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チャットボット業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

2020/12/26 (更新日:2022/03/15)

この記事では、チャットボット業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。


プライシングスプリント

チャットボットとは

チャットボットとは「会話(chat)」と「ロボット(bot)」を組み合わせたもので、チャットボットを導入した企業のウェブサイトなどに訪れた人とチャットツール上で自動で答えを返すサービスです。

チャットボット業界の市場規模

株式会社ITRの調査によると、チャットボットは2019年度に100億円を突破しています。2024年度まで年平均成長率は20%と、今後も強い成長が見込まれます。

出典:株式会社ITR調査

チャットボットの価格・料金体系の概要

チャットボットは、月額料金制で「機能数によって値段が変動する複数パッケージモデル」の価格体系が設定されています。

また、一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、チャットボット業界の中では一般的ではありません。

無料でサービスを試用できる体系として、フリーミアム・無料トライアルが設定されています。

チャットボットと似た料金体系を採用している業界としては、マーケティングオートメーションなどがあげられますユーザーごとの従量課金制が設定されにくい理由として、一部の部署でしか利用しないシステムはユーザー数が増えることが見込みにくいためです。

チャットボット業界の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料トライアル
minarai 50,000円〜(※1) 複数価格
フリーミアム
sAI Chat 80,000円〜(※1) 複数価格 300,000円
ENOKI 100,000円〜(※1) 複数価格
Chai 4,980円〜(※2) 複数価格
DialogPlay 50,000円〜(※2) 複数価格
CHORDSHIP 500,000円〜(※2) 複数価格
QA ENGINE 300,000円〜(※1,2) 複数価格
スグレス 94,000円〜 複数価格 500,000円

※1:登録できるFAQの上限数によって、プランが区分される
※2:対応できるチャット数の上限数によって、プランが区分される

(調査日:2020年12月15日)

初期費用が設定されている理由

初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。

フリーミアムと無料トライアル

minarai CS Chatでは、チャットボットを作成し顧客のサイト上で利用可能できるが、その対話結果を確認ができない形でフリーミアムを提供しています。ENOKIとDialogPlayは一定期間試用できる無料トライアルが設定されています。

月額料金における複数機能パッケージ

チャットボット業界の複数機能パッケージは主に「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」と「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」の2つでプランを区分しています。

チャットボットの価格体系に関する考察

初期費用は非推奨

チャットボットでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金の値上げを推奨します。

サービス提供している企業の負担が低い場合はフリーミアムを推奨

フリーミアムは、リード獲得を目的とする他に、ユーザーがサービスに価値を感じるまでの期間の利用を促進し、有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。

そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。

ただし、チャットボットのトライアル運用であっても、顧客ごとのカスタマイズが必要で、企業側の負担が大きい場合はフリーミアムの運用は推奨されません。

月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨

複数機能パッケージを設定していく中で「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」と「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」のどちらが適切なのかは一概には言えません。ターゲットとする顧客層によって「多くのFAQを必要とするのか」「多くのチャット数を必要とするのか」などサービスのどこに価値を感じているのかに合わせて設定するべきです。

プライシングを適正化するためには

これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。

プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。

以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。

まとめ

チャットボットでは、月額料金は複数パッケージモデルで、プランの区分として「サイト訪問者の質問に受け答え可能なFAQのパターン数の上限」「サイト訪問者とチャットボットのチャットできる数の上限」が設定されています。一部のサービスでは初期費用・無料トライアル・フリーミアムが設定されています。

また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。

  • 初期費用は設定せずその他の料金に反映
  • 月額料金はターゲットによって複数パッケージモデルのプランを設定
  • サービス提供している企業の負担が低い場合はフリーミアムを推奨

価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライスハックにお問い合わせください。

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役社長

これまでリクルートをはじめとする大手企業から中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。慶應義塾大学在学中に起業。

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顧客の価値にもとづいて価格を設定する、バリューベースプライシングについて、定義・採用すべき理由・気をつける点・実行方法を解説します。 バリューベースプライシングとは2 バリューベースプライシングをすべき企業3 バリューベースプライシングのを採用すべき理由3.1 商品・サービスに対しての正しい利益を得られる3.2 顧客価値起点の製品・サービスの改善3.3 効果的な価格戦略を構築できる4 バリューベースプライシングで気をつけるべき点4.1 専門的な知識と十分なデータが必要になる4.2 継続的な実行の必要性5 バリューベースプライシングの実行方法5.1 顧客セグメントを定義する5.2 顧客価値を仮定する5.3 顧客調査を実施する5.4 価格を設定する6 まとめ バリューベースプライシングとは バリューベースプライシングとは、顧客が商品・サービスに感じている価値に基づいて価格を設定することです。 バリューベースプライシングにより、商品・サービスの価格を原価や競合の価格にとらわれずに、値段を決められます。 バリューベースプライシングをすべき企業 顧客の購入起点で、売り手と買い手の関係は始まるので、一部の場合を除き顧客起点のバリュープライシングから始めることが、どのような事業においても有効です。 また、バリューベースプライシングは他のプライシングと異なり、調査を行うことで顧客の購入可否を予想できるため、理想的な状態での販売数、売上の推計をおこなうことができ、計画性をもった事業運営が可能になります。 一方、バリューベースプライシングが有効でない一部の場合とはどのような時でしょうか、それは下記のようなケースです。 ・製品カテゴリに差別化要因がない 差別化要因のない製品カテゴリでは、廉価なものが顧客に選考されるため競合ベースの価格設定が有効となります。 ・商習慣により該当製品群の平均売価が顧客の知覚価値より高い コストベースの価格設定を業界全体で行っており*、実際の売価が顧客の知覚価値より高い場合(売価>知覚価値)は、バリューベースの価格設定は単価の引き下げを生み、売上を毀損することが考えられます。 *業界内で「競争回避のための、意思の連絡」を行い価格設定を行うことは、独占禁止法の不当な取引制限で禁止されています。 バリューベースプライシングのを採用すべき理由 バリューベースプライシングの採用すべき理由は次の3点があげられます。 商品・サービスに対しての正しい利益を得られる バリューベースプライシングでは、自社の顧客の支払意欲に基づいた価格設定を行うため、顧客にとって高すぎて検討に乗らない価格を設定することや、顧客にとって安すぎて品質が低いと感じる価格が設定されることが減り、商品・サービスに対しての適切な対価を得られるようになります。 また、商品・サービスの開発・改善を繰り替えし、顧客が感じている価値が上昇した場合、それに応じた値上げも可能です。 例として東京ディズニーランドは開園以来、顧客の価格に対する感度を参考に10回以上の価格改定を行っていますが、顧客価値が向上しているため値上げが可能になっている考えられます。 顧客価値起点の製品・サービスの改善 バリューベースプライシングは価格に顧客価値という観点が入るため、顧客価値を満たす製品・サービス開発をおこなえます。 顧客価値のある製品・サービス特性を把握することで、より強みを強化する製品・サービス改善が可能になるだけでなく、バリュープライシングの調査で明らかになった顧客の支払意欲と現在の製品にギャップがある場合においても、それを埋めるためのサービス改善を行うことが可能になります。 結果として顧客満足度をあげることができ、長期的な顧客との関係性を作ることが可能です。 効果的な価格戦略を構築できる バリューベースプライシングの最大の利点は、顧客の支払意欲の把握により、価格変更による顧客数の変化を推定できることになります。 価格変更による顧客数の変化を推定することで、事業戦略上必要な顧客の離脱を起こす価格改定を避けることができ、戦略的な価格戦略を実行できます。 バリューベースプライシングで気をつけるべき点 バリューベースプライシングは、顧客の感じる価値に基づいて価格設定がおこなえますが、実行フェイズにおいては2点の注意が必要になります。 専門的な知識と十分なデータが必要になる バリューベースプライシングを実際におこなうためには、それに対応した専門的な知識と十分なデータが必要になります。特に、顧客の価値を価格として表すために、顧客調査を行うには価格と調査に対する専門性と時間を要します。 このことから、多くの企業は原価に基づいた価格設定や競合他社ベースの価格設定を採択しているのが現状です。 PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順 最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。…… 継続的な実行の必要性 バリューベースプライシングによる価格設定は、顧客が感じている価値を価格として反映させたものになります。事業活動による改善、ターゲット・市場の変化で、顧客が感じる価値は変動します。 そのため、1度だけ設定したら終わりでなく、継続的に顧客の価値を調査し価格設定をし続けることで、継続的に顧客価値を反映した価格設定が重要になります。 バリューベースプライシングの実行方法 バリューベースプライシングは、価値を勘案して価格設定することですが、より確度の高い事業運営を行うために、顧客調査を行うバリュープライシングの実行方法をご紹介します。 顧客セグメントを定義する 製品・サービスに感じる価値は、顧客セグメントごとに異なります。 顧客調査を実行する前段階として自社の製品・サービスを利用する顧客セグメントを仮定することが必要です。 顧客価値を仮定する 自社の製品・サービスに対して、顧客セグメントごとに価値を感じているであろうポイントを仮定します。 調査の前段階として価値を仮定することで、顧客調査の段階で価値と支払意欲の関係性を把握することができるようになります。 顧客調査を実施する 顧客セグメントとセグメントごとの価値を仮定できたら、PSM分析などの支払意欲を調査する手法を用いて顧客調査を実施します。 調査段階では、誰に何を調査するかの調査設計が必要になります。 他の調査と比較してバリューベースプライシングの調査の特徴として、価値を定量化するために価値を想定できる状態の対象に調査をおこなう点があげられます。 自社の顧客に対して調査をおこなうか、自社製品・サービスを調査の前段階として伝えるなどの工夫が必要です。 価格を設定する 顧客セグメントに対して得られた支払意欲のデータをもとに価格を設定します。 顧客調査による支払意欲の把握により、価格変更によって生まれる顧客増減、売上増減を推計できるため、事業目的に合わせて顧客最大化、売上最大化の価格を選択します。 ここで、適切な調査が実施できている場合は、価格変更によりどういった属性の顧客が離脱するかもしくは増えるかといったこともわかるため、事業戦略と相反していないかの確認もここでおこない、事業戦略に適した価格設定を決定します。 事業戦略に適した価格設定については、こちらの記事もお読みください。 プライシング戦略とは?事業に適した価格設定の基本 価格戦略(プライシング)の重要性・様々な価格戦略について解説します。商品を最適な価格に設定することは、商品の利益を上げるための有効な手段です。…… SaaSプライシング戦略|SaaS事業に適した価格戦略 SaaS業界でプライシングが注目されているわけ 近年、SaaS業界におけるプライシングに対する注目度は、他の業界と比べ異常なほど高いです。理由は簡単で、海外VCを中心にプライシングの重要性、その効果…… まとめ バリューベースプライシングは、顧客の価値に基づいて価格を設定することです。 顧客価値に応じて価格を設定することは、よりよいサービス改善や効果的な価格戦略に繋がります。 バリューベースプライシングを行なった価格戦略が自社の商品・サービスに適しているか相談したい事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順

2021/01/24

PSM分析とはどのような分析手法なのでしょうか。この記事では、最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。 PSM分析(価格感応度分析)とは2 なぜ支払い意欲を調査すべきなのか3 PSM分析と他の調査手法との比較4 PSM分析の方法・手順4.1 ステップ1.アンケート調査4.2 ステップ2.可視化5 PSM分析の不足点5.1 交点の取り扱い6 Pricing Sprintとは?7 まとめ PSM分析(価格感応度分析)とは PSM分析(価格感応度分析)とは、バリューベースの価格設定を実現するために、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法です。1976年にオランダの経済学者VanWestendorpによって開発されたことから、PSM分析は「Van Westendorpモデル」と言われることもあります。 PSM分析を応用することで、商品・サービスがどの程度の価格なら最も顧客に受け入れられるかを把握でき、売り上げや顧客数を最大化できる価格を試算できます。 また私(高橋)が執筆したnoteでは、日本国内向けサービスの料金変更を行ったネットフリックス(Netflix)の事例を取り上げて解説しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。 なぜ支払い意欲を調査すべきなのか 顧客に対して支払い意欲を調査することで、根拠をもって価格設定ができるようになります。 価格設定は、事業成功のために重要な要因ですが、多くの事業で価格設定の確信を持つことができません。いくらなら顧客が購買するかの予測ができず、見当による価格設定となってしまうためです。特に自社の製品が他社の製品と類似でなく革新的な価値を持つ製品であればあるほど、価格設定は困難になります。 PSM分析と他の調査手法との比較 支払意欲の調査で最も一般的な方法は、潜在的な購入者に、製品に支払う金額を聞くことです。これは直接質問法と呼ばれ、簡単に実行することができますが、いくつかの欠点があり支払意欲調査として不足です。 購買可能な金額は点ではなくレンジであり、単一な価格を聞くことでは勘案しきれません。 また、直接質問では、潜在的な購入者が実際の支払意欲よりも低い価格で回答が集まると言われています。これは、基本的に購入者が企業に対して、価格を下げるように交渉したい心理が働くためです。 PSM分析では、直接質問と異なり、間接的な質問を複数おこなうため、間接的に支払意欲を測定し、バイアスの少ないレンジを持った支払意欲を測定することができます。 PSM分析の方法・手順 一般的なPSM分析の手順は、次の2段階のステップでおこなわれます。 1.アンケート調査 2.可視化 ステップ1.アンケート調査 PSM分析では、アンケートを通じて、実際に顧客が製品・サービスに対して、どれほどの支払意欲を持っているのかを調べます。 PSM分析で実際に使用されるアンケート項目は次の4つです。 PSM分析のアンケート項目 その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか? 直接的に購入したい価格を尋ねるのではなく、製品・サービスの価格に対する顧客の感覚を把握します。 ステップ2.可視化 次に、価格調査の結果を集計し、以下のようにグラフに回答者を累積してプロットします。 X軸が価格を、Y軸が当てはまる顧客の割合をあらわします。 価格が上がると、「安すぎて品質が低い」「安く感じる」と思う顧客が減り、「高すぎて検討に乗らない」「高く感じる」と思う顧客が増えます。 価格設定の参考となる4つの交点がわかります。 ・最適価格 最も価格拒否感がないと見られる価格 ・妥協価格 高い・安いの評価が分かれる価格 ・上限価格 これ以上高くなると、消費者の購入されなくなると見られる価格 ・下限価格 これ以上安くなると、消費者が「品質が悪いのではないかと不安になる」と感じる価格さ 交点の価格を参考にすることで、価格設定に目安をつけることができます。 PSM分析の不足点 ここまで一般的なPSM分析について説明しましたが、実際の価格設定では、PSM分析だけだと不足な点もあります。 交点の取り扱い PSM分析の交点はわかりやすい反面、正確性にかけるという欠点があります。実際には上限価格以上でも購入が検討に乗る人はいますし、同様に下限価格以下でも品質が悪いと思わない人が存在します。 最適価格に関しても、本来顧客が最大化する価格は安すぎて品質が低いと思う人と高すぎて検討に乗らないと思う人が最小となる価格で、必ずしも交点と一致しません。 PSMで収集したデータをプロットするだけでなく、集計して価格ごとの購買人数を推計した方が正確な結果となります。 Pricing Sprintとは? プライシングスタジオでは、PSM分析をもとに価格戦略の策定を提供するサービス「Pricing Sprint」を提供しています。 Pricing Sprintでは、PSM分析で顧客の支払意欲を把握するだけでなく、支払意欲をもとに顧客数、売上のシミュレーションをおこなえます。価格決定で重要な価格戦略の策定や価格策定サイクルの定着も専属のコンサルタントが伴走しますので、価格に課題を抱える企業の皆様ごとに最適なサービスを提供します。 「Pricing Sprint」サービスページはこちら まとめ PSM分析は、製品・サービスの適正価格を導くために用いられる分析手法です。顧客のアンケートにもとづき適切な価格を導くため、顧客価値から価格を算出可能です。バリューベースの価格設定を実現したい事業者様は、まずはお気軽に、プライスハックにお問い合わせください。