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2020.12.26(更新日:2023.03.6)

ARR(年間経常収益)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

ARR(年間経常収益)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標
ARR(年間経常収益)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標
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ARR(年間経常収益)は、企業の収益状況を把握するためによく用いられる指標です。似た指標であるMRRとは、どのような違いがあるのでしょうか?この記事では、ARRとその計算方法について解説します。

ARR(年間経常収益)とは

ARR(Annual Recurring Revenue)は、年間経常収益と訳され、サブスクリプションビジネスにおける年間の定額収益をあらわします。

一般的にSaaS企業の指標として用いられることが多く、ARRの推移を追うことで、ビジネスの1年単位での成長性を確認できます。

ARRとMRRの違い

ARRによく似た概念にMRR(Monthly Recurring Revenue)があげられます。MRRはARRの月間版で、月間経常収益のことを指し、企業が毎月繰り返し得られる売上です。

ARR(年間経常収益)が重要な理由

年間経常収益を示すARRが重要な理由を4つ紹介します。

長期的な計画が立てられるため

ARRを追うことで、1年単位で事業を評価し、新たな長期計画を立てられます。一般的に、ARRの値が低くなる企業は、MRRだけを認識し、ARRを追わないことが多いですが、MRR・ARRの両方の把握が重要です。

サービスの成長を確認できるため

毎年のARRを把握することで、1年単位での事業の成長を見れます。

プロダクト開発・営業の両チームの共通した指標として活用できる

プロダクト開発チームには、ARRを落とさないための機能や顧客体験を作る指標として活用し、営業チームは、質の高い顧客を獲得できているかを評価できる指標として利用できます。

財務指標として活用できるため

サブスクリプションにおいて重要な財務指標であるARRとMRRは、外部に対して企業の状況を表せます。MRRだけではなく、1年単位での変化を示せるARRを用いることで、短期と長期の両方のキャッシュフローを把握することが可能です。

ARR(年間経常収益)の計算方法

ARRの計算方法は、「MRR×12」で表せます。

ARRに含めるもの

ARRに含めるべきものは次の4つです

・月額料金などの全ての経常収益
・既存顧客からの追加収益
・既存顧客から減退した収益
・解約によって失う経常収益

ARRに含めないもの

ARRの計算に含むべきでないとされるものは次の4点です。

・初期費用
・単発の追加購入による収益
・一括課金

ARR(年間経常収益)を増加させるためには

ARRを増加させるためには次の4つの方向性が考えられます。

獲得する顧客を増やす

営業やマーケティングを通じて獲得する顧客数を増やすことで、ARRを増加させられます。ただし、そのためには、LTV/CAC比率を意識しながら顧客獲得を行う必要があります。

アップグレードによる収益増加を狙う

既存の顧客にプランをアップグレードしてもらうことで、収益増加を狙えます。そのために、顧客の支払意欲に応じた課金モデルを設置することが必要です。

顧客の継続力を高める・解約率を下げる

顧客を維持することができれば、顧客数が積み重なっていき、ARRは自然と増加していきます。顧客の維持には、プロダクトが顧客が感じる価値に適合している必要があるため、顧客を知り、プロダクトを改善していく必要があります。

まとめ

ARRは、MRRと同様にサブスクリプションサービスで活用されるべき指標です。MRRだけでは追えない、長期的な収益状態を把握することができるのはARRならではの価値です。ARRを意味のあるものにするには、適切な計算が欠かせません。

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Masatoshi Arimoto

有本 雅俊

プライシングスタジオ株式会社

プライスコンサルタント

スカイライトコンサルティングに新卒入社。
「企業合併に伴う業務統合・システム導入」「マーケティング戦略立案支援」「新規事業立上げ期の営業企画支援」「カスタマーサクセス組織立上げ・業務オペレーション構築」など、業務改革を中心に幅広いテーマのプロジェクトに参画。
その後、プライシングスタジオに入社し、幅広い価格戦略策定業務に従事。

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