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2020.07.17(更新日:2023.07.13)

ダイナミックプライシングのメリット4選|決め手は収益の最大化!

ダイナミックプライシングのメリット4選|決め手は収益の最大化!
ダイナミックプライシングのメリット4選|決め手は収益の最大化!
その他・価格業界情報
#ダイナミックプライシング
#価格戦略

この記事は、「最近耳にすることの多いダイナミックプライシングだけど、どんな利点があるのだろう?」とお考えの方にぴったりの記事となっています。

ダイナミックプライシングを導入することで一体何ができるようになるのか、それを4つ挙げて導入のメリットについて解説していきます。

ダイナミックプライシングが何なのかわからないという方はこの記事をご覧ください。

ダイナミックプライシングのメリット4選

ダイナミックプライシングは価格を動的に変化させる価格戦略です。近年日本でも導入されることが増えてきていますが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか?この記事ではダイナミックプライシングを導入することの何が良いかということを解説していきます。

 

それでは、ダイナミックプライシング導入メリット4選を紹介します。

1.収益の最大化

ダイナミックプライシングの最大のメリットは、収益の最大化です。ここでは、一定価格での販売に比べて、DPでの販売がなぜ収益の最大化につながるかを解説します。

・一定価格での販売

まずは通常の価格設定、つまり一定価格での商品販売について解説します。

一定価格での販売

この図は、商品の価格と、その価格で販売できる商品の数量を表しています。商品の価格をA円に設定した場合、その価格でこの商品を消費者がほしいと思う度合い(=需要)から商品は最大でa個まで販売することができ、紺色部分(A円×a個)が実現可能な最大売上にあたる、というものです。

この商品がずっとA円で売れるならば特に問題はないのですが、実際には商品の需要は一定ではなく変動するものです。需要が小さくなると、Aの価格のままでは売れなくなってしまう時があります。一方で、需要が大きくなっている時でも同じ値段で商品を売り続けていると、本当はより高い値段でも買ってもらえたのに、その差額を逃してしまいます。また商品の在庫(=数量)が不足し、取引の機会をのがしてしまうかもしれません。

つまり、通常の一定価格では、需要が高い時には定価より高価での販売機会を、需要が小さい時には価格を下げれば獲得できたであろう販売機会を逃しているのです

・ダイナミックプライシングでの販売

ダイナミックプライシングでの販売

一方、ダイナミックプライシングを導入すると、価格はAだけでなく、BやCにまで引き上げたり、DやEに引き下げることができます。需要の変動や供給の状況に合わせて価格を変動させることで、収益を最大化させることができるのです。

需要が大きい または 供給が足りないと判断したときは価格を上げ、その値段でも購入する層からより多くの利益を得られます。また、夏休みに旅行に行きたい人が増えるような、一般的に需要が高まるタイミングなら多くの人たちがその層になると考えられますよね。さらに、飛行機など供給が限られる場合は、値上げにより需要の集中を抑え、需要が少ない時に購入するようにうながし、全体の収益を最大化します。

逆に、需要が小さい または 供給が多すぎると判断したときは価格を下げ、元の値段では購入を考えていなかった層から購入してもらい、販売数を増やすことができます。これには収益が増える、在庫処理をスピーディーにできるというメリットだけではなく、一定価格制では価格が高いゆえに商品に見向きもしなかった顧客に、自社製品を知ってもらえるというマーケティング的価値もあります。

つまりダイナミックプライシングでは、本来需要変動により生まれているものの、一定価格制のもとでは失っていた「定価より高価での販売機会」「販売する価格を下げれば獲得できたであろう販売機会」を逃さず掴み、収益を最大化できるのです。

2.より深い顧客の理解

ダイナミックプライシングでは商品の価格を何度も変動させますが、その中で企業側は顧客理解につながる情報を得ることが出来ます。それは「価格弾力性」「価格感度」「閾値」です。商品の価格決定をおこうなう際に、価格変更が需要に対してどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があり、これらのデータはその役に立ちます。

しかし、「価格弾力性」「価格感度」「閾値」は、通常の一定価格制でビジネスを行っていては得ることが難しいデータです。プライシング改善のためにこのデータを得ようとすると、稀にある価格改定の結果から分析するか、専門的な調査(PSM分析など)を高いレベルで行うしかありません。しかしDPを導入すれば、実際に行う高頻度での価格変更を経てそうした貴重なデータを収集でき、既存商品や新商品のプライシングに活用することができます。

3.工数削減

ダイナミックプライシングの導入には、作業工数を減らすことができるというメリットもあります。

ここでは、ダイナミックプライシングが早くから導入されている小売業を例に説明します。小売業において、多くの場合価格は消費者の購入の決め手となります。そのため小売業界では競合他社の価格の把握が重要になります。価格が1000円他社より安いと選ばれ、逆に1000円高いと選ばれないかもしれません。しかし、競合価格の調査には非常に手間がかかります。一度把握できたとしても、小売業では大量の商品の価格が何度も変わるため、その都度膨大な調査をこなさねばなりません。

ダイナミックプライシングツールには、自動で競合他社の情報を抽出して価格決定を行う機能が搭載されている場合があります。導入すれば、競合価格の調査や大量の価格変更価格の反映も自動で行えるため、精度の高いプライシングを楽におこなうことができるのです。

EC小売業界のダイナミックプライシングについてはこちらの記事をご覧ください

4.安全な価格管理

人力でエクセルなどのツールを利用して価格の管理を行う場合、入力間違いや競合価格情報の見落としなど、ヒューマンエラーの可能性は捨てきれません。
ダイナミックプライシングを導入すると、ツール上で価格を管理し、システムやAIを活用し、そうしたミスを最小化することが出来ます。

ちなみに、コロナ禍でダイナミックプライシングが持つ「混雑緩和」という価値が大きなメリットとなってきました。それについてはこちらで解説しています。

まとめ

これらのように、ダイナミックプライシングの導入には幅広いメリットがあります。もちろん導入することのデメリットや注意点はあるものの、ダイナミックプライシングの導入は、収益最大化など、企業にとって有益な効果が期待できます。一度自社への導入を検討してみてはいかがでしょうか。

デメリットについてはこちらの記事を

導入方法についてはこちらの記事をご参照ください。

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Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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ダイナミックプライシングを導入することで一体何ができるようになるのか、それを4つ挙げて導入のメリットについて解説していきます。

ダイナミックプライシングが何なのかわからないという方はこの記事をご覧ください。

ダイナミックプライシングのメリット4選

ダイナミックプライシングは価格を動的に変化させる価格戦略です。近年日本でも導入されることが増えてきていますが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか?この記事ではダイナミックプライシングを導入することの何が良いかということを解説していきます。

 

それでは、ダイナミックプライシング導入メリット4選を紹介します。

1.収益の最大化

ダイナミックプライシングの最大のメリットは、収益の最大化です。ここでは、一定価格での販売に比べて、DPでの販売がなぜ収益の最大化につながるかを解説します。

・一定価格での販売

まずは通常の価格設定、つまり一定価格での商品販売について解説します。

一定価格での販売

この図は、商品の価格と、その価格で販売できる商品の数量を表しています。商品の価格をA円に設定した場合、その価格でこの商品を消費者がほしいと思う度合い(=需要)から商品は最大でa個まで販売することができ、紺色部分(A円×a個)が実現可能な最大売上にあたる、というものです。

この商品がずっとA円で売れるならば特に問題はないのですが、実際には商品の需要は一定ではなく変動するものです。需要が小さくなると、Aの価格のままでは売れなくなってしまう時があります。一方で、需要が大きくなっている時でも同じ値段で商品を売り続けていると、本当はより高い値段でも買ってもらえたのに、その差額を逃してしまいます。また商品の在庫(=数量)が不足し、取引の機会をのがしてしまうかもしれません。

つまり、通常の一定価格では、需要が高い時には定価より高価での販売機会を、需要が小さい時には価格を下げれば獲得できたであろう販売機会を逃しているのです

・ダイナミックプライシングでの販売

ダイナミックプライシングでの販売

一方、ダイナミックプライシングを導入すると、価格はAだけでなく、BやCにまで引き上げたり、DやEに引き下げることができます。需要の変動や供給の状況に合わせて価格を変動させることで、収益を最大化させることができるのです。

需要が大きい または 供給が足りないと判断したときは価格を上げ、その値段でも購入する層からより多くの利益を得られます。また、夏休みに旅行に行きたい人が増えるような、一般的に需要が高まるタイミングなら多くの人たちがその層になると考えられますよね。さらに、飛行機など供給が限られる場合は、値上げにより需要の集中を抑え、需要が少ない時に購入するようにうながし、全体の収益を最大化します。

逆に、需要が小さい または 供給が多すぎると判断したときは価格を下げ、元の値段では購入を考えていなかった層から購入してもらい、販売数を増やすことができます。これには収益が増える、在庫処理をスピーディーにできるというメリットだけではなく、一定価格制では価格が高いゆえに商品に見向きもしなかった顧客に、自社製品を知ってもらえるというマーケティング的価値もあります。

つまりダイナミックプライシングでは、本来需要変動により生まれているものの、一定価格制のもとでは失っていた「定価より高価での販売機会」「販売する価格を下げれば獲得できたであろう販売機会」を逃さず掴み、収益を最大化できるのです。

2.より深い顧客の理解

ダイナミックプライシングでは商品の価格を何度も変動させますが、その中で企業側は顧客理解につながる情報を得ることが出来ます。それは「価格弾力性」「価格感度」「閾値」です。商品の価格決定をおこうなう際に、価格変更が需要に対してどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があり、これらのデータはその役に立ちます。

しかし、「価格弾力性」「価格感度」「閾値」は、通常の一定価格制でビジネスを行っていては得ることが難しいデータです。プライシング改善のためにこのデータを得ようとすると、稀にある価格改定の結果から分析するか、専門的な調査(PSM分析など)を高いレベルで行うしかありません。しかしDPを導入すれば、実際に行う高頻度での価格変更を経てそうした貴重なデータを収集でき、既存商品や新商品のプライシングに活用することができます。

3.工数削減

ダイナミックプライシングの導入には、作業工数を減らすことができるというメリットもあります。

ここでは、ダイナミックプライシングが早くから導入されている小売業を例に説明します。小売業において、多くの場合価格は消費者の購入の決め手となります。そのため小売業界では競合他社の価格の把握が重要になります。価格が1000円他社より安いと選ばれ、逆に1000円高いと選ばれないかもしれません。しかし、競合価格の調査には非常に手間がかかります。一度把握できたとしても、小売業では大量の商品の価格が何度も変わるため、その都度膨大な調査をこなさねばなりません。

ダイナミックプライシングツールには、自動で競合他社の情報を抽出して価格決定を行う機能が搭載されている場合があります。導入すれば、競合価格の調査や大量の価格変更価格の反映も自動で行えるため、精度の高いプライシングを楽におこなうことができるのです。

EC小売業界のダイナミックプライシングについてはこちらの記事をご覧ください

4.安全な価格管理

人力でエクセルなどのツールを利用して価格の管理を行う場合、入力間違いや競合価格情報の見落としなど、ヒューマンエラーの可能性は捨てきれません。
ダイナミックプライシングを導入すると、ツール上で価格を管理し、システムやAIを活用し、そうしたミスを最小化することが出来ます。

ちなみに、コロナ禍でダイナミックプライシングが持つ「混雑緩和」という価値が大きなメリットとなってきました。それについてはこちらで解説しています。

まとめ

これらのように、ダイナミックプライシングの導入には幅広いメリットがあります。もちろん導入することのデメリットや注意点はあるものの、ダイナミックプライシングの導入は、収益最大化など、企業にとって有益な効果が期待できます。一度自社への導入を検討してみてはいかがでしょうか。

デメリットについてはこちらの記事を

導入方法についてはこちらの記事をご参照ください。

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Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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