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2022.05.12(更新日:2024.03.04)

専門家が解説するマクドナルドが頻繁にクーポンを出す意味

【YouTube記事】マクドナルドが頻繁にクーポンを出す意味はあるのか?値付けのプロが解説します
【YouTube記事】マクドナルドが頻繁にクーポンを出す意味はあるのか?値付けのプロが解説します
その他・価格業界情報
#価格戦略

(この記事は、マクドナルドが頻繁にクーポンを出す意味はあるのか?値付けのプロが解説しますの解説記事です)

【質問】
マクドナルドでやっている10円などのクーポンって意味あるんですか?
【回答】
意味のある施策だと考えられます。値下げによる販売促進の効果も勿論ですが、それ以外にも「定価を分からなくする」という効果があるでしょう。

マクドナルドがクーポンを出す理由

高頻度でクーポンを出しておくと定価のイメージを持たれにくいです。これはいざ値上げする時に役立ちます。

マクドナルドがクーポンを出す理由として、値下げによってお客さんの数を増やす販売促進もあるでしょう。ですが、マクドナルドの狙いは別のところにあるのではないかと私は考えます。それは「定価を分からなくすること」です。
食品系の会社では、原材料費の高騰からやむを得ず商品の値上げに踏み切ることも多いです。ですが値上げはお客さんから反発を受けることも多く、炎上のリスクがあります。他にもお客さんの購買意欲低下が見込まれることから、値上げした商品は小売店で扱ってもらえなくなることもあります。値上げした花王の商品がスーパーで取扱中止になった事例も存在します。
一方で、マクドナルドが値上げした場合について考えてみましょう。普段はクーポンを用いて支払うため、お客さんの多くが定価を覚えていません。定価を覚えていないため、店側がしれっと値上げをしてもお客さんは気付きにくいのです。プライシングには様々な要因が関係してくるため、一般的に値段の見直しは頻繁に迫られます。その度に毎回毎回値上げしていると、いつも値上げしている会社として良いイメージが付きません。その際に有効な手段として考えられるのが高頻度のクーポン配布です。高頻度でクーポンを出しておくと定価のイメージを持たれにくく、値上げが成功しやすくなります。いざ値上げしないといけないときに備えてクーポンを配布し、価格変更を成功させるという方法もあるのです。

まとめ

マクドナルドが実際にこのような狙いでクーポン配布を行っているか定かではありません。ですが、販売促進に繋がらないレベルの安いクーポンにも定価を覚えにくくすることで値上げを成功しやすくするというメリットがあります。この観点からマクドナルドのクーポン戦略は大変意味のあるものだと私は考えています。

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Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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(この記事は、マクドナルドが頻繁にクーポンを出す意味はあるのか?値付けのプロが解説しますの解説記事です)

【質問】
マクドナルドでやっている10円などのクーポンって意味あるんですか?
【回答】
意味のある施策だと考えられます。値下げによる販売促進の効果も勿論ですが、それ以外にも「定価を分からなくする」という効果があるでしょう。

マクドナルドがクーポンを出す理由

高頻度でクーポンを出しておくと定価のイメージを持たれにくいです。これはいざ値上げする時に役立ちます。

マクドナルドがクーポンを出す理由として、値下げによってお客さんの数を増やす販売促進もあるでしょう。ですが、マクドナルドの狙いは別のところにあるのではないかと私は考えます。それは「定価を分からなくすること」です。
食品系の会社では、原材料費の高騰からやむを得ず商品の値上げに踏み切ることも多いです。ですが値上げはお客さんから反発を受けることも多く、炎上のリスクがあります。他にもお客さんの購買意欲低下が見込まれることから、値上げした商品は小売店で扱ってもらえなくなることもあります。値上げした花王の商品がスーパーで取扱中止になった事例も存在します。
一方で、マクドナルドが値上げした場合について考えてみましょう。普段はクーポンを用いて支払うため、お客さんの多くが定価を覚えていません。定価を覚えていないため、店側がしれっと値上げをしてもお客さんは気付きにくいのです。プライシングには様々な要因が関係してくるため、一般的に値段の見直しは頻繁に迫られます。その度に毎回毎回値上げしていると、いつも値上げしている会社として良いイメージが付きません。その際に有効な手段として考えられるのが高頻度のクーポン配布です。高頻度でクーポンを出しておくと定価のイメージを持たれにくく、値上げが成功しやすくなります。いざ値上げしないといけないときに備えてクーポンを配布し、価格変更を成功させるという方法もあるのです。

まとめ

マクドナルドが実際にこのような狙いでクーポン配布を行っているか定かではありません。ですが、販売促進に繋がらないレベルの安いクーポンにも定価を覚えにくくすることで値上げを成功しやすくするというメリットがあります。この観点からマクドナルドのクーポン戦略は大変意味のあるものだと私は考えています。

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高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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