Pricing Studio
プライシングに対するすべての悩みを解決するWebメディア
2023.06.09(更新日:2024.03.04)

値上げを成功させる法則|値上げの成功の要因と失敗の原因

0605_アイキャッチ画像 (1)
0605_アイキャッチ画像 (1)
その他・価格業界情報
#価格戦略
#値上げ

「値上げをしたいが、どう⾏えばいいかわからない…」
「値上げをしたいが、顧客離れを最⼩限に抑えたい…」
「値上げをしたいが、お客様や取引先にどうやったら納得してもらえるかわからない…」
このような悩みや疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、値上げを成功させる法則と題して、値上げの成功の要因と失敗の原因、具体的な値上げ金額の決め方と顧客へのコミュニケーションの取り方について、3回に分けてお伝えいたします。

この記事は、下記の様な方におすすめの記事となっています。

  • スムーズな値上げを⾏いたい⽅
  • 値上げをしても顧客離れが最⼩限に収まる価格が知りたい⽅
  • 値上げを受け⼊れてもらいやすい適切なコミュニケーション⽅法が知りたい⽅

全3回お読みいただくことで、値上げの実施を予定している⽅や検討している⽅が、値上げ時の実施プロセスや注意点を理解でき、スムーズな値上げが実現できるようになります。
ぜひ最後までご一読ください!

値上げを成功させる法則の記事一覧

  • 第1部:値上げの成功の要因と失敗の原因(本記事)
  • 第2部:失敗しない値上げ金額の決め方(6/16公開予定)
  • 第3部:成功に導く顧客へのコミュニケーションの取り方(6/23公開予定)

値上げの成功の法則

値上げを実行するプロセスには大枠として「価格を決める」というプロセスと、「顧客とコミュニケーションをする」という2つのプロセスがあります。

それぞれのプロセスにおいて、「成功する要因」と「失敗する要因」を解説します。

値上げが成功する要因とは

スムーズな値上げが成功するための要因は主に2つあります。

①顧客の許容⾦額を超えないこと
②顧客と適切なコミュニケーションを取ること

上記について詳しく解説します。

①顧客の許容⾦額を超えないこと

前提として、顧客は、商品・サービスに対して、「支払ってもいいと思える金額」を持っています。

具体例として、「⽀払ってもいいと思っている⾦額」で競り合うオークションを挙げるとイメージしていただきやすいと思います。たとえどれだけ顧客が熱狂している商品であっても、顧客の「⽀払ってもいいと思っている⾦額」を超えると購買は生まれません。そのため「顧客の許容⾦額を超えないこと」がとても重要なのです。その⾦額帯のことを「支払い意欲」と⾔います。

この顧客の支払い意欲を元に価格を設定する方法を「バリューベースプライシング」といいます。支払い意欲に基づいた価格設定をすることで、適切な値上げを行えるケースが多いです。

具体的な支払い意欲の調査方法やバリューベースプライシングの実施方法については、第2部(6/16公開)にて解説いたします。

②顧客と適切なコミュニケーションを取ること

コミュニケーションが不十分な「値上げ」は、顧客の反感を買うことがあります。そのため、値上げ時には適切なコミュニケーションをとることが重要です。

適切なコミュニケーションを取るコツとして、主に二つのポイントがあります。

一つ目のポイントは、「一定の期間を設けた上で値上げを実施し、早めの告知を行うこと」、二つ目のポイントは「値上げだけではなくいい情報を組み合わせて伝えること」です。

具体的な告知方法や成功事例については第3部にて解説いたします。

値上げが失敗してしまう原因とは

「値上げ」には前述の成功しやすい要因があるように、失敗しやすい原因も存在しています。ここでは主に失敗しやすい原因を二つご紹介します。

①感覚に頼った価格を設定する
②いきなり値上げを⾏う

詳しく解説します。

①感覚に頼った価格を設定する

⻑年の事業運営で得られた感覚や、顧客へのヒアリングで値ごろ感を把握している場合、あえて値上げ価格について調査や分析などをしなくてもいいのではないか、そういう声もあると思います。確かにそれでうまくいくこともありますが、その感覚や値ごろ感が間違っていた場合、思わぬ顧客の離脱を招くことがあり、場合によっては横暴と捉えられるなど、大きなリスクが伴います。

顧客は「値上げ」に敏感なので、少しの値上げでも顧客が離れてしまう可能性があります。「顧客が離れない値上げ」を⾏うには、調査は必須といえるでしょう。

顧客離れとは別論点にはなりますが、ある調査では、価格1%の上昇が営業利益23.2%につながったケースもあり、そこから、わずかな値上げも売上を大きく左右することが分かります。多少のリソースを割いて調査をすることは決して無駄ではないのではないでしょうか。

②いきなり値上げを⾏う

ごくまれに告知当⽇や翌⽇に値上げを実施する企業がありますが、かなりの確率で「炎上」しています。その原因の一つとして考えられるのが、「内的参照価格」というものです。

内的参照価格」とは、消費者が商品を購入する際の基準にする価格「参照価格」のうち、過去の経験などから形成された消費者の記憶の中の価格のことを指し、その人が妥当と考える「値ごろ感」に近い言葉です。

急な値上げは顧客の「内的参照価格」を超える可能性が⾼く、顧客の反発を⽣みやすくなります。そのため、価格変更をすることを前もって伝え、顧客とのコミュニケーションを取ることが大切です。

以上の「感覚に頼った価格を設定する」、「いきなり値上げを行う」の2点が、値上げが失敗しやすい要因となります。

値上げをするときによくある疑問点

値上げをする際、よくある疑問をまとめました。

1. ⼤きく値上げを⾏うのと細かく値上げするのはどちらのほうがいい?

回答:⼀般的には、⼩刻みに値上げをしたほうが良いと⾔われています。細かく値上げをおこなっていくことで、顧客の内的参照価格が更新していくため、受け⼊れられやすくなります。

しかし、特にBtoBの場合、価格を変えるたびに顧客の経理部⾨での変更⼿続きや取引先への説明義務などのコストが発⽣するため、細かすぎるとかえって変更コスト のほうが⼤きくなってしまうリスクがあるので、その点は注意が必要です。

2. 販売店や⼩売が価格を決めてしまい、価格変更できない。

回答:商品の価値と値段の根拠をPOSデータをもとに説明することで、⼩売業者に戦略の理解と価格変更の交渉材料としてなりえます。 また、メーカーだけが儲かるプランではなく、お客様である⼩売店の成⻑をともに⽬指し、戦略の実⾏が将来的に小売店の売上向上や顧客数の向上につながり、また消費者のためにサービス開発への投資を行い、小売店・消費者・自社にとって三方良しとなる方針をめざしたプランである必要があります。

3.営業担当から⼩売業者に対して、新しい値段を提⽰する際に納得いただける説明がしづらい。

回答:正しい分析に基づいた価格を設定し、その背景と根拠を事業戦略上の意図も含めて説明することで、⾃社の営業担当も納得して考えられやすく、⼩売業者に対しても説明責任を果たすことが可能です。

まとめ

今回は値上げの成功の要因と失敗の原因について解説しました。スムーズな値上げを成功させるためには、適切なプロセスに基づく価格設定を行ったうえで、顧客と適切なコミュニケーションが重要です。

冒頭に紹介した値上げが成功しやすい要因である「値上げが成功しやすい価格の設定」と「顧客との適切なコミュニケー ション」の二点については、それぞれ第2部と第3部にて詳しく解説していきます。

バリューベースの価格設定を実現したい事業者様は、お気軽に、プライシングスタジオにお問い合わせください。

プライシングスタジオが提供するホワイトペーパーも配布中! SaaS∕サブスク業界や⽇⽤消費財業界などの事業成⻑に向けた価格戦略の考え⽅と価格プロジェクトのフレームワークを収録した資料もダウンロードいた だくことが可能です。
ホワイトペーパーダウンロードはこちら

SHARE
リンクコピー
Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

この執筆者のほかの記事

関連記事

その他・価格業界情報
#価格戦略
#値上げ

「値上げをしたいが、どう⾏えばいいかわからない…」
「値上げをしたいが、顧客離れを最⼩限に抑えたい…」
「値上げをしたいが、お客様や取引先にどうやったら納得してもらえるかわからない…」
このような悩みや疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、値上げを成功させる法則と題して、値上げの成功の要因と失敗の原因、具体的な値上げ金額の決め方と顧客へのコミュニケーションの取り方について、3回に分けてお伝えいたします。

この記事は、下記の様な方におすすめの記事となっています。

  • スムーズな値上げを⾏いたい⽅
  • 値上げをしても顧客離れが最⼩限に収まる価格が知りたい⽅
  • 値上げを受け⼊れてもらいやすい適切なコミュニケーション⽅法が知りたい⽅

全3回お読みいただくことで、値上げの実施を予定している⽅や検討している⽅が、値上げ時の実施プロセスや注意点を理解でき、スムーズな値上げが実現できるようになります。
ぜひ最後までご一読ください!

値上げを成功させる法則の記事一覧

  • 第1部:値上げの成功の要因と失敗の原因(本記事)
  • 第2部:失敗しない値上げ金額の決め方(6/16公開予定)
  • 第3部:成功に導く顧客へのコミュニケーションの取り方(6/23公開予定)

値上げの成功の法則

値上げを実行するプロセスには大枠として「価格を決める」というプロセスと、「顧客とコミュニケーションをする」という2つのプロセスがあります。

それぞれのプロセスにおいて、「成功する要因」と「失敗する要因」を解説します。

値上げが成功する要因とは

スムーズな値上げが成功するための要因は主に2つあります。

①顧客の許容⾦額を超えないこと
②顧客と適切なコミュニケーションを取ること

上記について詳しく解説します。

①顧客の許容⾦額を超えないこと

前提として、顧客は、商品・サービスに対して、「支払ってもいいと思える金額」を持っています。

具体例として、「⽀払ってもいいと思っている⾦額」で競り合うオークションを挙げるとイメージしていただきやすいと思います。たとえどれだけ顧客が熱狂している商品であっても、顧客の「⽀払ってもいいと思っている⾦額」を超えると購買は生まれません。そのため「顧客の許容⾦額を超えないこと」がとても重要なのです。その⾦額帯のことを「支払い意欲」と⾔います。

この顧客の支払い意欲を元に価格を設定する方法を「バリューベースプライシング」といいます。支払い意欲に基づいた価格設定をすることで、適切な値上げを行えるケースが多いです。

具体的な支払い意欲の調査方法やバリューベースプライシングの実施方法については、第2部(6/16公開)にて解説いたします。

②顧客と適切なコミュニケーションを取ること

コミュニケーションが不十分な「値上げ」は、顧客の反感を買うことがあります。そのため、値上げ時には適切なコミュニケーションをとることが重要です。

適切なコミュニケーションを取るコツとして、主に二つのポイントがあります。

一つ目のポイントは、「一定の期間を設けた上で値上げを実施し、早めの告知を行うこと」、二つ目のポイントは「値上げだけではなくいい情報を組み合わせて伝えること」です。

具体的な告知方法や成功事例については第3部にて解説いたします。

値上げが失敗してしまう原因とは

「値上げ」には前述の成功しやすい要因があるように、失敗しやすい原因も存在しています。ここでは主に失敗しやすい原因を二つご紹介します。

①感覚に頼った価格を設定する
②いきなり値上げを⾏う

詳しく解説します。

①感覚に頼った価格を設定する

⻑年の事業運営で得られた感覚や、顧客へのヒアリングで値ごろ感を把握している場合、あえて値上げ価格について調査や分析などをしなくてもいいのではないか、そういう声もあると思います。確かにそれでうまくいくこともありますが、その感覚や値ごろ感が間違っていた場合、思わぬ顧客の離脱を招くことがあり、場合によっては横暴と捉えられるなど、大きなリスクが伴います。

顧客は「値上げ」に敏感なので、少しの値上げでも顧客が離れてしまう可能性があります。「顧客が離れない値上げ」を⾏うには、調査は必須といえるでしょう。

顧客離れとは別論点にはなりますが、ある調査では、価格1%の上昇が営業利益23.2%につながったケースもあり、そこから、わずかな値上げも売上を大きく左右することが分かります。多少のリソースを割いて調査をすることは決して無駄ではないのではないでしょうか。

②いきなり値上げを⾏う

ごくまれに告知当⽇や翌⽇に値上げを実施する企業がありますが、かなりの確率で「炎上」しています。その原因の一つとして考えられるのが、「内的参照価格」というものです。

内的参照価格」とは、消費者が商品を購入する際の基準にする価格「参照価格」のうち、過去の経験などから形成された消費者の記憶の中の価格のことを指し、その人が妥当と考える「値ごろ感」に近い言葉です。

急な値上げは顧客の「内的参照価格」を超える可能性が⾼く、顧客の反発を⽣みやすくなります。そのため、価格変更をすることを前もって伝え、顧客とのコミュニケーションを取ることが大切です。

以上の「感覚に頼った価格を設定する」、「いきなり値上げを行う」の2点が、値上げが失敗しやすい要因となります。

値上げをするときによくある疑問点

値上げをする際、よくある疑問をまとめました。

1. ⼤きく値上げを⾏うのと細かく値上げするのはどちらのほうがいい?

回答:⼀般的には、⼩刻みに値上げをしたほうが良いと⾔われています。細かく値上げをおこなっていくことで、顧客の内的参照価格が更新していくため、受け⼊れられやすくなります。

しかし、特にBtoBの場合、価格を変えるたびに顧客の経理部⾨での変更⼿続きや取引先への説明義務などのコストが発⽣するため、細かすぎるとかえって変更コスト のほうが⼤きくなってしまうリスクがあるので、その点は注意が必要です。

2. 販売店や⼩売が価格を決めてしまい、価格変更できない。

回答:商品の価値と値段の根拠をPOSデータをもとに説明することで、⼩売業者に戦略の理解と価格変更の交渉材料としてなりえます。 また、メーカーだけが儲かるプランではなく、お客様である⼩売店の成⻑をともに⽬指し、戦略の実⾏が将来的に小売店の売上向上や顧客数の向上につながり、また消費者のためにサービス開発への投資を行い、小売店・消費者・自社にとって三方良しとなる方針をめざしたプランである必要があります。

3.営業担当から⼩売業者に対して、新しい値段を提⽰する際に納得いただける説明がしづらい。

回答:正しい分析に基づいた価格を設定し、その背景と根拠を事業戦略上の意図も含めて説明することで、⾃社の営業担当も納得して考えられやすく、⼩売業者に対しても説明責任を果たすことが可能です。

まとめ

今回は値上げの成功の要因と失敗の原因について解説しました。スムーズな値上げを成功させるためには、適切なプロセスに基づく価格設定を行ったうえで、顧客と適切なコミュニケーションが重要です。

冒頭に紹介した値上げが成功しやすい要因である「値上げが成功しやすい価格の設定」と「顧客との適切なコミュニケー ション」の二点については、それぞれ第2部と第3部にて詳しく解説していきます。

バリューベースの価格設定を実現したい事業者様は、お気軽に、プライシングスタジオにお問い合わせください。

プライシングスタジオが提供するホワイトペーパーも配布中! SaaS∕サブスク業界や⽇⽤消費財業界などの事業成⻑に向けた価格戦略の考え⽅と価格プロジェクトのフレームワークを収録した資料もダウンロードいた だくことが可能です。
ホワイトペーパーダウンロードはこちら

SHARE
リンクコピー
Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

この執筆者のほかの記事

関連記事