Pricing Studio
プライシングに対するすべての悩みを解決するWebメディア
2022.04.13(更新日:2024.03.04)

ディズニーランドのチケット値上げから学ぶプライシング戦略

【YouTube記事】ディズニーランドのチケットから学ぶ上手な値上げの方法とは?ディズニーのプライシング戦略について
【YouTube記事】ディズニーランドのチケットから学ぶ上手な値上げの方法とは?ディズニーのプライシング戦略について
その他・価格業界情報
#価格事例
#値上げ

(この記事は、ディズニーランドのチケットから学ぶ上手な値上げの方法とは?ディズニーのプライシング戦略についての解説記事です)

2021年9月にディズニーチケットの最大700円の値上げが発表されました。現在の価格が約8,000円なので驚く方も多いと思いますが、開業当時のチケット価格はなんと3,900円でした。1983年から100円、200円など少額の値上げを繰り返した結果今のチケット価格になったのです。今回は、なぜディズニーがこのような少額の値上げを繰り返していったのかについて紐解いていきます。

【この記事の結論】
・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば問題ない!

チケット価格と来場者数の変遷

定期的に値上げを行っているのにも関わらず、ディズニーの来場者数は減っていません!

ディズニーランドはお客さんが離脱しないギリギリの価格まで値上げをするということを徹底しています。その結果、毎回の値上げが100円や200円といった小さいものになっています。次の図は各年のディズニーの来場者数をまとめたものです。定期的に値上げを行っているのにも関わらず、来場者数は3,000万人前後で安定してほとんど減少していません。

値上げが収益に与えたインパクト

ディズニーが値上げをしていなかった場合について考えてみます。2016年に500円の値上げを実行していますが、もしこれを行なっていなかったらどうなるでしょうか。
ディズニーの来場者数は年間約3,000万人です。年間3,000万人×500円なので、この値上げをしなかった場合150億円の利益を機会損失をしていたことになります。見方を変えれば、この値上げによって150億円の増収に成功したとも言えるでしょう。

ディズニーの場合、100円の値上げでも成功すれば30億円売り上げが増加します!

内的参照価格とは

「今より追加でいくら払えるか」を基に決めた価格のことを内的参照価格といいます!

お客さんは今払っている金額をもとに過去の経験から「いくらまでなら追加で払えるか」を考えます。このように決められる参考価格を内的参照価格といいます。
内的参照価格に基づいてお客さんは意思決定を行うことが多いので、大幅な値上げをすることはお客さんの支払い意欲を落としてしまい現実的ではありません。

短期スパンでの価格変更

そんなに頻繁に値上げして大丈夫?と思うかもしれませんが、それが値上げ成功の秘訣です!

ディズニーがとても短いスパンで値上げを行っているのにもかかわらず入園者数が安定しているのは、先ほど説明した内的参照価格にそった値上げを行なっているからです。一気に1,500円の値上げをした場合客離れが考えられますが、少額の値上げなのでそれを避けられています。
お客さんが払える範囲内で少しずつ値上げをしていくことで、ディズニーは長期的な収益インパクトを創り出すことができました。この例のように1年や2年に1度、プライシングを見直す機会を設けることが非常に重要です。

まとめ

・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば何の問題もない!

これら3つのポイントを、ディズニーの価格戦略から学ぶことができました。

「追加でいくらまでなら払ってくれるか」を定期的に考えて、長期的なスパンの値上げも考えてみましょう!

SHARE
リンクコピー
Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

この執筆者のほかの記事

関連記事

その他・価格業界情報
#価格事例
#値上げ

(この記事は、ディズニーランドのチケットから学ぶ上手な値上げの方法とは?ディズニーのプライシング戦略についての解説記事です)

2021年9月にディズニーチケットの最大700円の値上げが発表されました。現在の価格が約8,000円なので驚く方も多いと思いますが、開業当時のチケット価格はなんと3,900円でした。1983年から100円、200円など少額の値上げを繰り返した結果今のチケット価格になったのです。今回は、なぜディズニーがこのような少額の値上げを繰り返していったのかについて紐解いていきます。

【この記事の結論】
・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば問題ない!

チケット価格と来場者数の変遷

定期的に値上げを行っているのにも関わらず、ディズニーの来場者数は減っていません!

ディズニーランドはお客さんが離脱しないギリギリの価格まで値上げをするということを徹底しています。その結果、毎回の値上げが100円や200円といった小さいものになっています。次の図は各年のディズニーの来場者数をまとめたものです。定期的に値上げを行っているのにも関わらず、来場者数は3,000万人前後で安定してほとんど減少していません。

値上げが収益に与えたインパクト

ディズニーが値上げをしていなかった場合について考えてみます。2016年に500円の値上げを実行していますが、もしこれを行なっていなかったらどうなるでしょうか。
ディズニーの来場者数は年間約3,000万人です。年間3,000万人×500円なので、この値上げをしなかった場合150億円の利益を機会損失をしていたことになります。見方を変えれば、この値上げによって150億円の増収に成功したとも言えるでしょう。

ディズニーの場合、100円の値上げでも成功すれば30億円売り上げが増加します!

内的参照価格とは

「今より追加でいくら払えるか」を基に決めた価格のことを内的参照価格といいます!

お客さんは今払っている金額をもとに過去の経験から「いくらまでなら追加で払えるか」を考えます。このように決められる参考価格を内的参照価格といいます。
内的参照価格に基づいてお客さんは意思決定を行うことが多いので、大幅な値上げをすることはお客さんの支払い意欲を落としてしまい現実的ではありません。

短期スパンでの価格変更

そんなに頻繁に値上げして大丈夫?と思うかもしれませんが、それが値上げ成功の秘訣です!

ディズニーがとても短いスパンで値上げを行っているのにもかかわらず入園者数が安定しているのは、先ほど説明した内的参照価格にそった値上げを行なっているからです。一気に1,500円の値上げをした場合客離れが考えられますが、少額の値上げなのでそれを避けられています。
お客さんが払える範囲内で少しずつ値上げをしていくことで、ディズニーは長期的な収益インパクトを創り出すことができました。この例のように1年や2年に1度、プライシングを見直す機会を設けることが非常に重要です。

まとめ

・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば何の問題もない!

これら3つのポイントを、ディズニーの価格戦略から学ぶことができました。

「追加でいくらまでなら払ってくれるか」を定期的に考えて、長期的なスパンの値上げも考えてみましょう!

SHARE
リンクコピー
Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

この執筆者のほかの記事

関連記事