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価格の心理テクニック②(アンカー効果、松竹梅)

2021/05/18 (更新日:2022/01/05)

あなたは飲食店でワインを頼む時に、どの価格帯のワインを頼みますか?無意識に真ん中の価格帯の物を注文した経験がないでしょうか?

それは、実は「価格のアンカー効果」というものが働いているのです。

価格のアンカー効果とは、顧客が商品を選ぶ際に、商品の知識や価格帯に関する情報が不足していると、最初に目にした価格(アンカー)が判断に影響するという心理効果のことです。

アンカー効果は適切な分析を行うことで価格戦略に大きく役立てることができます。

この記事では、この理論を活用したプライシングのノウハウについて解説します。

価格アンカー効果とは

冒頭でもお伝えしましたが、価格アンカー効果とは顧客が商品の品質について評価をする時に、アンカーという最初に目にした価格が購買判断に影響する心理効果のことです。

アンカーという言葉の語源は、船の錨(アンカー)から来ています。最初に錨(アンカー)を海底に下ろすと、鎖は伸びる制限があるため、船を動かせる範囲に影響するということから名付けられました。

現在アクセサリーなどによく使われている「黒真珠」は、実はアンカー効果によって宝石という認識になったのです。

1970年頃、黒真珠はほとんど需要がありませんでした。そこで、イタリアのサルバドールアセールという商人は、黒真珠を最高級の宝石として世間にアンカーを刷り込んだのです。すると、そのアンカーは浸透し、宝石として流通しました。そして彼らは莫大な利益を築き上げました。

アンカー効果の例

松竹梅は、竹が売れる

アンカー効果の例として、「松竹梅は、竹が売れる」ことが挙げられます。

「真ん中のマジック」と呼ばれることもあり、松竹梅のように複数の価格帯が存在する時、真ん中の価格帯が一番売れる傾向にあるようです。

例えばコーヒーショップなどではTallサイズが売れやすいということになるのです。

(出典:タリーズコーヒージャパン)

他にもレストランでワインを注文するときでも同じようなことが起こるようです。

レストランでワインを選ぶ時、ほとんどの顧客はワインリストを見て中間の価格帯のワインを注文します。そして最も高価なワインや、最も安価なワインを選ぶ人はごく少数になります。

(出典:photoAC)

買い手は商品を選ぶ時できるだけ最善の意思決定をしようとします。そこで中間の価格帯の商品を選ぶことで、品質が劣るものを購入するリスクや、多く払い過ぎてしまうリスクを同時に軽減しようという思考が働くようです。

その際、買い手にとって真ん中の価格帯は魅力的に見え、他の商品でも現象が見られるのです。

そのため売り手は、複数の適切な価格帯を揃えアンカーを設置することで、意図的に一定の価格に誘導することが可能になるのです。

誰も買わないのに収益に貢献する商品

アンカー効果の二つ目の例として、「誰も買わないのに収益に貢献する商品」が挙げられます。

次のような事例が紹介されています。

ある販売員が、新しいスーツケースを買うために来店した客に対して予算を聞いたところ、200ドルと言いました。

そこで販売員は取扱商品の全体像を伝えたいと言い、900ドルのスーツケースを取り出してきて、品質やデザイン、ブランド名の点で最高級モデルであることを強調しました。その後、顧客が希望する価格帯の商品の設営に戻るがその際に250ドルから300ドルの価格帯の商品に客の注意を促しました。

すると250ドルから300ドルの価格帯の商品を購入する可能性がかなり高くなることがわかりました。

この事例のように明らかに買わないとわかっていたとしても、高額商品をアンカーとして品揃えに加えることで、顧客の支払意欲を引き上げるというやり方があるのです。

アンカー効果を生かした価格戦略

アンカー効果を生かした価格戦略として、顧客に商品の情報や知識がなかったり、その価格帯に関する情報を持っていない場合に、適切なアンカーを設置するという戦略が有効です。

アンカーがうまく機能すると、顧客を一定の価格に誘導したり、一回あたりの支払意欲を上げることが可能になります。

しかし、アンカー効果を価格戦略に活用するには注意が必要です。

理想の価格に誘導することを意識しすぎて、極端に高い価格や極端に安い価格をアンカーとして設置してしまうと、うまく機能しない場合があるのです。また、最悪の場合、顧客に対し極端なイメージ(中間価格帯のサービスなのに、高価格帯と勘違いされるなど)を植え付けることになってしまいます。

それは顧客が商品やサービスを購入する際、購入したいと思う価格のレンジが存在するからなのです。その為、アンカー効果を活用するためには、その価格レンジを理解しておく必要があります。

その際のアプローチとして使われるのが、PSM分析という分析手法です。詳しくは次の項目で紹介します。

PSM分析とは

PSM分析(価格感応度分析)とは、バリューベースの価格設定を実現するために、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法です。

PSM分析を応用することで、商品・サービスがどの程度の価格なら最も顧客に受け入れられるかを把握できます。

売り上げや顧客数を最大化できる価格を試算できるのですが、顧客が高いと感じる価格や安いと感じる価格も可視化することが可能なため、適切なアンカー価格を設定することに役立てることが可能になります。

PSM分析に関する詳しい記事はこちら。

まとめ

今回は、「価格のアンカー効果」という初期値が判断に影響する心理効果について紹介しました。

使い方次第では価格戦略に大きく役立てることができますが、商品・サービスがどの程度の価格なら最も顧客に受け入れられるかという価格レンジを把握してから活用すると良いでしょう。

プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

(参考:Confessions of the Pricing Man)

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

CEO at プライシングスタジオ株式会社

プライシング専門メディア「プライスハック」を監修するなど、プライシングに関する専門知識が豊富。プライシングスタジオの全案件にて、クライアント企業の価格課題分析 及び プライシングのアドバイザリー業務を担当。コンサルティング経験としては、飲食業界のプライシングに関する長期プロジェクトに参画し、売上改善を達成。

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