を行ったネットフリックス(Netflix)の事例を取り上げて解説しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。 なぜ支払い意欲を調査すべきなのか 顧客に対して支払い意欲を調査することで、根拠をもって価格設定ができるようになります。 価格設定は、事業成功のために重要な要因ですが、多くの事業で価格設定の確信を持つことができません。いくらなら顧客が購買するかの予測ができず、見当による価格設定となってしまうためです。特に自社の製品が他社の製品と類似でなく革新的な価値を持つ製品であればあるほど、価格設定は困難になります。 PSM分析と他の調査手法との比較 支払意欲の調査で最も一般的な方法は、潜在的な購入者に、製品に支払う金額を聞くことです。これは直接質問法と呼ばれ、簡単に実行することができますが、いくつかの欠点があり支払意欲調査として不足です。 購買可能な金額は点ではなくレンジであり、単一な価格を聞くことでは勘案しきれません。 また、直接質問では、潜在的な購入者が実際の支払意欲よりも低い価格で回答が集まると言われています。これは、基本的に購入者が企業に対して、価格を下げるように交渉したい心理が働くためです。 PSM分析では、直接質問と異なり、間接的な質問を複数おこなうため、間接的に支払意欲を測定し、バイアスの少ないレンジを持った支払意欲を測定することができます。 PSM分析の方法・手順 一般的なPSM分析の手順は、次の2段階のステップでおこなわれます。 1.アンケート調査 2.可視化 ステップ1.アンケート調査 PSM分析では、アンケートを通じて、実際に顧客が製品・サービスに対して、どれほどの支払意欲を持っているのかを調べます。 PSM分析で実際に使用されるアンケート項目は次の4つです。 PSM分析のアンケート項目 その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか? 直接的に購入したい価格を尋ねるのではなく、製品・サービスの価格に対する顧客の感覚を把握します。 ステップ2.可視化 次に、価格調査の結果を集計し、以下のようにグラフに回答者を累積してプロットします。 X軸が価格を、Y軸が当てはまる顧客の割合をあらわします。 価格が上がると、「安すぎて品質が低い」「安く感じる」と思う顧客が減り、「高すぎて検討に乗らない」「高く感じる」と思う顧客が増えます。 価格設定の参考となる4つの交点がわかります。 ・最適価格 最も価格拒否感がないと見られる価格 ・妥協価格 高い・安いの評価が分かれる価格 ・上限価格 これ以上高くなると、消費者の購入されなくなると見られる価格 ・下限価格 これ以上安くなると、消費者が「品質が悪いのではないかと不安になる」と感じる価格さ 交点の価格を参考にすることで、価格設定に目安をつけることができます。 PSM分析の不足点 ここまで一般的なPSM分析について説明しましたが、実際の価格設定では、PSM分析だけだと不足な点もあります。 交点の取り扱い PSM分析の交点はわかりやすい反面、正確性にかけるという欠点があります。実際には上限価格以上でも購入が検討に乗る人はいますし、同様に下限価格以下でも品質が悪いと思わない人が存在します。 最適価格に関しても、本来顧客が最大化する価格は安すぎて品質が低いと思う人と高すぎて検討に乗らないと思う人が最小となる価格で、必ずしも交点と一致しません。 PSMで収集したデータをプロットするだけでなく、集計して価格ごとの購買人数を推計した方が正確な結果となります。 Pricing Sprintとは? プライシングスタジオでは、PSM分析をもとに価格戦略の策定を提供するサービス「Pricing Sprint」を提供しています。 Pricing Sprintでは、PSM分析で顧客の支払意欲を把握するだけでなく、支払意欲をもとに顧客数、売上のシミュレーションをおこなえます。価格決定で重要な価格戦略の策定や価格策定サイクルの定着も専属のコンサルタントが伴走しますので、価格に課題を抱える企業の皆様ごとに最適なサービスを提供します。 「Pricing Sprint」サービスページはこちら まとめ PSM分析は、製品・サービスの適正価格を導くために用いられる分析手法です。顧客のアンケートにもとづき適切な価格を導くため、顧客価値から価格を算出可能です。バリューベースの価格設定を実現したい事業者様は、まずはお気軽に、プライスハックにお問い合わせください。

SaaSの価格体系まとめ|代表例と共にメリット・デメリットを解説

2021/01/23

SaaSにおける価格体系の特徴・メリット・デメリットを代表例を挙げながら、解説します。それぞれの価格体系の特徴を踏まえて、各事業者様が価格を設定する際に役に立てば幸いです。 今さら聞けないSaaSとは?1.1 SaaSの4つの代表的な価格体系2 1. 単一価格モデル3 2. 複数パッケージ価格モデル3.1 1.段階的なユーザーモデル(Tiered user model)3.2 2.段階的なストレージモデル(Tiered storage model)3.3 3.機能別モデル(Feature based model)4 3. 従量課金制4.1 1.使用量課金4.2 Datadog(データドッグ)4.3 2.成果報酬型4.4 BIZREACH(ビズリーチ)4.5 3.ユーザー課金4.6 Salesforce(セールスフォース)4.7 4.アクティブユーザー課金4.8 Slack(スラック)5 4. フリーミアム6 まとめ 今さら聞けないSaaSとは? SaaS(Software as a Service)とは、電子メールやカレンダー、スケジュール管理、ドキュメント作成、人事・給与・勤怠・労務管理、プロジェクト管理などのアプリケーションをインターネット経由で提供するサービスです。完全無料のSaaSもありますが、多くの場合ユーザーは利用料を支払って利用します。 では、SaaSには実際にどのような価格体系が存在するのでしょうか。 SaaSの4つの代表的な価格体系 SaaSの価格体系は基本的にサブスクリプションになっており、中でも4種類の価格体系に分類されます。それは、 ・単一価格モデル ・複数パッケージ価格モデル ・従量課金モデル ・フリーミアム の4つです。 事業を成長させるためにも価格体系を把握しておくことはとても重要です。次はそれぞれの料金モデルについて詳しく解説していきます。 1. 単一価格モデル 単一価格モデル(Flat rate pricing model)は、サービスに対して料金体系が1つである価格体系です。 全てのユーザーに対して単一の製品・機能・価格を提供するため、SaaSの価格体系の中でも最もシンプルなものになります。 例えば、ターゲットセグメントが画一的であったり、機能や価値が単一化されているシンプルなサービスで利用されます。また、事業ニーズがあるかを仮説検証しやすいという観点から、PMFが優先されるシード(新規事業フェーズを含む)・アーリーステージなどで利用されることが多いです。 一方で、幅の広い顧客層のニーズに1つのプランで応えるということは難しく、SaaSの価格体系としてあまり多くは見受けられません。 メリット シンプルでわかりやすい 事業ニーズがあるかを仮説検証しやすい デメリット 幅広いユーザーのニーズに応えることが困難 売上の向上が困難 単一価格モデルとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】 この記事では、SaaSの価格体系のうちの1つの「単一価格モデル」について解説します。単一価格モデルは、シンプルな価格体系であるため、顧客に伝えやすく販売しやすいというメリットがある反面、顧客のニーズに…… 2. 複数パッケージ価格モデル 複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。 また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取ることができることから、利益を増加させることが可能です。 一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるように注意が必要です。 メリット 幅広いニーズに対応できる 利益増につながる デメリット 顧客ニーズに合致した価格設定のバランスが難しい 複数パッケージ価格モデルの種類を紹介します。 1.段階的なユーザーモデル(Tiered user model) 段階的なユーザーモデル(Tiered user model)とは、利用できるユーザー数の違いによって、価格を複数設定するモデルです。利用機能に違いを作りにくいが、1社で利用する人数が多いサービスで設定される場合が多いです。 2.段階的なストレージモデル(Tiered storage model) 段階的なストレージモデル(Tiered storage model)とは、利用できるストレージの量にもとづき、価格を複数設定するモデルです。ストレージサービスなど、使用可能な量に沿って利用価値が上がるサービスに多い価格体系です。 3.機能別モデル(Feature based model) 機能別モデル(Feature based model)とは、顧客が利用可能な機能に応じて、複数の料金プランを設定するモデルです。顧客のペルソナと必要とされる機能の把握ができていると設定しやすく、使用できる機能の数が多くなるほど価格は高くなります。 複数パッケージ価格モデルとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】 複数パッケージ価格モデルは2つ以上の料金プランを提供する価格体系です。複数のプランを用意することで、顧客のニーズに応じた料金を提示することができるため、SaaSの中でも主要な価格体系になります。…… 3. 従量課金制 従量課金制は、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。 ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすくなります。また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。 一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。 メリット 顧客の納得を得やすい 収益を最大化させやすい デメリット 前払いをしてもらえない 事前に収益予測ができない 利用を控えられる可能性がある 従量課金制とは?料金モデルの仕組み・メリット・デメリット【SaaS価格体系】 従量課金制は「使った分だけお金を払う」価格体系です。プライシングの理論でいうと、最も収益性が高く考えられるビジネスモデルです。今回は従量課金制のメリット・デメリット・種類を紹介します。…… 従量課金制の種類を紹介します。 1.使用量課金 使用量課金は、特定の機能を利用した回数や保存できるデータの量、アクセスできるストレージの量など、サービスの何かを利用・アクセスした量に応じて課金されるモデルです。 Datadog(データドッグ) 使用量課金型の従量課金モデルの代表例として、監視アプリケーションサービスを提供するデータドッグが挙げられます。 次の画像のようにデータドッグが提供するリアルユーザーモニタリングのサービスでは1マンセッションごとに課金される仕組みになっています。 (出典:Datadog) 2.成果報酬型 成果報酬型は、成果が発生した場合に課金されるモデルです。例えば、採用媒体で人材を獲得した場合に課金が発生する場合はこれに該当します。 月額利用料に加えて成果報酬が発生するサービスもあれば、月額利用料はなく成果報酬のみ発生するサービスもあります。 BIZREACH(ビズリーチ) 成果報酬型の従量課金モデルとして転職支援サービスを提供するビズリーチが挙げられます。 ビズリーチではシステム利用料に加えて、入社した際の成功報酬が発生します。 (出典:ビズリーチ) 3.ユーザー課金 ユーザー数課金は、顧客企業に付与したアカウントの数に応じて単価が上がるモデルです。顧客の利用アカウント数が増える度に、自動で単価が増加するため、追加営業やパッケージの変更なく売上を増加させることが可能になり、使い方次第では非常に強力な収益増加のドライバーになります。 Salesforce(セールスフォース) ユーザー課金型の従量課金モデルを用いている企業の代表例として、顧客管理クラウドで有名なセールスフォースが挙げられます。 セールスフォースでは次の画像のように、価格表には1ユーザーごとの金額が表示されており、サービスを使う使うユーザーの数によって金額が変わるのです。(出典:Salesforce) ユーザー課金モデル(Per User Pricing)とは|メリット・向いている企業【SaaS価格体系】 SaaSの価格体系の従量課金制のなかで利用されるユーザー課金モデル(Per User Pricing)について紹介します。…… 4.アクティブユーザー課金 ユーザー課金モデルの場合は、サービスの利用状況に関わらず料金が発生する一方、アクティブユーザー課金モデル(Per active user pricing)は、サービスを利用していないアカウントには料金が発生せず、過去のログイン履歴などを参照し、サービスを利用しているアカウント数のみに料金が発生するモデルです。 ユーザー課金よりも単価を抑えやすいぶん、顧客に好まれやすいというメリットがある反面、収益や業務内容、コスト面で様々な懸念点があるため、自社の状況をしっかりと鑑みて実施することが望ましくなります。 Slack(スラック) アクティブユーザー課金型の従量課金モデルを用いているサービスとして、ビジネス用メッセージングアプリのスラックが挙げられます。 実際は次の画像のようにアクティブユーザーの数が全体の金額に換算されます。(出典:Slack) スラックでは自社サイト上にて次のように表記しています。 「企業向けソフトウェアの料金プランではほとんどの場合、チームのユーザー数をもとに請求が行われ、ソフトウェアを実際に使用しているユーザー数は考慮されません。しかし、Slack では実際に利用した分のみの料金が請求されるので、Slack を使用していないメンバー分の料金を支払うことはありません。」 (出典:Slack help center) アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)とは|メリット・デメリット・向いているサービス【SaaS価格体系】 SaaSの価格体系の従量課金制のなかで利用されるアクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)について紹介します。…… 4. フリーミアム フリーミアムとは、無料プランと有料プランの2つの段階に分類し、運用する価格体系です。顧客は、基本的な機能を無料で利用できますが、機能や容量などを追加して利用する際に課金が必要になります。 フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用できることから、導入ハードルを大きく下げることが可能です。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにできます。 一方、設計を間違うと、収益化の難易度が格段に上がるため、注意が必要です。また、カスタマイズ性が高く、カスタマーサクセス工数が多くかかるようなサービスでは、採算が合わず、適応は難しくなります。 メリット 顧客獲得が容易 サービス理解が促進されやすい 有料化が必要なタイミングに、やめにくくなっている デメリット 収益化の難易度が高い カスタマイズ性が高いサービスでは、採算が合わない フリーミアムとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】 SaaSの価格体系のうちの1つ、フリーミアムについて、無料トライアルとの違い、メリット・デメリット、事例などを解説します。…… まとめ SaaSの価格体系として、単一価格モデル・複数パッケージ価格・従量課金制・フリーミアムを紹介しました。 価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

サブスクリプションとは?導入メリット・ビジネスの成功事例

2021/01/22

サブスクリプションは、近年拡大しているビジネスモデルです。この記事では、サブスクリプションとは何かを売り切りモデルと比較し、メリット・代表企業を紹介します。 サブスクリプションとは2 サブスクリプションのメリット2.1 顧客のメリット2.2 企業のメリット3 サブスクリプションを取り入れて作られたサービス3.1 Salesforce3.2 AWS(Amazon Web Service)3.3 air Closet3.4 タイムズカーシェア3.5 テーラードカフェ4 サブスクリプションに移行した事例4.1 Apple4.2 Adobe4.3 Microsoft5 まとめ サブスクリプションとは サブスクリプションとは、商品やサービスの使用権を定期購入するビジネスモデルです。単発的に購入してもらう「売り切りモデル」と比較されます。 売り切りモデルと比較すると、顧客との長期的な関係が築けるため、顧客データが集まりやすい、収益が安定するなどのメリットがあります。 有名なサブスクリプションの事例として、「Netflix」などの動画配信サービス、「Spotify」に代表される音楽配信サービスがあげられます。さらに近年は、お菓子やコーヒー、車などの実商品や、企業向けサービスにもサブスクリプションは適用されています。 サブスクリプションのメリット サブスクリプションのメリットを顧客視点、企業視点から解説します。 顧客のメリット サブスクリプションサービスを利用するメリットは次の3点です! ・消費の選択肢の増加 テクノロジーの発達とサブスクリプションの普及により、消費者はモノを所有・消費するという考え方だけでなく、体験を享受する「コト消費」という選択肢も持つようになりました。 契約期間内のみで「コト消費」のできるサブスクリプションは、消費者にとって合理的なビジネスモデルです。   ・コストパフォーマンスが良い 動画・音楽などのストリーミングであげられるような使い放題型のサブスクリプションサービスでは、月額料金を払うことで期間内にサービスを無制限に楽しめます。そのため、売り切りモデルの商品を都度購入するよりもコストパフォーマンスが良いです。 ・手厚いサポート サブスクリプションサービスは、顧客の継続率が非常に重要であるため、顧客の課題を積極的に解決しようとします。売り切り型ビジネスの購入後のサポートに比べて、サブスクリプションサービスでのサポートは、問題対応のスピードや手厚さが優れていることが多いです。 企業のメリット 「長期契約をねらう」サブスクリプションの特性から生まれる、サブスクリプションのメリットは次の3点です。 ・継続的な収益が見込める サブスクリプションは、顧客に定額でかつ継続的に課金してもらうことで、収益に持続性があるビジネスモデルです。そのため、一度サービスが確立すると、安定的な収益構造を構築できます。 ・顧客データやフィードバックにもとづく商品開発 サブスクリプションでは、売り切りモデルよりも、顧客との接点が多くなり、顧客データを多く得られます。そのため、顧客のニーズに沿ったサービス改善をおこなうことが可能です。 ・新規顧客を獲得しやすい サブスクリプションは、売り切りモデルと比較して、導入時のコストを安くすることが可能です。そのため、顧客は気軽に導入でき、新規顧客の獲得につながります。 サブスクリプションを取り入れて作られたサービス サブスクリプションモデルを導入し、開始したサービスを紹介します。 Salesforce Salesforceは、クラウド型のビジネスアプリケーションで、顧客管理(CRM)を中心に、目的に合わせて複数の製品を組み合わせて使えるプラットフォームです。 CEOのベニオフ氏は売り切りモデルのソフトウェアを販売していたオラクルで、「このサービスをオンデマンド(ソフトウェアを内製化するのではなく、外部のソフトウェアを好きな時に利用できる仕組み)化できないか」と考えて、SaaSとして、Salesforceを販売し始めました。 そのため、SalesforceのSaaSにおけるサブスクリプションモデルは、その後のソフトウェア事業のスタンダードになっていきました。 AWS(Amazon Web Service) AWS(Amazon Web Service)は、従量課金モデルのサブスクリプションを採用しているサービスです。 IaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれる、企業向けにオンラインインフラを提供するサービスなのですが、その特徴として、サービス提供開始当初から従量課金モデルで展開していることがあげられます。 安く始めることができ、利用拡大したら課金し、使わなくなったら課金しない従量課金により、AWSはインフラとしてさまざまな企業や個人に利用されるようになりました。 air Closet air Closetは2015年に開始された洋服レンタルサービスです。月額定額課金で、洋服レンタルに加えてプロのスタイリストのコーディネート提案を受けることができます。 また、サブスクリプションのメリットである「顧客データやフィードバックにもとづく商品開発」を実践している企業でもあり、コーディネート提案に対するコメントや感想を蓄積していき、それをもとに顧客が求めるコーディネートができるように改善しています。 タイムズカーシェア タイムズカーシェアは、パーキング「Times」で有名なパーク24が手がけるカーシェアサービスです。課金モデルは、超過従量課金制モデルとなっており、月額880円を支払った上で、880円分は無料で使え、それ以上の利用は利用時間単位で支払います。 各地の駐車場などの「ステーション」から気軽に利用できることに加え、より日常の中での利用を促すという点から、既存のレンタカーとは差別化されています。 テーラードカフェ カフェ業界にも、サブスクリプションは取り入れられ始めています。2020年開店のテイラードカフェはその1つで、開店当初から、月額3,800円で1杯400円のコーヒーが飲み放題になるというサブスクリプションモデルを取り入れています。 サブスクリプションに移行した事例 売り切りモデルからサブスクリプションへと移行した代表例を3社紹介します。 Apple Appleは、2003年に発表された世界一の音楽販売プラットフォーム「iTunes」を展開していました。 サブスクリプションへの移行は、2015年に発表された「Apple Music」で行われています。Apple Musicは、音楽ストリーミングサービスで、7,000万もの曲が聴き放題です。現在は推定で前回5,600万人が利用していると言われています。 Adobe 「Photoshop」や「Illustrator」などのソフトウェアを提供するAdobeは、2011年に売り切りモデルの販売に加えて、年契約のサブスクリプションプランを開始しました。 売り切りモデルではヴァージョンをアップデートするのに数年の歳月がかかってしまうのに対し、サブスクリプションモデルを導入することで、短いスパンでのアップデートを可能にしました。 Adobeの場合は、いきなり売り切りモデルをやめてサブスクリプションにするのではなく、サブスクリプションプランをお得になるように設定し、自然に顧客をサブスクリプションモデルへと移行させることで成功しました。 Microsoft Mirosoftは、WordやPowerPointなどの誰にも馴染み深いソフトウェアを、売り切りモデルで提供していました。しかし、2011年に、サブスクリプションモデルのMicrosoft365(企業向けサービスはOffice365)を提供し始めました。 まとめ サブスクリプションは、近年拡大しており、特にオンラインサービスにおいては、中心的な課金モデルになっています。既存のサービスをサブスクリプション化させる企業もあれば、サブスクリプションモデルの事業を新しく始める企業もあります。 サブスクリプションサービスでは、バリューベースプライシングという価格戦略が有効です。価格設定・プライシングにお困りの事業者様は一度プライスハックにお問い合わせください。

SaaSプライシング戦略|SaaS事業に適した価格戦略

2021/01/21

SaaS業界でプライシングが注目されているわけ2 なぜバリューベースプライシングなのか3 STEP0.体制を構築する4 STEP1.価格体系を考える(定額課金・従量課金・機能別料金)5 STEP2.適正価格を算定する(PSM分析・EVC Analysis・Split Testing Pricing)6 STEP3.顧客に対して連絡する7 価格を見直すタイミング8 プライシングの成功事例(SurveyMonkey)9 まとめ SaaS業界でプライシングが注目されているわけ 近年、SaaS業界におけるプライシングに対する注目度は、他の業界と比べ異常なほど高いです。理由は簡単で、海外VCを中心にプライシングの重要性、その効果、成功事例が共有されているからであると考えます。 例えばこんな情報。 「継続的に見直す企業のユニットエコノミクスは 11.1x に対して、見直さない企業は 1.7xと、大きな差が生まれている。」 「価格設定によるマネタイズを1%向上させると利益率は12%も改善する。これはリテンションの約2倍、顧客獲得の約4倍の利益率改善効果がある。」 この2つの情報だけをかいつまんでも、SaaS業界でプライシングが注目される理由がわかりますよね。 なぜバリューベースプライシングなのか プライシングは多くの場合、自社視点・競合視点・顧客視点の3つの観点で考えます。 自社視点で考える方法を、「Cost-plus方式」といったりします。いわゆる、原価などのコストに対して、適切なマージンを乗せて販売するアプローチです。 競合視点で考える方法を、「Competitor-based方式」といったりします。これは、ベンチマークする競合企業群の価格水準から適切な価格を検討するアプローチと、自社の価格変更をすることで他社の価格変更を意図的に誘発し独自のポジショニングを築くアプローチがあります。 顧客視点で考える方法を、「Value-based方式」といったりします。俗にいうバリューベースプライシングです。これは、顧客が自社製品に感じている価値に基づいて価格を決める方法です。SaaSを中心に、サブスクリプション型のビジネスモデルとの親和性が高く近年注目されています。 バリューベースプライシングが親和性が高い理由としては、「収益の最大化」「TAMの拡大」が大きいでしょう。 収益の最大化 バリューベースプライシングでは、顧客の支払意欲に基づいた価格設定を行っているため、顧客の支払い意欲の上昇に合わせた値上げが可能になります。中長期的に見ると、Cost-plus方式、Competitor-based方式と比べて多くの収益を生むことができます。 TAMの拡大 TAM(Total Addressable Market)は、「マーケット全体の顧客数」 × 「取れる金額」で計算しますが、「取れる金額」のポテンシャルを引き上げることができます。例えば、バリューベースに基づいた従量課金を採用できると「取れる金額」のアッパーがなくなるため、TAMが拡大します。 実際、SlackやUnityといった企業では、Top 1%の顧客が40%以上を占めるケースも存在しています。 そのため、SaaSビジネスにおいて、この3つから選ぶとしたらバリューベースプライシング一択なのですが、そもそもこの中から選ぶという行為が正しい訳ではありません。プライシングは、自社視点、競合視点、顧客視点の三方よしで考える必要があります。 したがって、バリューベースプライシングのアプローチを採用し、適正価格レンジを特定→ 自社視点で適切な利益率を確保→ 競合視点で最終調整が理想の流れになります。 STEP0.体制を構築する ここからプライシングを具体的に検討する流れについて解説していきますが、その前に必要なのが体制を構築することです。プライシングが事業に与える影響範囲はかなり広く(B2Bは尚更)、俯瞰的な視点、全社的なプロジェクトマネジメントが要求されます。そのため、1担当者に価格決定を任せるのは愚行です。100%失敗します。 ポイントは、価格決定の意思決定者を明確にし、チームを組成する事です。チームは3つのポジションで構成します。価格決定の意思決定者である「オーナー」、価格変更の実務を推進する「リーダー」、実際に実務を行う「プレイヤー」です。 オーナー 「値決めは経営」といわれるように、経営者や取締役レイヤーが担当するのが良いでしょう。このポジションでは「価格変更の目的設定」と「最終意思決定」を行なおます。価格変更の目的にどんなものがあるかは、後半の「価格を見直すタイミング」で解説しています。 リーダー 価格変更は関係者が多岐にわたるため(営業・マーケ・CS・販売代理店など)、連携しながら価格改定を実行する調整役が必須となります。オーナーは多くの場合、経営者や取締役ですので、時間的な制約からこのポジションになることは現実的ではありませんので、経営企画や事業責任者がこの役割を担います。 プレイヤー 価格決定に必要な顧客インタビュー、データ収集、データ分析などタスクが発生します。そういった実務を推進するポジションが必要になります。このポジションのアサインは、日常業務の延長線上で対応できる人材がオススメです。例えば、顧客インタビューにはCSチーム、データ分析には分析チームやマーケティングチーム、といった具合です。 STEP1.価格体系を考える(定額課金・従量課金・機能別料金) ここから具体的にプライシングを検討していきます。SaaSプライシングは「価格体系」「金額」の2つを考えることで完成します。ここではまず価格体系にはどんなものがあるのか、どうやって設計するべきか解説します。 まず価格体系は次の4種類からなります。この4種類の価格体系を組み合わせるのとで、完成します。 ・定額課金 ・アカウント別従量課金 ・利用従量課金 ・機能別従量課金 定額課金 定額課金は一言で言うとシンプルです。シンプルがゆえに、売上向上には工夫をこらす必要がありますが、事業ニーズの検証がしやすく初期のサービスで有効な価格体系です。 特徴は、「期間毎の定額料金を設定する」「顧客が価格を理解しやすい」「幅広いニーズに応える工夫が必要」です。 アカウント別従量課金 アカウント別従量課金は、複数ユーザー前提かつ、アカウント別で保存される内容が異なるサービスに有効です。 特徴は、「アカウント数毎の料金を設定する」「利用ユーザーに比例して単価アップ」「複数ユーザー前提サービスに向いている」です。 利用従量課金 利用料従量課金は、良くも悪くも顧客に左右される特徴を持ち(利用されればされるほど単価が高く、利用を抑制されると単価が低くなるため)、粘着度が高いサービスで特に有効です。 特徴は、「利用量毎の料金を設定する」「利用に応じて自動で単価が増える 」「顧客が利用を控えるリスクあり」です。 機能別料金 機能別料金は、幅広い顧客に対応できる特徴を持ち、顧客ニーズが明確なサービスで特に有効です。 特徴は、「利用ニーズに合わせてプランを設計」「顧客分類に応じたプランが可能」「プラン変更でアップセルが望める」です。 この4種類の価格体系をベースに、自社のサービスの特性と照らし合わせて検討していきます。その際、「①顧客と価値(誰に何を届けるか)」と「②個別の価格体系(何にいくら請求するか)」の観点から考えます。 「①顧客と価値(誰に何を届けるか)」では、顧客属性の整理(セグメンテーション)と提供価値の整理双方で、検討が必要です。 顧客属性は、業界/業種・企業規模・部署・利用目的(課題)・提供価値性質などが参考になり、実際の顧客DBを分類できるような、顧客分類を作成することが重要になります。 こうやって整理した顧客分類からサービス価値を整理します。この際、既存顧客と長期的に獲得したい顧客でそれぞれ分類できると完璧です。 続いて、提供価値の整理をしていきます。顧客へのインタビューなどを通じて、顧客属性の整理(セグメンテーション)で行なった内容から、製品に対する顧客の認識を明確に把握し、使用事例を詳しく調査します。 また、画像のようにその提供価値が多くの顧客が感じている価値なのか、一部の顧客が感じている価値なのかまで整理します。 このプロセスを経ることで、提供しているサービスに対し、価値を受け取る顧客、その顧客が感じている価値(重視している機能も)が整理できます。 ここまで整理できたら、先ほどの4種類の価格体系から、その価値に最も即した価格体系を当てはめます。これが「②個別の価格体系(何にいくら請求するか)」の何に請求するか、の部分に該当します。 最後に、一つにドッキングしたら価格体系の完成です。 STEP2.適正価格を算定する(PSM分析・EVC Analysis・Split Testing Pricing) 続いて、適正価格(金額)を算定していきます。これが「②個別の価格体系(何にいくら請求するか)」のいくら請求するか、である具体的な金額を算定する方法です。考えうるアプローチは3種類です。「PSM分析」・「EVC Analysis」・「Split Testing Pricing」です。ここでは中立な観点から、それぞれの概要、強い点、弱い点等を解説していきますので、自社の状況を考慮し、最も適したアプローチを実施するといいでしょう。ポジショントークをすると、SaaSにおいては、PSM分析の活用が最も汎用的であり、精度が高くおすすめです(笑) ・PSM分析 PSM分析(価格感応度分析)とは、バリューベースの価格設定を実現するために、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法です。1976年にオランダの経済学者VanWestendorpによって開発されたことから、PSM分析は「Van Westendorpモデル」と言われることもあります。PSM分析を応用することで、商品・サービスがどの程度の価格なら最も顧客に受け入れられるかを把握でき、売り上げや顧客数を最大化できる価格を試算できます。 支払意欲の調査で最も一般的な方法は、潜在的な購入者に製品に支払う金額を聞くことですが(これは直接質問法と呼ばれ、簡単に実行することができます)、いくつかの欠点があり支払意欲調査として不足です。購買可能な金額は点ではなくレンジであり、単一な価格を聞くことでは勘案しきれません。また、直接質問では、潜在的な購入者が実際の支払意欲よりも低い価格で回答が集まると言われています。これは、基本的に購入者が企業に対して、価格を下げるように交渉したい心理が働くためです。 PSM分析では、直接質問と異なり、間接的な質問を複数おこなうため、間接的に支払意欲を測定し、バイアスの少ないレンジを持った支払意欲を測定することができます。 一般的なPSM分析の手順は、次の2段階のステップでおこなわれます。 PSM分析では、アンケートを通じて、実際に顧客が製品・サービスに対して、どれほどの支払意欲を持っているのかを調べます。 1.アンケート調査 2.可視化 PSM分析で実際に使用されるアンケート項目は次の4つです。 PSM分析のアンケート項目 ・その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか? ・その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか? ・その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか? ・その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか? *サービス特性に応じて多少の日本語調整が必要です 次に可視化です。価格調査の結果を集計し、以下のようにグラフに回答者を累積してプロットしきます。 X軸が価格を、Y軸が当てはまる顧客の割合をあらわします。一般的には、価格が上がると、「安すぎて品質が低い」「安く感じる」と思う顧客が減り、「高すぎて検討に乗らない」「高く感じる」と思う顧客が増えます。 一般的なPSM分析では、価格設定の参考となる4つの交点を見ていきますが、わかりやすい反面、正確性にかけるという欠点があります。実際には上限価格以上でも購入が検討に乗る人はいますし、同様に下限価格以下でも品質が悪いと思わない人が存在します。最適価格に関しても、本来顧客が最大化する価格は安すぎて品質が低いと思う人と高すぎて検討に乗らないと思う人が最小となる価格で、必ずしも交点と一致しません。 参考までに紹介しますが、スルーしてください。 ・最適価格 最も価格拒否感がないと見られる価格 ・妥協価格 高い・安いの評価が分かれる価格 ・上限価格 これ以上高くなると、消費者の購入されなくなると見られる価格 ・下限価格 これ以上安くなると、消費者が「品質が悪いのではないかと不安になる」と感じる価格さ *上のグラフと照らし合わせてください PSMで収集したデータをプロットするだけでなく、集計して価格ごとの購買人数を推計した方が正確な結果となります。購買人数の推計は、「高すぎて検討に乗らない価格」「安すぎて品質や効果に不安を感じる金額」の2つを見ていきます。 このように購買人数を推計した後は、それに単価をかけて売上を推計します。このグラフを見ながら、許容してくれる顧客数と売上の増加幅のバランスで金額の意思決定をしていきます。 またPSM分析を既存顧客に対し実施し、その顧客の利用状況などを合わせて分析することで、以下のような従量課金ベースでの推計ができることも強みです。 私たちはこの分析を行い、かなりの回数価格を変更していますが、シミュレーションの精度がかなり高いです。これが私たちがPSM分析を推奨する理由です。 PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順 最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。…… ・EVC Analysis EVCとは、Economic Value to the Customerの略称で、競合商品にはない要素を持つ商品に対し、その要素の価値を勘案した上で、販売する商品の価格決めをするための指標を指します。価格付けの際には、EVCから数%割り引いた値を販売価格とします。そのため、競合商品にはない要素を持つ商品に対し、有効な値付けの手法となります。EVCを求める方法は2パターンあります。 EVCを求める方法① 方法①では、価格付けの際に参照にする競合商品(以下、参照商品)の価格に、販売しようとしている商品(以下、販売商品)の参照商品に対する追加的な価値を足すことでEVCを求めていきます。 プロセスは以下の4つです。 Step 1 付加価値の認識 参照商品にはない販売商品の要素のうち、顧客が長所あるいは短所だと認識する要素を列挙していきます。参照商品を使用する場合にはかかっていたコストを削減する要素、あるいはかかっていなかったコストがかかるようにする要素を列挙する方法もあります。 Step 2 付加価値の価格付け Step 1で認識した要素について金銭的な価値を割り当て、その総和をTAV(total additional value)とします。 例: 現在販売しようとしている自動車の燃費は参照商品よりもよく(Step1で認識した付加価値)、その価値に割り当てる金銭的な価値は50万円だと見込んでいる。また、販売商品には参照商品にはない事故を防止する機能があり、その価値に割り当てる価値は30万円だと見込んでいる。この場合、TAVは80万円になる。 Step 3 EVCの算出 参照価格とTAVの総和をとってEVCを算出します。これが顧客が払える最大の価格になります。 例:TAVが80万円、参照商品の価格が300万円である時、EVCは380万円になる。 Step 4 販売価格の決定 TAVのある割合を割り引いて販売価格を決定します。この割引は、既存商品から販売商品に乗り換える際に顧客が認識するリスクを勘案したものになります。 例:今TAV80万円のうち30%を割引くとする。この場合、EVC(=380万円)からTAVの30%(80万円×30%=24万円)を差し引いた金額(=356万円)を販売価格とする。 整理すると以下の通りです。 参考までに、計算式もご紹介します。方法①の繰り返しになりますので、お急ぎの方は、方法②へお進みください。 EVCを求める方法② 方法①の場合、EVCは参照価格に合計追加価値を足したものと定義されますが、参照商品を利用する上でかかるトータルコストから販売商品を利用する上でかかる価格以外のコストを引き、参照商品に対する販売商品の利点を足して求める方法もあります。ただし、この方法で求められるEVCは、方法①のものと同じです。以下ではこの方法を説明します。 ここまでで、EVCによって製品の価格を決定する方法を説明しましたが、実はEVCからどれだけ割引くかを考えることが非常に難易度が高いです。実際、私もEVCはできたけど、価格は決められなかったというご相談を受けてます。 そもそも割引をする理由は、顧客が既に使っている製品から乗り換えるのをリスクに感じるため、その分を割り引いて埋め合わせをするためです。つまり、顧客が製品を信頼していればしているほど割引は少なくて済みますし、顧客が製品を信頼しているほど値段を変化させても販売量は減りにくくなります(=価格感度が低い)。この顧客の価格感度は、EVCで求めることができません。 そういった背景もあり、EVC Analysisは概念上バリューベースプライシングとしてあるべきアプローチですが、具体的な金額に落とし込む際は「勘と経験」で決めるのとあまり変わらないという弱点があります(データ、数字ベースで算定ができない)。 EVC(Economic Value to the Customer)でSaaSプライシングを決めるには? ここ1年、日本国内ではSaaS企業におけるプライシングの決定手法としてEVC Analysisが流行しています。筆者も、日々SaaS企業の経営者とプライシングについてディスカッションしていますが、EV…… ・Split Testing Pricing まずSplit Testing Pricingを紹介する前に、その考え方の下にあるスプリットテストについて簡単に紹介します。 スプリットテストとは、商品に関する様々な変更内容に対し、顧客セグメントがどのような反応を示すのかを確認することで、顧客体験を効果的に最適化する方法を把握するための方法です。 スプリットテストは、プライシングの領域よりも、ホームページの設計などのために使われることが多いです。 スプリットテストの方法 1. A/Bテスト 顧客が体験する一つのセクション(ボタンの色やテキストの大きさ)に対して複数の選択肢を検討し、比較実験する。例えば、会社のウェブサイトのトップページに表示するボタンの色を変化させることによって、有料会員への登録ページへのアクセスを増やそうとする場合、顧客がトップページにアクセスするたびにその都度表示されるボタンの色を様々に変化させ、登録ページへのアクセスがボタンの色によってどのように変化するのかを調べる。 2. 多変量テスト A/Bテストでは、一つのセクションを変化させることによってパフォーマンスが改善されるか調査するが、多変量テストでは複数のセクション(ボタンの色に加え、ボタンの大きさなど)をランダムに変化させ、パフォーマンスの変化を調査する。 3. フレキシブルLPテスト 上の二つの方法ではどのような顧客に対してもランダムにセクションを変化させていたが、本テストではどのような顧客がアクセスしてきたかも考慮して実験を行う。 このスプリットテストを応用したのが、Split Testing Pricingです。 Split Testing Pricingとは、スプリットテストをプライシングの領域に応用したものです。ただし、上述しましたが、これはスプリットテストの主要な活用方法ではありません。Split Testing Pricingでは、顧客に提示する価格を変化させることによって、価格の変化によって顧客の購入数と収益がどのように変化するのか検討します。つまり、料金表を公開しているSaaS企業(主にPLG型)に限定されたアプローチになります。 余談ですが、米国の時価総額上位50社のSaaS企業の料金ページを調べたところ、具体的な料金表を公開している企業は全体の34%で、残りの66%の企業は、具体的な料金表を公開していませんでした。また、料金表を公開している企業の90%以上が、PLG型ということがわかりました。 Split Testing Pricingの方法一覧 Split Testing Pricingでは、価格を変化させることによって購入数や収益がどのように変化するのか調査しますが、フロントエンドを変化させるよりも高い技術が必要になります。また、ページ上で誤って安い価格を表示し、その後高い価格を提示すると法律違反になる可能性があります。また、顧客によってランダムに請求する値段を変化させると、顧客との間のトラブルに発展しうるリスクがあるので注意が必要です。 1. Cosmetic Price Testing 実際の価格よりも高い範囲で複数の価格をランダムに表示し、購入を確認する直前に値引きを実施し、すべての顧客に実際の価格で販売する方法。これによって、バックエンドとの連携を行ったり顧客との信頼関係を失ったりするのを恐れることなく調査を実施することができる。この調査方法は、端数価格など微小な価格の変化が販売数に与える影響を調査するのに最適。なぜなら、顧客は購入後に払った値段が購入前に見た値段よりも安くなっていたとしても多くの場合気付かないため、顧客に気付かれずに調査を行えるからだ。 2. Anchoring in Action 異なる価格で製品を提供するのではなく、複数の価格で複数の製品を提示し、それぞれの価格設定が他のプランの価格に対してどのような相対的な意味を持つか調査する。これによって、複数価格設定の効果(複数の製品の中で最も高い製品と安い製品は購入されないなど)を実証し、最適な価格設定の組み合わせ(例えば、最も購入させたい商品の価格を二番目に高く設定する)を構築するヒントを得ることができる。この調査では、販売したい製品より高い製品を販売することで販売したい製品の価格を安く見せたり、それより安い製品を値上げして販売したい商品との価格差を縮めることで販売したい製品のお得感を演出したりする効果があるか検討できる。 SaaSは多くの場合、単一での価格を設定しないため、この手法は非常に重宝します。 3. 価格表示 例えば年額ではなく、月額表示にした方が、登録者数が増加する効果が知られていますが、このように単純な価格表示によって販売数や利益がどのように変化するか判断することができる。この調査をする際には、地域性を考慮するべきである。例えば、家電でも月払いで購入することが一般的であったり、法律によって販売量が変化したりする可能性がある。 4. 時間によって価格を変化させる 普通スプリットテストでは同時に異なる顧客に対して異なる価格を提示するが、時間によってすべての顧客に対して提示する価格を変化させ、どのように販売数や利益が変化するかを調査する方法。この方法では、価格の表示を伴う広報活動への影響を抑えることができる。しかし、販売数を変化させる時間ベースの要因の影響を排除する必要がある。 5. 従量課金制の設定の判定 従量課金制では、量が多いプランでは顧客が商品の価格の高さゆえに購入を躊躇うため、コンバージョン率が比較的低い傾向がある。しかし、スプリットテストを実施した結果、量が多いプランと少ないプランでコンバージョン率が変わらない場合、顧客は商品が魅力的だと考えているがゆえに、価格はあまり考慮せずに量の方を注目している可能性がある。よって、購入量を全く減らさないか少ししか減らさないで、量の多いプランの価格を引き上げることができる。 ちなみに Split Testing Pricingを実施する際の被験者の選び方については、ページビュー数ではなくユニークユーザー数を計測する必要があります。コンバージョン率を計算する際はページビュー数ではなく、ユニークユーザー数を使用した方が有益であるため、計測の段階でもユニークユーザー数を計測しておく必要があります。 最後に注意点です。 ・膨大なサンプル数が必要 スプリットテストには膨大なサンプル数が必要で、統計的に優位な結果を得るのがほとんど不可能になる可能性がある。またそのため、新興企業や顧客の少ない企業はスプリットテストから優位な結果が得られない。 ・調査中は変数の変更ができない 価格変化以外の要因を統制するため、調査中は価格設定ページに変更を加えることができない。 ・相対的な評価しかできない A/Bテストでは、ある価格よりもある価格の方が好ましいこと分かるが、最適な価格設定がどうなるかはわからない。 ・販売数を増やすことと利益を増やすことのどちらを優先すべきかは一考するべきである。 高い価格を設定したことによって販売数が少なくても利益が高くなることもあるが、高い価格を設定することで顧客離れが起き、長期的には利益が少なくなる可能性がある。 ・同じ商品を異なる価格で販売すると、倫理的な問題に問われる可能性があり、最悪の場合法律違反になる可能性がある。 最後に、SaaSではないですが、課金体系がSaaSと比較的近いNetflixのSplit Testing Pricingを活用した事例をご紹介します。 2019年3月頃にNETFLIXはイギリスのユーザー向けサブスクリプション価格に対してスプリットテストにを行いました。具体的には、通常の価格よりも最大3ドル高い価格が表示されました。これは、複数のTwitterユーザーによって報告されており、以下のツイートでは、ユーザーがブラウザによって表示される価格が違ったと証言しているが、BBCによると再現はできなかったといいます。 NETFLIXによると異なる価格が表示された場合でも高い価格を支払わせていないとしており、上で紹介したCosmetic Price Testingが行われた可能性があります。NETFLIXは、「利用者がNETFLIXをどのように評価しているか理解するために、若干異なる価格をテストしています。」「すべてのユーザーがこのテストを受けるわけではなく、今後テストされた価格で実際のサービスが販売しないかもしれません。」「我々の目標は、NETFLIXがお金を支払う価値を持ち続けることを保証することです。」(以上拙訳)と証言しています。 ここまでで、3種類の適正価格を算出する方法について解説しました。 STEP3.顧客に対して連絡する 価格変更に対し、顧客が大なり小なりネガティブな印象を抱くことは避けて通れません。だからと言って、価格を変えることを避けるわけにもいきません。大切なことは、顧客の価格変更に対するネガティブな印象を最小化することです。ここでは、Evernote(エバーノート)の事例を交えつつ、顧客の価格変更に対するネガティブな印象を最小化する方法について考えていきます。 まずは、彼らがどのように「顧客の価格変更に対するネガティブな印象を最小化」したのか実際の告知内容(Evernote の価格プランの改定について)を見ていきましょう。 まず、冒頭で会社で1年間取り組んできたこと、ビジネスの透明性の宣言、価格改定におけるポリシーを説明しています。 ”この 1 年の間に、色々な変化がありました。〜(中略:1年間のアップデートの内容)〜これらのアップデートで確実に前進していると考えていますが、私たちが目指す Evernote にはまだ近づいていません。”(引用) “これから先も変わらないことが 2 つあります。みなさんの生産性を最大限高めるためのお手伝いをすることと、弊社のビジネスを可能な限り透明に運営していくことです。つまり、みなさんに広告を見せたり、みなさんに関するデータを売ったりすることはしません。あくまで、良い製品を適正価格で提供するだけです。従って価格調整を行う場合においても、その変更内容と理由、およびユーザのみなさんにどのような影響が生じるのかを具体的に説明させていただきます。”(引用) ここまでは、珍しくないかもしれませんが、「次世代の Evernote を作るために」というタイトルで、値上げをする意図と、いいサービスにするため、しっかりサービスに投資をしていくと宣言しています。 “私たちは、価格プランの変更がみなさんに及ぼす影響をとても真剣に考えており、ユーザのみなさんへの感謝の気持ちを忘れることもありません。私たちの目標は、長期的に Evernote を改良し続けることです。ユーザのみなさんの要望に応える新機能も随時実装しながら、主要製品をよりパワフルに、直感的に使えるようにすることに引き続き投資してまいります。一方で、それを実行するためにはたくさんの労力と時間、そしてお金が必要になります。そこで、Evernote に大きな価値を見出してくださる方には、私たちが必要な投資を行えるよう、ぜひ力を貸していただきたいと考えております。ひいては、Evernote 製品の利用体験をさらに進化させていきたいのです。”(引用) これです。大切なのは。 単に自社の利益を追求するのではなく、顧客のためにサービス開発に投資していく、中長期的にみると絶対に後悔させない。こんな熱い想いを正直に顧客に伝えるのが一番です。外部要因によるコスト増を言い訳にする企業が圧倒的に多いですが、顧客にとってサービス提供者側の都合は関係ありません。あくまでも自社にメリットがあるかどうかです。それを忘れず、丁寧に通知を行いましょう。 上記はあくまで一例ですが、 ・既存顧客は価格を据え置き、新規顧客だけ価格改定を実施する ・既存顧客の価格改定は、一定期間を設けてから実施する ・CS/営業チームがしっかり説明に行く などの、工夫も十分効果的です。あくまでも、顧客の納得のいく範囲内で価格を改定することが前提になりますが、このような工夫をすることで顧客の価格変更に対するネガティブな印象を最小化していきましょう。 価格を見直すタイミング ここまでのSTEPで、価格体系の決め方、適正価格の算出方法について書きました。しかし、Pricing is never 100% doneであり、適正価格は移り変わっていきます。価格は、耐用年数が非常に低いのが特徴です。 実際、77%の米国SaaSスタートアップは年に1回以上価格を見直しています。 肌感覚ですが、SaaS事業は平均して1年に1回は価格を見直すべきタイミングがくるのですが、その背景となる要因を4つの観点から整理していきます。 ・事業フェーズの変化 事業フェーズを立ち上げ期(プレシード〜シード)、成長期(シリーズA〜B)、安定期(シリーズC以降)で整理するとしたら、この3つのフェーズでもあるべきプライシングは異なります。*ファイナンスのステージはあくまでも目安です。 立ち上げ期(プレシード〜シード) 事業ニーズの検証が最も大切なこのフェーズで一番大切なことは、「価格が理由で売れないのではないかという仮説」をなくすことです。そもそも事業が成立するかすらわからないこのフェーズで、プライシングがテクニカルだと、価格が理由で売れなかったのではないか?と疑問を抱くはずです。それでは事業のニーズがなくて売れないのか、価格が理由で売れないのか判断ができません。その状態を最も避けるべきであり、そのために単一のシンプルな価格体系かつ、価格がネックにならず売り散らかせる最低限の価格にする必要があります。そのため、このフェーズでは価格に対してあまり注力する必要はありません。 成長期(シリーズA~B) このフェーズがプライシングに初めて注力するフェーズになります。このフェーズでは、単一のシンプルな価格体系かつ、価格がネックにならず売り散らかせる最低限の価格が、大きな機会損失を生むことになります。このフェーズでは、顧客の事業規模や利用頻度、経済効果が多岐に渡りはじめます。そのため、例えば、SMBにも、エンタープライズ企業にも月額1万円で売っている、といったような高く取れるはずの人から取れない機会損失が生まれたり、SMBには売れていたのに、エンタープライズ(別セグメント)には安すぎてサービスを信頼してもらえない、といった状態に陥ることになります。この状態を回避するために、価格体系を見直し、幅広いセグメントのニーズに応えられるようプライシングの見直しをしなければならないのです。 安定期(シリーズC以降) このフェーズになると、アップセルを狙った新しいプロダクトをリリースすることも多いでしょう。その場合、製品同士の協調価格を考え、自社製品によるカニバリゼーションや、不適切なバンドル設計により売れるはずのプロダクトですら売れない、などの状態を回避する必要があります。 ・高い売上目標 T2D3という言葉があるように、多くのSaaS企業はスタートアップであり、特にスタートアップでは高い売上目標(や売上成長率)を達成する必要を求めらますよね。これまで順調に顧客を獲得できていたものの獲得ペースが鈍化してきた際や、獲得しても獲得しても売上目標に届かない際はプライシングの見直しが必要があります。 ・価値の向上 新機能が追加され、提供価値が向上するにつれ、価格変更余地が生まれます。この場合に関してのみ、プライシングの見直しはnice to haveですが、長期的に見るとこのタイミングで都度都度プライシングを見直している企業とそうでない企業では大きな差になるでしょう。 ・ターゲットの変更 SMBからエンプラなど、ターゲット変更に伴い適正な価格は変化します。上述した、SMBにも、エンタープライズ企業にも月額1万円で売っている、といったような高く取れるはずの人から取れない機会損失が生まれたり、SMBには売れていたのに、エンタープライズ(別セグメント)には安すぎてサービスを信頼してもらえない、といった状態に陥るため、プライシングの見直しが必要です。 プライシングの成功事例(SurveyMonkey) これまでの復習も兼ねて、最後に成功事例を見ていきましょう。ここで紹介する事例は、言わずと知れた米国の大手SaaS企業であるSurveyMonkeyです。 まず価格変更を行なった背景は、以下のようです。 ・競合他社の価格が変化しているにも関わらず、SurveyMonkeyでは価格を変えていなかった ・プロダクトの開発速度が速く、顧客がついてこれていなかった(ユーザーに対し、「製品に追加してほしい機能」を尋ねたところ、大半の機能はすでに存在しているものだった。しかも、その機能に対し、もっとお金を払ってもいいと思っていたことがわかった。) ・顧客の80%が、個人的な目的や教育目的ではなく、ビジネスシーンで活用していることがわかった。 前述した、「価値の向上」、「ターゲットの変更」がこれに該当しますね。価格の耐用年数が低いことはお話ししましたが、その背景としてサービスの拡大に伴ってユーザーのニーズが多様化してくるといった観点があります。SurveyMonkeyのように開発スピードの早い企業はこの傾向が顕著にあわられます。 そして、価格改定を行なった結果以下の成果が出たようです。 ・年間プランの利用者が、全体の77%から85%になった(チャーン防止にも結果繋がった) ・ARPUが14%増加した($423→$483) ・個人利用から法人利用へのスムーズなアップセルに繋がった(企業向けの売上が128%増加し、総売上高の29%を占めた(前年同期は16%)。) プライシングは、収益最大化にフォーカスが当たりがちですが(もちろん収益インパクトは絶大)、多セグメントのユーザーのニーズに応えたり、サービス提供側の意図に合わせて使ってもらう(法人利用の促進など)という観点においても大きく貢献することが見てとれます。 成功要因は大きく3つであると考えています。 ①全社を巻き込んだプロジェクトにしたこと ②調査の手法が適切であったこと ③顧客対応を適切に行なったこと 一つ一つ説明していきます。 まず①「全社を巻き込んだプロジェクトにしたこと」についてです。今回の価格改定に関わった部門は以下のようです。「STEP0.体制を構築する」がしっかりできています。 ・リサーチ(定量調査のため) ・プロダクト(技術的な観点でのパッケージング) ・エンジニア(新パッケージの実装) ・マーケティング(変更発表・対応) ・営業(リードジェネレーションに与える影響の検討) ・法務(規約の対応) ・財務(財務モデルとの整合性の判断) B2Bは顕著ですが、上述の通り、関係者が非常に多く価格に対する認識や課題が異なります。どのポジションから見ても、納得のいく価格設定である必要があり(優先順位はありますが)、全社を巻き込むことが大切になります。そのため、ポジションによる先入観の少ない経営層、事業企画、外部企業(コンサル等)が、プロジェクトを推進することが一般的です。 実際、私たちも、B2B企業のプライシングに関わらせていただくときは、CS部門、営業部門、プロダクト部門、事業企画、開発部門などと必要に応じて連携しつつ、プロジェクトを実施しています。 続いて、②「調査の手法が適切であったこと」です。行なったアプローチは次の3つのようです。 ・顧客セグメンテーション ・質的インタビュー ・PSM分析 「STEP1.価格体系を考える」手法として「顧客セグメンテーション」と「質的インタビュー」が、「STEP2.適正価格を算定する」手法としてPSM分析が採用されています。 最近では、PSM分析というワードが一人歩きをして、それだけをやろうとする人が増えていますが、PSM分析単独でざっくりした目安金額はわかりますが、価格を決めれるわけではありません。大切なのは、「顧客セグメンテーション」と「質的インタビュー」を組み合わせることです。 「顧客セグメンテーション」は、既存顧客と長期的に獲得したい顧客の2つを調べていきます。具体的には、どのようなペルソナで、どのようにプロダクトを活用しているか、を見ていったようです。 「質的インタビュー」では、セグメンテーションで行なった内容から、製品に対する顧客の認識を明確に把握し、使用事例を詳しく調査します。プライシングは、金額を決めて終わりでなく、顧客セグメント毎に提供するパッケージまで考えていきます。そのためには、これらの調査が必須ということです。 最後に、③「顧客対応を適切に行なったこと」です。 これはEvernoteの事例でもお話ししましたが、SurveyMonkeyでは、既存の顧客がショックを受けないように、段階的に新価格に移行し、包括的なコミュニケーションプランを実施したようです。この戦略により最終的には、解約はほとんどなかったようです。「STEP3.顧客に対して連絡する」も完璧ですね。 まとめ 今回はSaaSのプライシング戦略について紹介しました。プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。 価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。 (この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています)

チャットボット業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

2020/12/26

この記事では、チャットボット業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。 チャットボットとは2 チャットボット業界の市場規模3 チャットボットの価格・料金体系の概要4 チャットボット業界の価格体系比較4.1 初期費用が設定されている理由4.2 フリーミアムと無料トライアル4.3 月額料金における複数機能パッケージ5 チャットボットの価格体系に関する考察5.1 初期費用は非推奨5.2 サービス提供している企業の負担が低い場合はフリーミアムを推奨5.3 月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨6 プライシングを適正化するためには7 まとめ チャットボットとは チャットボットとは「会話(chat)」と「ロボット(bot)」を組み合わせたもので、チャットボットを導入した企業のウェブサイトなどに訪れた人とチャットツール上で自動で答えを返すサービスです。 チャットボット業界の市場規模 株式会社ITRの調査によると、チャットボットは2019年度に100億円を突破しています。2024年度まで年平均成長率は20%と、今後も強い成長が見込まれます。 出典:株式会社ITR調査 チャットボットの価格・料金体系の概要 チャットボットは、月額料金制で「機能数によって値段が変動する複数パッケージモデル」の価格体系が設定されています。 また、一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、チャットボット業界の中では一般的ではありません。 無料でサービスを試用できる体系として、フリーミアム・無料トライアルが設定されています。 チャットボットと似た料金体系を採用している業界としては、マーケティングオートメーションなどがあげられますユーザーごとの従量課金制が設定されにくい理由として、一部の部署でしか利用しないシステムはユーザー数が増えることが見込みにくいためです。 チャットボット業界の価格体系比較 サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料トライアル minarai 50,000円〜(※1) 複数価格 フリーミアム ー ー sAI Chat 80,000円〜(※1) 複数価格 300,000円 ー ENOKI 100,000円〜(※1) 複数価格 ー ◯ Chai 4,980円〜(※2) 複数価格 ー ー DialogPlay 50,000円〜(※2) 複数価格 ー ◯ CHORDSHIP 500,000円〜(※2) 複数価格 ー ー QA ENGINE 300,000円〜(※1,2) 複数価格 ー ー スグレス 94,000円〜 複数価格 500,000円 ー ※1:登録できるFAQの上限数によって、プランが区分される ※2:対応できるチャット数の上限数によって、プランが区分される (調査日:2020年12月15日) 初期費用が設定されている理由 初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。 フリーミアムと無料トライアル minarai CS Chatでは、チャットボットを作成し顧客のサイト上で利用可能できるが、その対話結果を確認ができない形でフリーミアムを提供しています。ENOKIとDialogPlayは一定期間試用できる無料トライアルが設定されています。 月額料金における複数機能パッケージ チャットボット業界の複数機能パッケージは主に「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」と「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」の2つでプランを区分しています。 チャットボットの価格体系に関する考察 初期費用は非推奨 チャットボットでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金の値上げを推奨します。 サービス提供している企業の負担が低い場合はフリーミアムを推奨 フリーミアムは、リード獲得を目的とする他に、ユーザーがサービスに価値を感じるまでの期間の利用を促進し、有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。 そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。 ただし、チャットボットのトライアル運用であっても、顧客ごとのカスタマイズが必要で、企業側の負担が大きい場合はフリーミアムの運用は推奨されません。 月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨 複数機能パッケージを設定していく中で「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」と「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」のどちらが適切なのかは一概には言えません。ターゲットとする顧客層によって「多くのFAQを必要とするのか」「多くのチャット数を必要とするのか」などサービスのどこに価値を感じているのかに合わせて設定するべきです。 プライシングを適正化するためには これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。 プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。 以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。 SaaSプライシング戦略|SaaS事業に適した価格戦略 SaaS業界でプライシングが注目されているわけ 近年、SaaS業界におけるプライシングに対する注目度は、他の業界と比べ異常なほど高いです。理由は簡単で、海外VCを中心にプライシングの重要性、その効果…… まとめ チャットボットでは、月額料金は複数パッケージモデルで、プランの区分として「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」が設定されています。一部のサービスでは初期費用・無料トライアル・フリーミアムが設定されています。 また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。 初期費用は設定せずその他の料金に反映 月額料金はターゲットによって複数パッケージモデルのプランを設定 サービス提供している企業の負担が低い場合はフリーミアムを推奨 価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライスハックにお問い合わせください。

ダイナミックプライシングとは?仕組み・事例をわかりやすく解説

2020/12/02

近年注目を浴びているダイナミックプライシング(価格変動制)とはなにかについて、この記事では、定義・メリット・アルゴリズム・歴史・事例・導入方法など、様々な角度から解説します。 ダイナミックプライシングとは2 ダイナミックプライシングの概念的理解3 ダイナミックプライシングのメリット4 ダイナミックプライシングのデメリット4.1 ダイナミックプライシング導入への不信による顧客離れ4.2 高騰した価格による顧客離れ5 ダイナミックプライシングのアルゴリズム5.1 1.自動化5.2 2.機械学習による予測5.3 3.強化学習6 ダイナミックプライシングの歴史6.1 原始的なプライシング6.2 19世紀後半(1870年代〜)6.3 20世紀後半(1980年代〜)6.4 2000年代〜6.5 現在7 ダイナミックプライシングが導入されている業界7.1 遊園地7.2 駐車場7.3 EC業界7.4 オフライン小売業界7.5 スポーツ業界7.6 ホテル業界7.7 飲食業界7.8 コロナ禍でのダイナミックプライシング8 ダイナミックプライシングの導入方法9 まとめ10 プライスハックとは ダイナミックプライシングとは ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)とは、高頻度で価格を変更する仕組みです。 言葉を分解し理解すると、「ダイナミック」とは英和辞典で「動的」と訳され、何かが時間とともに変動する状態を指します。一方、「プライシング」とは、商品やサービスの値付けのことを指し、マーケティングでは重要とされる「4P」のうちの1つの概念です。 日常生活で私たちは多くの場合、商品・サービスの価格は発売時当初から一定であるもの(一定価格制)を享受しています。一方、ダイナミックプライシングでは、ITやAIなどのツールを用い、高頻度での価格変更を実現させています。 ダイナミックプライシングの概念的理解 ダイナミックプライシングの概念を理解するには、そもそものプライシングの基本を知る必要があります。 商品・サービスの売上は、「価格」と「販売量」の2つが組み合わさり、決定される(売上曲線)のに対し、販売量は価格に応じて、反比例“的”に決まります(価格曲線)。 この、価格曲線に価格を掛け合わせた「売上曲線」の最大化の実現がプライシングの基本です。 ダイナミックプライシングは、このプライシングの基本に需要と供給を組み合わせて、機会損失の最小化を実現を目的としています。 数量と価格による需要曲線を仮定したとき、一定価格での販売では機会損失(上図水色部分)が多く生まれます。 一方、ダイナミックプライシングの実現は、需要により価格を変動できるため、機会損失を減らせます。 ダイナミックプライシングでは、需要が多く、供給が間に合わない場合は、価格を高くし、それでも購入する顧客を絞りつつ、収益を最大化する。一方、供給が多く、在庫処分または機会損失が発生する場合は、価格を低くし、購入者数を増加し、売上向上を図る。といった戦略が可能です。 ダイナミックプライシングのメリット ダイナミックプライシングの最大のメリットは、「収益最大化」です。先ほど紹介した図は、価格とその価格で販売できる数量を示した図です。この図を用い、改めて収益最大化のポイントを解説します。 左図が通常の価格設定、つまり一定価格での販売です。価格はA円に固定され、この価格での販売数の最大はaになります。そのため、最大売上はA円×a個で、売上は紺色の部分が該当します。 全ての状態において、予測する最大の販売数aが販売できるのであれば、問題はありません。しかし、実際に商品・サービスの需要は一定ではなく、変動するものです。 需要が大きいとき →実際に得られたはずの収益を逃す。在庫不足が発生する。 需要が小さいとき →販売数が減少する。在庫が余る。 つまり、通常の一定価格では、需要が大きい時には収益を、需要が小さい時には価格を下げれば獲得できたであろう顧客を逃してしまいます。一方、ダイナミックプライシングによる価格設定(右図)では、価格をA円だけでなく、B・C点のような値上げ、D・E点のような値下げを実施できるため、需要の変動や供給の状況に応じた収益最大化が可能になります。 需要が大きい、または供給不足と判断されるとき →価格を上げ、その値段でも購入する層からより多くの利益を得られます。また、飛行機など供給が限られる場合は、需要の集中を抑え、需要が小さい時に購入するようにうながすことになり、全体の収益を最大化します。需要が小さい、または供給過多と判断されるとき →値下げをおこない、新規顧客・見込み顧客を流入させ、販売数を増やせます。これには収益が増える、在庫処理をスピーディーにできるというメリットだけではなく、一定価格制では価格が高いゆえに商品に見向きもしなかった顧客に、自社製品を知ってもらえるというマーケティング的価値もあります。 ダイナミックプライシングでは、一定価格制のもとでは失っていた、本来需要変動により生まれる 「定価より高価での販売機会」 「販売する価格を下げれば獲得できたであろう販売機会」 を逃さず掴み、収益を最大化を実現しています。 他にもメリットとして、より深い顧客の理解・工数削減・安全な価格管理などがあります。 ダイナミックプライシングのメリット4選|決め手は収益の最大化! ダイナミックプライシングは近年多くの業界で導入が拡大しています。それでは、企業はどんなメリットを求めて導入しているのでしょうか?この記事ではダイナミックプライシングがもたらすメリット4選をわかりやすく…… ダイナミックプライシングのデメリット ダイナミックプライシングは、収益の最大化につながる一方、導入による顧客離れの危険性があります。ダイナミックプライシング導入への不信や高騰した価格による顧客離れが起こりえます。 ダイナミックプライシング導入への不信による顧客離れ ダイナミックプライシングの導入は消費者からの不信を買うリスクがあります。 顧客は値上げに対して敏感であり、ダイナミックプライシングによる大幅な値上げは「この企業は、自社の儲けだけを追求している」と感じさせてしまいます。 また、値下げをする前に高値で購入した顧客は、損をした気分になり不満を抱いてしまうかもしれません。例えば、飛行機のチケットを7,000円で購入した顧客が、翌日に6,000円に値下げされたチケットを見た場合、1,000円分の損をした感覚になるとっいった感じです。 ダイナミックプライシングによる価格変動は、顧客の不信感を募らせ、それを理由に商品・サービスを購入しなくなるという、長期的な利益を失うというリスクがあります。 そのため、ダイナミックプライシングを導入するときは、顧客に適切な導入理由や価格変動の要因を納得感のあるかたちで顧客に伝えなければいけません。 高騰した価格による顧客離れ ダイナミックプライシングによる値上げは、商品・サービスに対して価格が見合っているかに対して、顧客が不信感を抱く危険性もあります。 例えば、繁盛期のホテルでは、宿泊料が通常価格の何倍にもなることはよくありますが、提供されるサービスの質は変わらないので、消費者からすれば、値段に対してサービスの質が低いと判断されかねません。 ダイナミックプライシングを導入した事実を顧客が知らないとしても、値上げされた価格に対してサービスが見合っていないと判断し、顧客がサービスから離れてしまうリスクも持ちます。 顧客離反を生まないためにも、ダイナミックプライシングを導入する際には、導入理由や仕組みについて、顧客に詳しく説明することが重要です。 ダイナミックプライシング導入のデメリットは?リスクと解決策を解説 ダイナミックプライシングの導入には大きなメリットがある一方、導入に伴うデメリットも存在します。この記事では、ダイナミックプライシング導入が抱えるリスクと、それへの対処法について解説しています。…… ダイナミックプライシングのアルゴリズム ダイナミックプライシングの「需給に合わせた最適な価格決定」のアルゴリズムは、利用する技術ベースで次の3つに大別できます。 1.自動化 2.機械学習による予測 3.強化学習 1.自動化 自動化によるダイナミックプライシングは、既存の値付けルールをシステムで実現させたもので、一般的にルールベースと呼ばれます。 完全手動で作成したルール・機械学習を活用して作成したルールをシステムに置き換え、実装するというダイナミックプライシングです。 この仕組みはの利点は、実装に必要な技術の難易度がそこまで高くなく、実装が容易なことです。 通例業界としては、従来からの変動価格を利用していた航空・ホテル業界や競合価格のみを参照した価格変更をおこなうEC小売業界があります。 2.機械学習による予測 機械学習によるダイナミックプライシングは、需要を仮定し、需要予測から最適な値付けをおこなうものです。需要予測には、頻度論的回帰モデルやベイズ回帰モデルといった手法が使われます。 日付や曜日、天候や近隣イベントの有無など様々な変数をもとに、時々の需要予測を実施したプライシングが行われ、現在のダイナミックプライシングの主流と呼べるものです。 需要変動に売上が大きく影響を受けるテーマパーク業界やスポーツ観戦・コンサート・ライブなどといったエンタメ業界など、需要予測が必要な業界で多く採用されています。 3.強化学習 強化学習によるダイナミックプライシングは、特定の状態(天気など、需要と価格に関わる変数の特定の値)で、最も収益最大化につながる選択肢を、AIの経験から導き出す仕組みです。 強化学習によるダイナミックプライシングは、需要を仮定しないため、より収益最大化につながる可能性があるとされていますが、実装事例は、特に国内ではほとんど見受けられません。 原因としては、次のものが考えられます。 1.データ不足 2.精度に欠けている 3.AIの判断がブラックボックス化される恐れがある 現在、機械学習によるダイナミックプライシングは、論文レベルでは進行中であるが、プライシング領域での実用例はほぼなく、実用化は先の話になるでしょう。 ダイナミックプライシングのアルゴリズム3種類を簡単に解説 ダイナミックプライシングは、変動する需給に合わせた最適な価格で商品/サービスをで販売することを可能にします。それでは、どのように需給に合わせた最適価格を導いているのでしょうか?この記事では、ダイナミッ…… ダイナミックプライシングの歴史 原始的なプライシング 歴史的に見ると、価格が一定だった期間は、値札が開発された1870年代からで、むしろ価格は変動的な方が主流だったと言っても過言ではありません。 値札が使われる以前は、消費者と店主の価格交渉で決定されることが当たり前でした。 19世紀後半(1870年代〜) 19世紀からの企業の大規模化の中で、この作業コストを軽減するために、値札を使い、一定価格で商品を販売するようになりました。 この後に続く大量生産の時代では一定価格制が一層社会に浸透していき、20世紀以降にに登場するサービス業などの新しい業態でも、一定価格でサービスを販売することが当然のようになりました。 20世紀後半(1980年代〜) 1980年代を皮切りに現代版ダイナミックプライシングがアメリカの航空産業で始まりました。 アメリカの航空会社は数百万ドルを投資して、季節などの座席需要に影響を与える要素にもとづいて価格を自動調整するコンピュータープログラムを開発したそうです。これが情報技術を使った初めてのダイナミックプライシングだと言われています。 その後、航空業界に続く形で、ホテルやクルーズなど、その他の旅行業界のプレイヤーもダイナミックプライシングを導入していきました。 2000年代〜 EC小売市場では同じ商品が乱立した結果、消費者にとって”価格”が主要な商品の選択要因となり、価格調整を自動化するソリューションとして、小売企業にもダイナミックプライシングツールが普及しました。 現在 現在では、商品・サービスごとの需要の変動や供給量の変化を予測できるEC小売向けSaaSや、需要変動が予測しにくいスポーツ業界での開発企業が登場しています。 この背景にはAIの発達があります。AIを用いることで、自社のデータだけではなく、大量のビッグデータを収集し、分析し、これまでには扱えなかった複雑な条件を需要予測に加味できるようになりました。 需要予測の可能性が広がり、多くの業界でダイナミックプライシングを活用できるようになった今、わたしたちの暮らしに影響を与えています。 ダイナミックプライシングの歴史を徹底解説 商品価格が一定でなくなるダイナミックプライシングは、異常なものなのでしょうか?実は、商品を一定の価格で販売していた時期の方が歴史的に見れば珍しいのです。この記事では、ダイナミックプライシングの起源や拡…… ダイナミックプライシングが導入されている業界 ダイナミックプライシングは近年多くの業界に導入されています。AI、ビッグデータ、電子棚札といったテクノロジーの発展と共に活用できる業界は広がりました。その例をいくつか紹介していきます。 ダイナミックプライシングの国内外の10の事例を解説 ダイナミックプライシングとはなにかについて、国内外の10の事例をもとに解説します。近年、ダイナミックプライシングは様々な業界で導入されています。…… 遊園地 「東京ディズニーランド・ディズニーシー」や「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)」などを代表する遊園地で、入場チケットのダイナミックプライシングが導入されています。 入場チケットのダイナミックプライシングの導入は、時期による入園者数の変化などに対応するため、混雑緩和などを狙いとした導入と公表されています。 USJでは2019年1月より、ディズニーでは2021年3月より、土日・祝日・長期休暇期間・ゴールデンウイークなど、混雑時にチケット価格が基本料金より値上げされるダイナミックプライシングがおこなわれています。 参照 ・日経新聞「USJ、入場券に変動価格制 大手テーマパークで初」 ・東京ディズニーランド®/東京ディズニーシー® チケットの変動価格制導入について ダイナミックプライシングで混雑が緩和される?専門家が考察します 解決が望まれる混雑問題。ダイナミックプライシングは、近年その解決策として注目を集めているのです。この記事では、混雑緩和になぜダイナミックプライシングが役立つのかの説明に加え、実際に導入が見込まれる業界…… 駐車場 駐車場は、現在日本でも、海外でもダイナミックプライシングの導入が進んでいる領域です。需要予測をもとに、駐車場の値段を最適価格に変更します。 国内の駐車場予約サービスakippaでは、ダイナミックプライシングが適用されています。駐車場の近くでのイベントの有無や普段の利用状況から需要を予測し、それに応じた値段に価格を設定しているようです。 ダイナミックプライシング企業インタビュー01 akippa株式会社 akippa株式会社は、様々な空きスペースを駐車場として貸し借りできるサービスを運営している会社で、現在ダイナミックプライシングを導入しております。今回は導入経緯やダイナミックプライシングのこれからに…… EC業界 消費者が特定の商品を購入する際、同じものを複数のサイトで販売しているEC業界では、商品そのものの価値より、販売価格が重視されます。 そのため、競合の価格や変動する需要に応じて価格を変動させることで収益を最大化できます。 EC小売業界で注目されるダイナミックプライシングの事例をわかりやすく解説 ECでの小売業界は、ダイナミックプライシングが長く導入されており、実際に多くの成功事例が見られている業界です。この記事では、EC小売業界でのダイナミックプライシングについて、導入事例や特徴に触れながら…… オフライン小売業界 ここ数年でオフライン小売でも導入が拡大しております。電子棚札の利用拡大により、日本国内でも大手家電量販店のノジマやビックカメラがダイナミックプライシングでの値付けを始めました。 また、コンビニエンスストアのローソンでも、商品の賞味期限を基準に価格を変動させるダイナミックプライシングの導入実験が行われています。 もともとオフライン小売業界は、Amazonなどオンライン小売店やオフライン小売店同士の激しい競争環境のため、価格変更を頻繁に行う必要がありました。しかし、値札の張り替えを手動でおこなうのは、扱う商品点数が多い大手小売店において、非常にコストがかかるものでした。 電子棚札の登場は、ダイナミックプライシングの導入を拡大させ、以前より高頻度の価格変更をスピーディーかつローコストにできるのを実現させました。 【ビックカメラ】リアル店舗でのダイナミックプライシング|導入事例を徹底解説 ビックカメラなどの大手小売店では、消費者に選ばれる商品価格の決定が重要になるなか、ダイナミックプライシングの注目度は高まっています。しかし、リアル店舗を持つ小売店で、どのように行うのでしょうか?この記…… スポーツ業界 スポーツのチケットの需要は、試合ごとに大きく異なり、その需要はあらかじめ予測できるものではなく、試合状況や、天候などの環境要因に左右されます。 スポーツ業界でのダイナミックプライシングは、時間と共に変化する需要をAIを用いた機械学習で予測し、さらにスタジアムの残り席数という供給(在庫)状態も加味して、価格決定をしています。 Jリーグでも!スポーツチケット販売で活躍するダイナミックプライシング 近年、サッカーJリーグなどプロスポーツの試合のチケットはダイナミックプライシングで値付けされている場合があります。この記事では、国内外の事例に触れながら、スポーツ業界でのダイナミックプライシングの現状…… ホテル業界 ホテルでは古くから使われてきた「レベニューマネジメント」という手法があり、予約状況をもとにした価格変更を手動で実施していました。 現在では、ダイナミックプライシングを自動化しおこなうことで、効率よく収益最大化を図っています。 ホテル業界のダイナミックプライシング|客室稼働率を向上させる価格システムを解説 この記事では、ホテル業界でのダイナミックプライシングについて、事例を交えながら解説いたします。…… 飲食業界 コロナ禍における「3密」を回避するために、飲食店でダイナミックプライシングを導入されたのが、ネット上で話題となっていました。 最新の飲食店のダイナミックプライシング事例【SNSで話題沸騰中】 様々な分野で導入が進むダイナミックプライシングですが、先日飲食店で導入されたというニュースが流れました。この記事では、最新事例を元に、飲食店でのダイナミックプライシングの可能性について迫っていきます。…… コロナ禍でのダイナミックプライシング コロナ禍の状況によりダイナミックプライシング導入が促進されています。 今回紹介した業界以外にも、電車・高速道路・旅行産業でもダイナミックプライシングが進んでいます。 コロナ禍でダイナミックプライシングが大幅促進!?ニュースと事例を総まとめ! 新型コロナウイルスの感染拡大と共に耳にすることが増えた「ダイナミックプライシング」。この記事では、コロナ禍で報道されたニュースをもとに、ダイナミックプライシングを解説していこうと思います。…… ダイナミックプライシングの導入方法 ダイナミックプライシングの導入方法としては、自社開発・ツール利用・受託開発があげられます。 3つのパターンを検討する際に役に立つ、フローチャートを作成しました。 導入を検討されている企業様は、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。 ダイナミックプライシングの導入マニュアル【2020年最新版】 ダイナミックプライシングの導入には、検討すべき項目が複数あります。導入すべき企業はどんな企業なのか、どんな方法で導入できるのか、などについて解説しているこの記事は、ダイナミックプライシング導入マニュア…… ダイナミックプライシングに関するツール販売業者・受託開発業者を比較検討を考えている企業様は、こちらの記事を参考にしてください。 ダイナミックプライシングのおすすめサービス一覧|専門家がガチ比較・評価 ダイナミックプライシングのサービスは現在様々な業界で活用されています。この記事では、国内で提供されているサービスを業界別で網羅的に紹介しています。この記事を読んでぜひ自社に適したダイナミックプライシン…… まとめ 高頻度で価格を変動させる仕組みであるダイナミックプライシングは、需給に応じた価格に商品価格を変更し続けることによって、導入企業の収益最大化に貢献します。 しかし、導入には顧客離れにつながるリスクもあるため、導入を顧客に納得いただけるように、「導入理由」及び「価格変動要因」をしっかりと顧客に伝えることが重要です。 そして、このようなダイナミックプライシングは、技術の進歩とともに、様々な仕組みでの収益の最大化を目指せるようになり、様々な業界に適用されるようになりました。 この記事ではダイナミックプライシングについて、定義・メリット・デメリット・仕組み・導入事例など様々な観点から解説しました。この記事を通じてダイナミックプライシングとは何かを理解できたのならば幸いです。 プライスハックとは プライスハックとは、「プライシングで事業成長を加速させる」をミッションとして掲げるプライシングスタジオ株式会社が運営する、プライシングメディアです。 価格を1%あげたことで、「12.8%」営業利益が改善されると言われているほど、企業・事業の成長にとってプライシングは重要なものになってきます。 しかし、実際にいくらで売ればいいのか、値上げしたら離反顧客が出てしまうのではないかという懸念から、自社での価格決定・価格変更を実施するのが難しいのが現状です。 私たちは、プライシングのプロフェッショナル集団として、企業のプライシングに関する課題を全力で解決したいと思っております。

ダイナミックプライシングのアルゴリズム3種類を簡単に解説

2020/12/01

ダイナミックプライシングは、変動する需給に合わせた最適な価格で商品/サービスをで販売することを可能にします。それでは、どのように需給に合わせた最適価格を導いているのでしょうか? この記事では、ダイナミックプライシングのアルゴリズムについて簡潔に解説します。ダイナミックプライシングとは何かについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 ダイナミックプライシングとは?仕組み・事例をわかりやすく解説 近年話題のダイナミックプライシングとはなんでしょうか?「メリットは?デメリットは?どんな仕組み?歴史は?どんな事例があるの??」この記事では、そんな悩みに答えるべく、ダイナミックプライシングについて網…… はじめに2 ダイナミックプライシングのアルゴリズム解説2.1 1.自動化2.2 2.機械学習による予測2.3 3.強化学習3 まとめ はじめに ダイナミックプライシングは、需給に合わせてその時の最適な価格に価格を変更することで収益を最大化します。この「需給に合わせた最適な価格決定」の仕組みは、利用する技術ベースで3つに大別できます。それではその仕組みについて解説していきます。 ダイナミックプライシングとは?仕組み・事例をわかりやすく解説 近年話題のダイナミックプライシングとはなんでしょうか?「メリットは?デメリットは?どんな仕組み?歴史は?どんな事例があるの??」この記事では、そんな悩みに答えるべく、ダイナミックプライシングについて網…… ダイナミックプライシングのアルゴリズム解説 1.自動化 第1のパターンは、既に定まっている価格決定のルールに基づき、人の手で行っている価格変更作業を、自動化する仕組みです。ダイナミックプライシングでは「収益の最大化を目指す際に把握したい需要の変動」をツールを用いて予測し、価格を決定するのが主流ですが(後述)、このパターンはツールを用いた需要の予測を行わない点で特徴的です。 その例として、 競合価格を監視し、競合価格に応じて価格を自動変更するツール 在庫数に応じて価格を自動変更するツール が挙げられます。 1の場合、監視する競合価格から100円安くするなど、競合価格をもとに価格変更するルールを定め、自動で価格を変更します。 2の場合、現在の自社の供給(在庫)状況をもとに、できるだけ高い値段で売り切れるように、予め定めたルールに沿って段階的に商品価格を自動変更します。 これらのツール・手法は、実装に必要な技術の難易度がそこまで高くないため、実装が容易だという利点があるものの、価格決定がルール化されていないと適用できないという難点もあります。 このパターンはホテルや飛行機のチケットなどの業界で古くから利用されてきたアルゴリズムになります。 2.機械学習による予測 ダイナミックプライシングの主流と呼べるものが、機械学習をもとに需要予測を行うパターンです。これは、天気や近隣のイベントの有無、曜日などの様々な変数をもとにその時々で需要予測を行い、それをもとにプライシングを行う仕組みとなります。この機械学習に分類されるダイナミックプライシングでは、需要予測をルールベースではなく機械学習といわれる手法で行い、プライシングをします。機械学習とは数理・統計による予測をコンピューターで行うアルゴリズムです。 例えば、EC小売ツールでも、競合価格に反応するだけではなく、過去の売れ行きからこれからの需要を予測する時系列分析という機械学習を利用して、需給に応じた価格決定を実現しています。機械学習を用いたダイナミックプライシングは、スポーツの試合やアーティストのライブのチケットや駐車場など、需要変動が頻繁に起こる業界で効果を発揮しやすい手法だと言えます。 このアルゴリズムが可能になってから、ダイナミックプライシングはホテルや飛行機などの特別な業界のソリューションではなく、一般的な収益最大化のツールとして検討されるようになったといえます。 3.強化学習 このパターンは、上記の2つのパターンとは考え方が異なります。この仕組みでは、予測した需要をもとに価格変更を行うのではなく、特定の状態(天気など、需要と価格に関わる変数の特定の値)で、最も収益最大化につながる選択肢を、AIが経験から導き出します。価格を動かしていると、収益や利益への影響が発生します。この時の収益・利益の変動具合を”報酬”としてAIに与えると、より最適な価格を導き出す学習を行います。与えられる報酬を最大化するように、最適な価格の提案ができるように学習するのです。 強化学習は、AIが最適な価格を学習するまでに大量のデータと思考錯誤の期間が必要という特徴があります。また、どういう理屈で価格を変動させたかが不明瞭になってしまい、ブラックボックス化してしまうというリスクも抱えています。 また、この強化学習を利用したダイナミックプライシングを提供している企業はほとんどないのが現状です。理論上は可能なはずですが、データが足りていない、精度にかけている、顧客離れのリスクからブラックボックス化を避けている、などの理由から、このモデルの社会実装は進んでいないと考えられます。 顧客に不信をもたれるというリスクについてはこちらで詳しく解説しております。 ダイナミックプライシング導入のデメリットは?リスクと解決策を解説 ダイナミックプライシングの導入には大きなメリットがある一方、導入に伴うデメリットも存在します。この記事では、ダイナミックプライシング導入が抱えるリスクと、それへの対処法について解説しています。…… まとめ ダイナミックプライシングは、技術の発展とともに今回3つに分類したような仕組みが生まれました。現在の主流は、2番目に紹介した需要予測ベースの機械学習となりますが、他の2つの仕組みも活用できれば高い効果を発揮します。 この記事では、これらについて解説してまいりました。 ただし、今回の記事では、仕組みの大枠は説明しましたが、実際に必要となる数式やアルゴリズムの詳細までは言及しておりません。そのため、実際に導入を考えている場合は、アルゴリズムに関して豊富な知識を持つ、ダイナミックプライシングの開発企業へ相談することも選択肢の一つとして考えられます。ダイナミックプライシングを企業で導入しようと思った際に、その実現の仕方までは検討されないかもしれませんが、活用する仕組みを把握して導入することができると、失敗も少なくなるかと思います。 導入をお考えの方はこちらの記事をご覧ください。 ダイナミックプライシングの導入マニュアル【2020年最新版】 ダイナミックプライシングの導入には、検討すべき項目が複数あります。導入すべき企業はどんな企業なのか、どんな方法で導入できるのか、などについて解説しているこの記事は、ダイナミックプライシング導入マニュア……

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