(この記事は、【徹底分析】Netflixはなぜ値上げしたのか?そのプライシング戦略を解説しますの解説記事です)
今回は「Netflix」のプライシング戦略を考察します。2021年2月に行った値上げの意図はなんだったのでしょうか?また、Netflixは1〜2年おきに価格を変更していますが、何故これほど頻繁に価格を変更しているのでしょうか?今回は、なぜ値上げを行なったかについて説明していきます。
1.顧客の感じるNetflixの価値が上昇したため、値上げに踏み切った!
2.顧客の支払い意欲の分析をプランごとに行い、利益を最大化している!
3.事前に値上げを通知することで、顧客に配慮している!
目次
なぜ値上げをしたのか?
Netflixは新しいコンテンツに投資するために、定期的に値上げを行っています!
Netflixは次のような好循環を狙って値上げしたと考えられます。
値上げによる利益の増加→サービス向上のための投資→ユーザーの満足度向上→ユーザーの支払い意欲向上→値上げによる利益の増加→・・・
値上げを行なった際にユーザーが減らなければその分利益が上がります。そこで得た利益を新しいコンテンツ、例えばNetflixオリジナルコンテンツに投資することでサービスの質を向上させ、ユーザーの満足度も向上させることができます。するとさらに高い価格を支払ってでもサービスを利用したいというユーザーが増え、さらに値上げを実行できるようになります。この好循環を作り出すことこそがNetflixの狙いです。今回の値上げも、この戦略の一環として行われたと考えられます。
ディズニーランドもNetflixと同じように値上げを行っています。こちらについては別記事で解説しているので、そちらをご覧ください。
この価格にした理由
次に、なぜNetflixがベーシックプランを990円、スタンダードプランを1,490円、プレミアムプランを1,980円に設定したのかについて説明していきます。
具体的にどのような調査を行い、どのようにして価格を割り出したのでしょうか。価格決定までの手順は大きく分けて以下の3つです。
手順1. アンケートの実施
手順2. アンケート結果をもとにPSM分析
手順3. PSM分析の結果をもとに価格を決定
今回、当社はNetflixのユーザー150人に対しアンケート調査を実施し、その結果を元にPSM分析を実施しました。分析結果を表にまとめたので、それを見ながら説明していきます。
PSM分析について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
プランごとの分析
ベーシックプラン
ベーシックプランについて、100円の値上げで売上を10%増やすことに成功しました!
図1:ベーシックプランのPSM分析 変更前:880円→変更後:990円
図1は、100円単位でベーシックプランの価格を変更していった場合、売り上げがどの程度変化するのかをシュミレーションしたものです。
なぜベーシックプランは880円→990円に価格変更されたのでしょうか?この図をもとに、いくらまで値上げすることが最善だったのか考えてみます。【許容ユーザー比率】と【値上げ前価格との売上比率】この2つに注目してみましょう。
【許容ユーザー比率】について、990円に値上げした場合92%であり、880円の94%と比較して2%ほどしか減少していません。一方で1,090円まで価格を引き上げた場合82%と、値上げ前に比べて10%も顧客が減少してしまうことがわかります。
【値上げ前価格との売上比率】について、990円に値上げした場合110%、1,090円まで価格を引き上げた場合108%であることが読み取れます。どちらの場合も売上は上がりますが、990円に値上げした場合の方が売上が増加することが分かります。
以上の結果を踏まえると、990円に値上げした場合はユーザー離れを抑えつつ利益を増やすことが出来ると言えます。また、10%のユーザーを失う上に利益が最大化されていない1,090円の価格設定は相応しくないと言えるでしょう。
Netflixは100円の値上げで従来通りのサービス内容のままユーザー離れを防ぎつつ利益を10%増やすことに成功したと言えます。
スタンダードプラン
スタンダードプランについても、170円の値上げで利益を10%増やすことに成功しました!
図2:スタンダードプランのPSM分析 変更前1320円→変更後1490円
なぜスタンダードプランは1,320円→1,490円に価格が変更されたのでしょうか?ベーシックプランと同様に図を見ていくと、【許容ユーザー比率】が1,490円〜1,590円の間で、91%から77%に大きく減少することがわかります。また、【値上げ前価格との売上比率】も、1,490円〜1,590円の間で110%から99%に減少してしまいます。1,590円まで値上げしてもユーザー離れが大きい割に売上も伸びないので、1,490円で値上げをストップすべきであると判断できます。この価格変更により、Netflixは新たに10%利益を向上させることができました。
プレミアムプラン
プレミアムプランは1,980円で価格が据え置きされました!
図3:プレミアムプランのPSM分析 1980円で価格据え置き
プレミアムプランは1,980円で価格が据え置かれました。これまでと同様に図を見ていくと、1,980円から2,080円に100円値上げした場合【許容ユーザー比率】が 89%から78%に減少し、【値上げ前価格との売上比率】も100%から92%に減少することがわかります。このことから利益が最大となる価格は現在の1,980円であると分かり、Netflixは価格を据えおいたと考えられます。
プレミアムプランは本当に値上げの余地はないのでしょうか?10円単位でPSM分析を行ってみます。
図4:プレミアムプランのPSM分析(10円単位) 1980円で価格据え置き
図4を見ると、2,000円まで20円値上げした段階で、【許容ユーザー比率】が89%から78%に大きく減少することが読み取れます。10円の値上げによるインパクトはそこまで大きくないため、わざわざ値上げはせずに、今回は価格を据え置いたと考えられます。
値上げの際にNetflixが行っている工夫
値上げには消費者の負の感情が伴う場合があります。そのためNetflixはできるだけ顧客に納得してもらうための工夫をしています!
一般的に顧客は値上げに抵抗を感じます。それを少しでも軽減するために、Netflixは1ヶ月前にメールで告知してから値上げを実行しています。いきなり価格を上げずに、事前に告知をして顧客の感じる値上げへの抵抗感を少しでも和らげようとしています。
まとめ
顧客の感じるNetflixの価値が上昇したため、値上げに踏み切った!
顧客の支払い意欲の分析をプランごとに行い、利益を最大化している!
事前に値上げを通知することで、顧客に配慮している!
Netflixは度重なる価格改定により、プロダクトの価値を上げる好循環を作っていることがわかりました。価格変更は利益の向上に効果的な手段の一つです。積極的に取り組みましょう!
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1.顧客の感じるNetflixの価値が上昇したため、値上げに踏み切った!
2.顧客の支払い意欲の分析をプランごとに行い、利益を最大化している!
3.事前に値上げを通知することで、顧客に配慮している!
目次
なぜ値上げをしたのか?
Netflixは新しいコンテンツに投資するために、定期的に値上げを行っています!
Netflixは次のような好循環を狙って値上げしたと考えられます。
値上げによる利益の増加→サービス向上のための投資→ユーザーの満足度向上→ユーザーの支払い意欲向上→値上げによる利益の増加→・・・
値上げを行なった際にユーザーが減らなければその分利益が上がります。そこで得た利益を新しいコンテンツ、例えばNetflixオリジナルコンテンツに投資することでサービスの質を向上させ、ユーザーの満足度も向上させることができます。するとさらに高い価格を支払ってでもサービスを利用したいというユーザーが増え、さらに値上げを実行できるようになります。この好循環を作り出すことこそがNetflixの狙いです。今回の値上げも、この戦略の一環として行われたと考えられます。
ディズニーランドもNetflixと同じように値上げを行っています。こちらについては別記事で解説しているので、そちらをご覧ください。
この価格にした理由
次に、なぜNetflixがベーシックプランを990円、スタンダードプランを1,490円、プレミアムプランを1,980円に設定したのかについて説明していきます。
具体的にどのような調査を行い、どのようにして価格を割り出したのでしょうか。価格決定までの手順は大きく分けて以下の3つです。
手順1. アンケートの実施
手順2. アンケート結果をもとにPSM分析
手順3. PSM分析の結果をもとに価格を決定
今回、当社はNetflixのユーザー150人に対しアンケート調査を実施し、その結果を元にPSM分析を実施しました。分析結果を表にまとめたので、それを見ながら説明していきます。
PSM分析について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
プランごとの分析
ベーシックプラン
ベーシックプランについて、100円の値上げで売上を10%増やすことに成功しました!
図1:ベーシックプランのPSM分析 変更前:880円→変更後:990円
図1は、100円単位でベーシックプランの価格を変更していった場合、売り上げがどの程度変化するのかをシュミレーションしたものです。
なぜベーシックプランは880円→990円に価格変更されたのでしょうか?この図をもとに、いくらまで値上げすることが最善だったのか考えてみます。【許容ユーザー比率】と【値上げ前価格との売上比率】この2つに注目してみましょう。
【許容ユーザー比率】について、990円に値上げした場合92%であり、880円の94%と比較して2%ほどしか減少していません。一方で1,090円まで価格を引き上げた場合82%と、値上げ前に比べて10%も顧客が減少してしまうことがわかります。
【値上げ前価格との売上比率】について、990円に値上げした場合110%、1,090円まで価格を引き上げた場合108%であることが読み取れます。どちらの場合も売上は上がりますが、990円に値上げした場合の方が売上が増加することが分かります。
以上の結果を踏まえると、990円に値上げした場合はユーザー離れを抑えつつ利益を増やすことが出来ると言えます。また、10%のユーザーを失う上に利益が最大化されていない1,090円の価格設定は相応しくないと言えるでしょう。
Netflixは100円の値上げで従来通りのサービス内容のままユーザー離れを防ぎつつ利益を10%増やすことに成功したと言えます。
スタンダードプラン
スタンダードプランについても、170円の値上げで利益を10%増やすことに成功しました!
図2:スタンダードプランのPSM分析 変更前1320円→変更後1490円
なぜスタンダードプランは1,320円→1,490円に価格が変更されたのでしょうか?ベーシックプランと同様に図を見ていくと、【許容ユーザー比率】が1,490円〜1,590円の間で、91%から77%に大きく減少することがわかります。また、【値上げ前価格との売上比率】も、1,490円〜1,590円の間で110%から99%に減少してしまいます。1,590円まで値上げしてもユーザー離れが大きい割に売上も伸びないので、1,490円で値上げをストップすべきであると判断できます。この価格変更により、Netflixは新たに10%利益を向上させることができました。
プレミアムプラン
プレミアムプランは1,980円で価格が据え置きされました!
図3:プレミアムプランのPSM分析 1980円で価格据え置き
プレミアムプランは1,980円で価格が据え置かれました。これまでと同様に図を見ていくと、1,980円から2,080円に100円値上げした場合【許容ユーザー比率】が 89%から78%に減少し、【値上げ前価格との売上比率】も100%から92%に減少することがわかります。このことから利益が最大となる価格は現在の1,980円であると分かり、Netflixは価格を据えおいたと考えられます。
プレミアムプランは本当に値上げの余地はないのでしょうか?10円単位でPSM分析を行ってみます。
図4:プレミアムプランのPSM分析(10円単位) 1980円で価格据え置き
図4を見ると、2,000円まで20円値上げした段階で、【許容ユーザー比率】が89%から78%に大きく減少することが読み取れます。10円の値上げによるインパクトはそこまで大きくないため、わざわざ値上げはせずに、今回は価格を据え置いたと考えられます。
値上げの際にNetflixが行っている工夫
値上げには消費者の負の感情が伴う場合があります。そのためNetflixはできるだけ顧客に納得してもらうための工夫をしています!
一般的に顧客は値上げに抵抗を感じます。それを少しでも軽減するために、Netflixは1ヶ月前にメールで告知してから値上げを実行しています。いきなり価格を上げずに、事前に告知をして顧客の感じる値上げへの抵抗感を少しでも和らげようとしています。
まとめ
顧客の感じるNetflixの価値が上昇したため、値上げに踏み切った!
顧客の支払い意欲の分析をプランごとに行い、利益を最大化している!
事前に値上げを通知することで、顧客に配慮している!
Netflixは度重なる価格改定により、プロダクトの価値を上げる好循環を作っていることがわかりました。価格変更は利益の向上に効果的な手段の一つです。積極的に取り組みましょう!
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