「コンジョイント分析とは?」
「コンジョイント分析の⾝近な例とは?」
「コンジョイント分析はビジネスにどう活⽤できる?」
このような悩みや疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?そこで今回は、コンジョイント分析の解説から身近な事例や、ビジネスにどう活用するのかまで解説します。
この記事は、以下のような方におすすめの記事です。
- コンジョイント分析について知りたい方
- コンジョイント分析の⾝近な例やビジネスにどう活⽤できるか知りたい方
目次
コンジョイント分析とは
コンジョイント分析とは、消費者が異なる製品属性にどのような価値を見出すかを明らかにする手法です。この手法を使うことで、値段や性能などの要素のうち、どの要素が購買にとって重要なのかを明らかにすることができるので、どういった特徴を持った製品が売れやすいのかを判断することができます。
コンジョイント分析が必要な理由
コンジョイント分析は、通常のアンケート調査よりも、消費者のバイアスを低減して購買に重要な要素を把握することができます。通常のアンケート調査では、実際の支払い意欲より少し高めに回答してしまったり、安く買いたいという思考から少し安めに回答してしまったりとバイアスがかかる可能性があります。しかしコンジョイント分析では、商品の魅力を決める要素の重要度とその最適な組み合わせまで分かります。
また購買にとって重要な要素でも、価格と機能はトレードオフの関係にあるため、製品の機能をアップグレードすると価格は上がってしまいます。コンジョイント分析では、そのアップグレードが消費者にとって受け入れられるのかを明らかにすることができるのです。
上記のような理由からコンジョイント分析を実施することで、どのような特徴を持った製品が売れやすいのかを理解することができます。次にコンジョイント分析の実施方法についてご紹介します。
コンジョイント分析の具体的な実施方法
実際にコンジョイント分析を行う際には下記の4ステップで行います。
- ステップ1:属性リストの定義
- ステップ2:水準を定式化
- ステップ3:データ収集
- ステップ4:データを分析する
ステップ1:属性リストの定義
コンジョイント分析を実施する際、まずは製品の属性リストを定義する必要があります。属性リストとは、価格やブランド、色などの製品を決定づける要素のことを指します。これは、人々がどの製品を購入するのかという意思決定を行う際に重要な要素です。この属性リストを適切に選ばないと、コンジョイント分析が正常に実施できない可能性があるため、慎重に選択する必要があります。
<属性を選ぶ際に注意すべきポイント>
ここで属性を選ぶ際に注意すべきポイントを二つご紹介します。注意すべきポイントは下記二点です。
- 属性は互いに独立していること
- 調査する属性をある程度絞ること
①属性は互いに独立していること
属性を選ぶ際に、注意すべきポイントの一つ目として、選んだ属性は「価格」や「ブランド」、「色」などそれぞれ完全に独立している必要があります。属性が独立せず重複していると、調査の結果が曖昧になってしまいます。
②調査する属性をある程度絞ること
属性を選ぶ際に、注意すべきポイントの二つ目として、属性をある程度絞る必要があります。調査属性が多すぎると、属性と属性の組み合わせが多くなってしまい、膨大な手間がかかってしまいます。
ステップ2:水準を定式化
属性を決めたら今度は属性の水準を決める必要があります。水準とは、属性の中の種類や度合いを表すものです。具体例を挙げると、車という製品の場合だと下記が水準に当たります。
- ブランド:BMW328i、Ford Focus Sedan、Ford Focus Hatchbackなどが水準に当たる
- ナビゲーションシステム:有か無かが水準に当たる
- 色:Pearl White、Metallic BIue、Blackなどが水準に当たる
- 価格:$15000、$21000、$27000などが水準に当たる
このような水準を適切に設定し、下記図表のようなコンジョイントカードと呼ばれる選択肢を作ります。
例えばナビゲーションシステムなどは重要な要素なので、付いている方が購買意欲は上昇することが予想されますが、トレードオフの関係にあるため、重要な機能をつけると価格は上がってしまいます。そのため、価格が上がっても消費者がほしいと思う要素を判断するために、このスペックカードの中からもっとも買いたいと思う商品を選んでもらいます。
<水準を設定する際に注意すべきポイント>
ここで水準を設定する際に注意すべきポイントを二つご紹介します。注意すべきポイントは下記二点です。
- 水準の内容を具体的・定量的に設定すること
- 属性ごとに各水準の差が明確であること
①水準の内容を具体的・定量的に設定すること
水準を設定する際に、注意すべきポイントの一つ目として、具体的かつ定量的に設定する必要があります。「非常に高値」や「安値」といった主観的な水準を設定してしまうと、個人の価値観によって値が変わってしまいます。「500円」や「1000円」といった具体的な水準を設定することが重要です。
②属性ごとに各水準の差が明確であること
水準を設定する際に、注意すべきポイントの二つ目として、水準の差を明確にすることが必要です。水準間で大差がないと、調査の際にどちらにも流れてしまう可能性があり適切に分析できない可能性があります。具体例を上げると、土地の金額なら、「1000万」と「1100万」ではなく、「1000万」と「2000万」のように差をつけることで、独立性を保つことが重要です。
ステップ3:データ収集
属性と水準を決めたら今度はアンケートデータを収集します。では具体的にどのように集計して、どのくらいのサンプル数を集めればいいのでしょうか。あくまで目安となりますが、偏りを避けるため、500以上が望ましいとされています。また、一人当たりの質問数は、30問以下にするのが良いとされています。それ以上の質問をすると疲れてしまい、速くアンケートを終わらそうとすることからデータの質が低下してしまいます。
ステップ4:データから分析する
次にデータを元に分析します。データの分析から分かることとして、消費者の効用関数を導くことができます。効用関数とは、消費者が購買する時に重要視する度合いを、「効用スコア」として0~1で項目ごとに表したもので、1に近ければ近いほど購買時に重要な要素であることがわかり、0に近ければ近いほどそれほど重要な要素ではない、ということがわかります。どのように効用関数を表すのかについては次の事例で紹介します。
コンジョイント分析を実際に行った事例
実際にコンジョイント分析を実施し、分析している事例をご紹介します。ある会社で、新しいシミ抜きカーペット洗浄剤を開発する際に、購買要素として下記5つの要素を設定しました。
- パッケージデザイン(A、B、C)
- ブランド名(イ、ロ、ハ)
- 3つの価格(100円、150円、200円)
- 「グッド・ハウスキーピング」シール(商品テストによって品質が補償されているシール)の有無
- 返金保証の有無
この組み合わせは108種類(3×3×3×2×2)もありますが、対照的な属性の組み合わせ(例えば「返金保証はないが安い」と「返金保証はあるが高い」)を選び出せばどの要素が購買にとって重要なのかを判断することができます。これらを分析すると、下記図表のような効用関数のグラフを出すことができます。
ここから分析できることとして、デザインは「B」、ブランド名は「ハ」が良いことがわかり、100円から150円の値上げと、150円から200円の値上げを比べた際に、150円から200円の値上げのほうが効用スコアが大きく下がることが分かります。また、「グッドハウスキーピングシール」の有無よりも、返金保証の有無のほうが購買意欲に関係する要素ということがわかりました。
コンジョイント分析の重要性
これまで、コンジョイント分析の定義や、実施方法についてご紹介しましたが、アンケート調査ではなく、コンジョイント分析のほうが優れている点についてご紹介します。
一つ目は、コンジョイント分析は商品の購買にとって重要な要素の優先順位をつけることができます。値段や性能などの要素のうち、どの要素が購買にとって重要なのかをデータに基づいて、根拠をもって分析できます。
また、二つ目に要素の組み合わせの中から最適な組み合わせを判断することができます。重要な要素の場合、その要素はあった方が良いが価格が高くなってしまうことは、トレードオフの関係上仕方のないことです。そのため、「この要素があれば、多少価格が高くなってもいい」といった要素をコンジョイント分析で明らかにすることができるため、どの要素の組み合わせが最適なのかを判断できるのです。
まとめ
今回はコンジョイント分析の定義や実施方法について解説しました。コンジョイント分析を行うことで、消費者がどの要素が購買にとって重要と感じているのかを把握することができるので、売れやすい製品の特徴を判断することができます。
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参考文献
- 「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー
- 「コンジョイント分析による支払い意思の把握」尼崎現介
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コンジョイント分析とは
コンジョイント分析とは、消費者が異なる製品属性にどのような価値を見出すかを明らかにする手法です。この手法を使うことで、値段や性能などの要素のうち、どの要素が購買にとって重要なのかを明らかにすることができるので、どういった特徴を持った製品が売れやすいのかを判断することができます。
コンジョイント分析が必要な理由
コンジョイント分析は、通常のアンケート調査よりも、消費者のバイアスを低減して購買に重要な要素を把握することができます。通常のアンケート調査では、実際の支払い意欲より少し高めに回答してしまったり、安く買いたいという思考から少し安めに回答してしまったりとバイアスがかかる可能性があります。しかしコンジョイント分析では、商品の魅力を決める要素の重要度とその最適な組み合わせまで分かります。
また購買にとって重要な要素でも、価格と機能はトレードオフの関係にあるため、製品の機能をアップグレードすると価格は上がってしまいます。コンジョイント分析では、そのアップグレードが消費者にとって受け入れられるのかを明らかにすることができるのです。
上記のような理由からコンジョイント分析を実施することで、どのような特徴を持った製品が売れやすいのかを理解することができます。次にコンジョイント分析の実施方法についてご紹介します。
コンジョイント分析の具体的な実施方法
実際にコンジョイント分析を行う際には下記の4ステップで行います。
- ステップ1:属性リストの定義
- ステップ2:水準を定式化
- ステップ3:データ収集
- ステップ4:データを分析する
ステップ1:属性リストの定義
コンジョイント分析を実施する際、まずは製品の属性リストを定義する必要があります。属性リストとは、価格やブランド、色などの製品を決定づける要素のことを指します。これは、人々がどの製品を購入するのかという意思決定を行う際に重要な要素です。この属性リストを適切に選ばないと、コンジョイント分析が正常に実施できない可能性があるため、慎重に選択する必要があります。
<属性を選ぶ際に注意すべきポイント>
ここで属性を選ぶ際に注意すべきポイントを二つご紹介します。注意すべきポイントは下記二点です。
- 属性は互いに独立していること
- 調査する属性をある程度絞ること
①属性は互いに独立していること
属性を選ぶ際に、注意すべきポイントの一つ目として、選んだ属性は「価格」や「ブランド」、「色」などそれぞれ完全に独立している必要があります。属性が独立せず重複していると、調査の結果が曖昧になってしまいます。
②調査する属性をある程度絞ること
属性を選ぶ際に、注意すべきポイントの二つ目として、属性をある程度絞る必要があります。調査属性が多すぎると、属性と属性の組み合わせが多くなってしまい、膨大な手間がかかってしまいます。
ステップ2:水準を定式化
属性を決めたら今度は属性の水準を決める必要があります。水準とは、属性の中の種類や度合いを表すものです。具体例を挙げると、車という製品の場合だと下記が水準に当たります。
- ブランド:BMW328i、Ford Focus Sedan、Ford Focus Hatchbackなどが水準に当たる
- ナビゲーションシステム:有か無かが水準に当たる
- 色:Pearl White、Metallic BIue、Blackなどが水準に当たる
- 価格:$15000、$21000、$27000などが水準に当たる
このような水準を適切に設定し、下記図表のようなコンジョイントカードと呼ばれる選択肢を作ります。
例えばナビゲーションシステムなどは重要な要素なので、付いている方が購買意欲は上昇することが予想されますが、トレードオフの関係にあるため、重要な機能をつけると価格は上がってしまいます。そのため、価格が上がっても消費者がほしいと思う要素を判断するために、このスペックカードの中からもっとも買いたいと思う商品を選んでもらいます。
<水準を設定する際に注意すべきポイント>
ここで水準を設定する際に注意すべきポイントを二つご紹介します。注意すべきポイントは下記二点です。
- 水準の内容を具体的・定量的に設定すること
- 属性ごとに各水準の差が明確であること
①水準の内容を具体的・定量的に設定すること
水準を設定する際に、注意すべきポイントの一つ目として、具体的かつ定量的に設定する必要があります。「非常に高値」や「安値」といった主観的な水準を設定してしまうと、個人の価値観によって値が変わってしまいます。「500円」や「1000円」といった具体的な水準を設定することが重要です。
②属性ごとに各水準の差が明確であること
水準を設定する際に、注意すべきポイントの二つ目として、水準の差を明確にすることが必要です。水準間で大差がないと、調査の際にどちらにも流れてしまう可能性があり適切に分析できない可能性があります。具体例を上げると、土地の金額なら、「1000万」と「1100万」ではなく、「1000万」と「2000万」のように差をつけることで、独立性を保つことが重要です。
ステップ3:データ収集
属性と水準を決めたら今度はアンケートデータを収集します。では具体的にどのように集計して、どのくらいのサンプル数を集めればいいのでしょうか。あくまで目安となりますが、偏りを避けるため、500以上が望ましいとされています。また、一人当たりの質問数は、30問以下にするのが良いとされています。それ以上の質問をすると疲れてしまい、速くアンケートを終わらそうとすることからデータの質が低下してしまいます。
ステップ4:データから分析する
次にデータを元に分析します。データの分析から分かることとして、消費者の効用関数を導くことができます。効用関数とは、消費者が購買する時に重要視する度合いを、「効用スコア」として0~1で項目ごとに表したもので、1に近ければ近いほど購買時に重要な要素であることがわかり、0に近ければ近いほどそれほど重要な要素ではない、ということがわかります。どのように効用関数を表すのかについては次の事例で紹介します。
コンジョイント分析を実際に行った事例
実際にコンジョイント分析を実施し、分析している事例をご紹介します。ある会社で、新しいシミ抜きカーペット洗浄剤を開発する際に、購買要素として下記5つの要素を設定しました。
- パッケージデザイン(A、B、C)
- ブランド名(イ、ロ、ハ)
- 3つの価格(100円、150円、200円)
- 「グッド・ハウスキーピング」シール(商品テストによって品質が補償されているシール)の有無
- 返金保証の有無
この組み合わせは108種類(3×3×3×2×2)もありますが、対照的な属性の組み合わせ(例えば「返金保証はないが安い」と「返金保証はあるが高い」)を選び出せばどの要素が購買にとって重要なのかを判断することができます。これらを分析すると、下記図表のような効用関数のグラフを出すことができます。
ここから分析できることとして、デザインは「B」、ブランド名は「ハ」が良いことがわかり、100円から150円の値上げと、150円から200円の値上げを比べた際に、150円から200円の値上げのほうが効用スコアが大きく下がることが分かります。また、「グッドハウスキーピングシール」の有無よりも、返金保証の有無のほうが購買意欲に関係する要素ということがわかりました。
コンジョイント分析の重要性
これまで、コンジョイント分析の定義や、実施方法についてご紹介しましたが、アンケート調査ではなく、コンジョイント分析のほうが優れている点についてご紹介します。
一つ目は、コンジョイント分析は商品の購買にとって重要な要素の優先順位をつけることができます。値段や性能などの要素のうち、どの要素が購買にとって重要なのかをデータに基づいて、根拠をもって分析できます。
また、二つ目に要素の組み合わせの中から最適な組み合わせを判断することができます。重要な要素の場合、その要素はあった方が良いが価格が高くなってしまうことは、トレードオフの関係上仕方のないことです。そのため、「この要素があれば、多少価格が高くなってもいい」といった要素をコンジョイント分析で明らかにすることができるため、どの要素の組み合わせが最適なのかを判断できるのです。
まとめ
今回はコンジョイント分析の定義や実施方法について解説しました。コンジョイント分析を行うことで、消費者がどの要素が購買にとって重要と感じているのかを把握することができるので、売れやすい製品の特徴を判断することができます。
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参考文献
- 「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー
- 「コンジョイント分析による支払い意思の把握」尼崎現介
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