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実例から見る価格体系 本当に正しいSaaSプライシングとは

2021/09/15 (更新日:2022/03/15)


プライシングスプリント

2021年9月8日、SaaS企業におけるプライシングについて、企業にあった価格体系の決め方や、具体的な価格の決め方について、サブスクリプションモデルの現状を元に解説するオンラインセミナーが開催された。

本セミナーには、プライシングコンサルティングおよびプロダクト開発を通じて、顧客の価格成功を支援してきた経験を持ち、現在プライシングスタジオ取締役COOを務めている相関集氏が登壇した。

前回開催されたプライシングセミナーの記事はこちら

実例からみるサブスクモデルの現状

プライシングの成功企業(Netflix)

相関氏はプライシングの成功企業としてNetflix (ネットフリックス)を例に挙げた。

(出典:Statista)

「Netflixでは1-2年に1度のペースで値上げが実施されています。それによって売上も上がっていることが左のグラフのMRRを見ていただければわかると思います。」

米国の失敗したスタートアップのうち15%は「価格と費用」が原因

プライシングで成功した企業がある一方、失敗した企業もあるという。

米国の111の失敗したスタートアップを調査して、失敗した理由をランキングにしたものが次のグラフである。

(出典:CBINSIGHT)

このグラフでいう失敗とは倒産だけでなく、実質倒産も含まれる。

「最も多いのは、キャッシュアウト資金切れで、次にマーケットのニーズがないというランキングですが、この7番目にプライシングとコストの問題がでてきます。

プライシングに難航している企業は多々ありますが、倒産の原因にまでなっている企業が15%もあるんですね。この違いは何から生まれるのでしょうか?この理由について価格体系という側面から、掘り下げていくのが本日のセミナーになります。」

そもそも価格体系とは?

相関氏は価格体系について「製品にいくら請求するか?の問いに答えるもの」と定義している。

「すごく単純なことですが、これがサブスクリプション型のビジネスであるSaaSだと非常に難しいです。なぜなら旧来ビジネスからの2つの大きな変化があるからです。」

サブスクリプションにより世の中の製品は、モノとしてではなく、サービスとして認識されるようになっている。モノからサービスに変化したことで価格体系に選択肢ができ、複雑化したという。

本来、一つの商品に対して単一価格が決められていたが、モノのサービス化により、月額料金のシステムや人数ごとに課金するシステム、利用料で課金するシステムなどが生まれ、価格体系に選択肢が増えたのである。

「また、製品価値がアップデートされていくだけでなく、それに伴い事業状態と提供価値、顧客も変化していきます。そのため、価格体系も一度決めたら終わりでなく合わせて変化が必要になります。

そもそも価格体系が複雑化している中、変化させていかなければいけないところにSaaSの価格体系の検討の難しさがあります。」

企業にあった価格体系の決め方

価格体系を決める観点

相関氏は価格体系を決める観点は、「顧客と価値」と「個別の価格体系」の2つであるという。「顧客と価値」とは誰に何を届けるか、「個別の価格体系」とは何にいくら請求するかということである。

顧客と価値

顧客属性の整理と提供価値の整理を行うことが必要である。

「顧客の整理で行うことは、業界、業種、企業規模(エンタープライズ等)、部署などで実際の顧客データベースを分類できるような、顧客分類を作成することが重要です。

また、価値の整理で行うことは、誰にどんな価値を与えているかなど、整理した顧客分類からサービス価値を整理することが重要です。」

個別の価格体系(代表となる価格体系4つ)

相関氏は代表的な価格体系四つとその特徴を説明した。

今回相関氏が解説したのは定額課金、アカウント別従量課金、利用従量課金、機能別料金の四つである。

定額料金の特徴

期間毎の定額料金を設定する

顧客が価格を理解しやすい

幅広いニーズに応える工夫が必要

・アカウント別従量課金の特徴

アカウント数毎の料金を設定する

利用ユーザーに比例して単価アップ

複数ユーザー前提サービスに向く

・利用従量課金の特徴

利用量毎の料金を設定する

利用に応じて自動で単価が増える

顧客が利用を控えるリスクあり

・機能別料金の特徴

利用ニーズに合わせてプランを設計

顧客分類に応じたプランが可能

プラン変更でアップセルが望める

価格体系の策定前提

相関氏は策定前提として価格体系は、価値が単一か複数かによって変化するということを説明した。

縦軸に顧客が感じる価値を表すものとして支払意欲を置いたものが次のグラフである。

事業の最初の段階であれば、一つの顧客セグメントに対して一つの価値を提供していることが多いため左側のグラフのように支払い意欲が揃ってくる。しかし実際のSaaS企業は、右側のグラフのように、顧客の支払い意欲のパターンが複数存在していることが多い。

「このグラフにおいて支払い意欲が高い人に合わせた金額設定にしてしまうと、支払い意欲の低い人たちは買えなくなってしまう。逆に支払い意欲が低い人たちに合わせた金額設定にしてしまうと、支払い意欲が高い人の分を損してしまうことになる。

そのため、顧客への価値が単一か複数かで、価格体系を組み合わせるべきかが決まります。」

価格体系の策定方法

次の画像のようにターゲットとターゲット毎の価値を列挙し、その上で価値毎の価格体系を整理するという。

「全ターゲットに対するコア価値を選定して、ベース部分の価格体系を決定して、一部ターゲットに対するサブ価値から、オプション及びアップセルおよび従量課金を選定するというやり方になります。

サービスのどのような価値を表すために、その価格体系にする必要があるのか、そこまで考慮して価格体系を決めないとせっかくの価値が伝わらず、なかなかお客様の支払いが生まれない、契約が生まれないということが発生してしまいます。そのため実際の価格体系策定では、価値と価格体系の整理・検討が重要になります。」

値付けの仕方(具体的に価格を決めるには)

価格体系決定後に具体的な価格を決める際、いきなり価格変更を行うのではなく検証を挟む必要がある。

価格体系変更は顧客影響が大きいため未検証での価格変更はリスクが高く、検証が必要だという。

「また、製品価値がアップデートされていくだけでなく、それに伴い事業状態と提供価値、顧客も変化していきます。そのため、価格体系も一度決めたら終わりでなく合わせて変化が必要になります。」

価格体系の検討から調査まで行えるPricing Sprint

「事業ビジョンを実現する価格体系策定から、調査・分析、そして価格改定実行し運用化までプライシングスプリントでは一気通貫で支援致します。

なかなか価格体系を見るのはかなり難しいかなと思うのですが、まさにSaaSサービスの中で一番大事なところになりますので、改めてこの機会に考えていただければと思います。皆様の事業の成長がプライシングによって、加速することを願っています。改めて皆様ありがとうございました。」と、相関氏は自身の公演を締めくくった。

まとめ

戦略的なサブスクリプションプライシングを実践したい方は、プライスハックまでお問い合わせください。

皆様のサブスクリプション事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

 

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役社長

これまでリクルートをはじめとする大手企業から中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。慶應義塾大学在学中に起業。

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サブスク事業を急成長に導くデータ活用とプライシング戦略

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2021年7月1日、サブスクリプションビジネスの成長におけるデータ活用について、解約率(チャーンレート)を改善するための顧客データ活用方法や、適切な価格設定をするためのデータ収集方法について、様々な現場でデータ活用を支援してきた2社の代表と数々の企業を支援してきたベンチャーキャピタリストが、自らの体験をもとに解説をするオンラインセミナーが開催された。 前回開催されたプライシングセミナーの記事はこちら。 本セミナーにはSTRIVEのベンチャーキャピタリスト古城巧氏や、プライシングSaaS「PricingSprint」を運営するプライシングスタジオの高橋嘉尋氏、カスタマーフィードバックを軸にしたディレクション事業とプラットフォーム「KiZUKAI」を運営する山田耕造氏が登壇した。 サブスクビジネスを成長させるには2 サブスクリプション型の利益構造システム3 プライシングの見直し頻度とインパクト4 プライシング戦略、価格決定における価格分析方法5 アンケートによるデータ収集6 価格決定におけるデータの活用方法7 価格決定に活用したデータから得られること8 プライシングに感度の高い急成長企業の事例9 解約率の差による成長曲線10 顧客ステージ毎に解約率は見なければいけない11 活用すべきデータ12 KPI策定におけるデータ抽出の注意点13 解約への影響力を正確に把握14 質疑応答15 まとめ サブスクビジネスを成長させるには 1番手で登壇したSTRIVEの古城氏は、サブスクビジネスの急成長に必須な2つの要素について説明した。 この2つは、投資するときにも重視する尺度だという。 1.ネット新規MRRの成長 2.ユニットエコノミクスの成立 「1つ目の、新規MRRグロースには低チャーンが必須だと考えています。ネット新規MRRは次のように因数分解でき、この3つの足し算と引き算で成り立っています。 ①新規MRR ②既存顧客のアップセル ③チャーン ここで、 ①新規MRRと② 既存顧客のアップセルがいくら積みあがっても、③でチャーンしてしてしまっては、継続的な成長ができません。チャーンが鍵になると思っています。 2つ目は、ユニットエコノミクス(LTVをCACで割ったもの)が、3倍以上を保っていることです。うまく行っている会社とそうでない会社をみていると、目安として3倍以上が好ましいことがわかってきました。3倍以上を保ってくれるかどうかがサブスクビジネスが伸びる鍵になると思っています。」(古城氏) サブスクリプション型の利益構造システム 続いて古城氏は、毎年同金額が積みあがる前提として、チャーンレートと売上高成長の関係について言及した。 そして、毎年同金額が積みあがることを前提として、チャーンレートを3%~35%の場合の売上高成長を可視化したグラフを説明した。 「グラフを見て分かる通り、チャーンが10%以上になると、継続的な成長が無いことがわかります。ここからも、いかにチャーンレートを下げることが、長期的成長のポイントとなるかがわかります。」(古城氏) プライシングの見直し頻度とインパクト 最後に古城氏は、価格の見直し頻度と、見直し頻度ごとのユニットエコノミクスについて解説した。 米国のスタートアップでは、8割のスタートアップが年に1回以上の価格の見直を行っており、継続的に見直す企業のユニットエコノミクスは 11.1x に対して、見直さない企業は 1.7xと、価格の見直し頻度によってユニットエコノミクスに大きな差が生まれているという。適切な価格設計をすることがユニットエコノミクスをよくするための1つの鍵となっていると語った。 最後に、チャーンレートとプライシングの重要性を強調した上で、「チャーンレートとプライシングをより深ぼっていければとおもい、プライシングスタジオの高橋さんとKiZUKAIの山田さんからお話しいただければと思います。」と古城氏は自身の公演を締めくくった。 プライシング戦略、価格決定における価格分析方法 2番手で登場したのは、プライシングSaaS「Pricing Sprint」を開発・ 提供するプライシングスタジオのCEO、高橋氏だ。彼は、プライシング戦略 、価格決定するにあたり、どのように価格分析を行うべきかを解説した。 「価格を決める際に、既にある顧客データだけを分析して価格を決定するのはとても難しいことです。そこでプライシングスタジオでは、アンケートを用いた分析を行っています。本日は、どのようにアンケートを取り、その結果をどう分析すれば価格が決められるのか、お話したいと思います。」(高橋氏) アンケートによるデータ収集 まず、アンケートによるデータ収集について、PSMを活用した価格感度設問と、支払意欲仮説を検証する属性設問を組み合わせることが大切だとした。 「価格感度設問はPSM(Price Sensitivity Measurementの略)という、4つの質問に答えてもらい、その結果から顧客の支払意欲がどの程度あるのか、分析を行う手法です。PSMを積極的に活用している価格のリテラシーが高い会社もありますが、PSMだけではなかなか価格を決め切ることができません。 例えば、PSMの結果 から、あるサービスを値上げした場合、20%の顧客が離脱するということが分かったとします。しかし、その20%が企業にとって切り捨てても良い顧客なのか、それともターゲットとして大切にしている顧客なのかによって、大きくリスクが異なります。 属性設問は、 ペルソナごとの支払意欲を特定するための設問で、BtoCのサービスの場合、例えば男性なら  許容 、女性は 離脱してしまうなど、ペルソナ毎に支払意欲がどのように違ってくるのかを特定するための設問です。」 また、  属性設問のポイントとして、プロダクトの価値を考え、支払意欲 との関係を検証 する設問作成を意識することが重要と高橋氏は語った。 価格決定におけるデータの活用方法 続いて、価格決定におけるデータの活用方法として具体的なシュミレーション手法について紹介した。左図の通り、価格感度設問を集計してグラフを作成します。一般的に、PSMでは高すぎて検討に乗らない金額と、安すぎて価格に乗らない金額が少なくなる金額の交点 になる価格を採用するとい言われていますが、実際はこれだけだと意思決定するには弱いです。 そこで、右図のように、いくらのときに何人が買ってくれて、売上はいくらになるかというシュミレーションを作成し、購買ポテンシャルを推計します。 また、お客様の中には従量課金などの課金体系を持つ企業もあります。その場合は、従量課金での利用量と支 払意欲の関係性をシュミレーションすることで、支払い意欲とペルソナの関係性が見られます。」(高橋氏) 価格決定に活用したデータから得られること 価格決定に活用したデータから得られることとして、以下の3つを挙げた。 1.カスタマーサクセスの向上 2.顧客起点の開発改善 3.マーケティングの施策実行 「1つ目のカスタマーサクセスの向上は、アンケートやインタビューを通してより深い関係構築につながり、継続的な関係が前提となるSaaS事業においては結果的にチャーン低下につながります。 2つ目の顧客起点 の開発改善は、機能Aを活用している顧客、導入目的が~な顧客は支払意欲が高い」といった観点 から 機能開発をすることができ、値上げの為に必要な機能を特定することができます。 3つ目はマーケティングの施策実行で、特定セグメントや、支払意欲が高いペルソナをターゲティングし、プロモーションができるようになります。」(高橋氏) プライシングに感度の高い急成長企業の事例 最後に、プライシングに感度の高い急成長企業の事例としてNETFLIXやSmartHRなどを例に挙げ、優れた成長の売上成長の裏には定期的な価格の分析があることを強調した。 「企業の利益に億単位で影響 を与えた事例もあるので、プライシングの凄さを日々現場で感じている。」として、高橋氏は自身の公演を締めくくった。 解約率の差による成長曲線 最後に登壇したのは顧客ロイヤリティ改善ツール「KiZUKAI」を運営する、KiZUKAI代表 取締役の山田耕造氏だ。チャーンレートにフォーカスし、ユーザー獲得後にどのようにロイヤリティを高めていくか、またデータの活用について解説した。 はじめに、山田氏は以下の通り2つのグラフを示した。「先ほどSTRIVEの古城さんの方からもチャーンが高いとなかなかビジネスがグロースしないというお話がありましたが、いろいろな会社を見ていく中で、 実際 、本当に良く見る傾向です。」 左側のグラフは、毎月2%以下の解約率で健全な推移をしており、累計ユーザー数はあがっている。 一方で、右側のグラフはBtoCのサービスなどによくある例で、10%台から高い場合は20%の解約率があるので、成長曲線が描いてゆけない。 「こうしたデータを日々見ているので、解約率は非常に重要であると思っています。解約率の高い会社と低い会社の差は何かというと、社内データがきれいに管理 されていることや、データの活用度合いに比例しているので、機会があればまとめたいと思っています。」(山田氏) 顧客ステージ毎に解約率は見なければいけない 次に、BtoCのユーザー事例を紹介した。横軸が 契約期間で縦軸が 入会時期となっており、色の濃さが解約率の高さとなっている。1か月目の色が濃くなっており、契約期間が長くなれば長くなるほど解約率が下がることがわかる。 「解約率は一概に毎月のデータだけで追うだけでなく、顧客ステージごと、契約期間ごとなどいろいろな尺度からみなければいけません。」(山田氏) 全体最適のアクションをしようとしてもなかなかうまくいかないので、新規ユーザー、中堅ユーザー、ベテランユーザー等、ステージを定義し、各ステージごとの解約特性を把握してアクションを取ることが大事だとした。 運用面では、ステージごとのキーKPIを設定しており、分析していくとステージごとにキーKPIが全く異なるため、データを使って、解約しそうなユーザーに対して不足しているアクションを分析している。 活用すべきデータ 「よくどのようなデータを活用すべきかと聞かれるのですが、ユーザーによってまちまちです。冒頭 でお話しした、解約率の高い企業と低い企業の差として、社内で保有するデータのきれいさが関係あると話したのは、ここで活用することのできるデータの差のことです。」 よく使われるのは、契約情報データ、活用データ、行動データで、契約データはIDで紐づけられているかどうかが重要だ。ユーザーの活用データや行動データは変動 するデータなので、時系列でデータベース化していく。 もう一つ大事なのは、サクセスデータだ。サブスクはサービスを提 供しているので、顧客に対する貢献度( 例えば 英会話アプリなら英語の上達度など)時系列で獲得していくことも重要だと山田氏は語った。 KPI策定におけるデータ抽出の注意点 KPI策定におけるデータ抽出の注意点として、データの抽出条件をそろえることが非常に大事だという。例えば、5/15に解約したユーザーは4/15-5/15の期間、3/1に解約したユーザーはあ2/1-3/1の期間など、解約日を起点として、同じ条件の期間でKPIを分析する必要がある。 「データの抽出方法が間違っていたり、条件が揃っていないと、分析しても傾向が全くわからないことがよくあります。データの抽出を慎重に行うことがKPI策定においては非常 に大切です。」(山田氏) 解約への影響力を正確に把握 KiZUKAIでは新規ユーザー、中堅ユーザー、ベテランユーザーなどの顧客ステージとユーザー状態を管理して、適したコミュニケーションを行っている。 また、  機械学習や重回帰分析を行い、解約に影響する要因を特定するとともに、解約しそうな顧客のリストが算出されるので、今誰にアプローチするべきかを明確に知ることができるという。 データ活用によりサブスクを急成長に導いた事例として、年間解約率が31.2%改善し、年間1069万円の効果が上がった事例などをあげた。 「解約率を抑えると、解約率だけでもビジネスインパクトが出るのですが、ユニットエコノミクスが成立してくるので、マーケティングにや組織などに投資して、フォローアップを厚くするなど、さまざまな投資をできるようになるのが一番のメリットだと思います。」として、山田氏は自身の公演を締めくくった。 質疑応答 Q:アンケートを実際に行う際は何人くらいに行うのですか? A:BtoBかBtoCによって異なりますが、BtoCは100サンプルくらいが理想です。BtoBは50サンプルくらいが理想です。BtoBは稟議 により意思決定プロセスの基準がしっかりと定まっているのでブレが少なく、少ないサンプル数でも大丈夫です。また、検証したい仮説の数が多い場合は、仮設の数×10くらいのサンプルを追加することをお勧めします。(プライシングスタジオ高橋氏) Q: 価格改定の重要性は認識できたが、実行するには勇気がいります。値上げもしくは値下げの成功例、失敗例があれば教えてください。 A:おっしゃる通り、価格改定には相当な勇気がいると思います。失敗事例は、値下げしたら失敗した、という事例はよく聞きます。例えば、値段を25%下げたのに新規顧客が獲得できず、MRRが1/4減ってしまった、という事例です。 値上げの成功例は、月額を2倍にあげたら成約率が上がった事例があります。 成功要因は、価格を上げることにより、品質に対する安心感が高まったということと、製品を評価する人がかわったためです。 これまでは現場決済で済む金額だったために、現場の人しか向き合わなかった製品が、価格を上げることによって役員レベルが意思決定を行うようになり、役員レベルこそ、その価値を感じてもらいやすい製品だったために、成約率が上がったのです。 弊社の事例としても、お客様の値上げの要望に対し、顧客の離脱を防いで60%の値上げはが可能だという分析とシュミレーション結果をもとに値上げを行い、実際顧客が 離脱することなくシュミレーション通りの結果となっています。 意思決定が不安だからこそ、しっかりと分析してシュミレーションを行えば、安心して価格設定を行うことができます。(プライシングスタジオ高橋氏) Q: プライシングの見直しは頻繁に行い続けるものという印象がないのですが、常にプライシングの 仮説は立て続けるべきなのでしょうか。もしくは、プライシングの仮説立て以外にプライシングスタジオを活用するケースがあればお聞きしたいです。 A: ディズニーランドは過去に14回値上げをしていて、昔は3800円くらいだった入場料が現在は8000円くらいになっています。ユーザーが離脱しない限界の金額までしっかり値上げしていくと、その分の収益をコンテンツに投資できます。そうすれば、コンテンツの魅力 とともにユーザー満足度も上がるので、支払い意欲も上ります。 グローバルで戦っている企業では、年に1-2回当たり前のように価格を見直しているので、日本にそういった文化がないだけです。そろそろそういう文化から脱却できればと思っています。 もう1つの質問、プライシングの仮説建て以外にプライシングスタジオを使う理由については、プライシングスタジオのお客様は、コンサルティング会社や事業会社でプライシングをやってきた方々が半数以上です。 彼らは、1つの仮説を検証するのに数か月から1年かかるという経験をしてきているのですが、プライシングスタジオのツールを利用することで、それが1~3か月くらいでできるようになり、 圧倒的な工数削減となります。そうしたプライシングの大変さを知っている方々に、多くの価値を感じてもらえているのだと思います。(プライシングスタジオ高橋氏) まとめ 戦略的なサブスクリプションプライシングを実践したい方は、プライスハックまでお問い合わせください。 皆様のサブスクリプション事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまでよろしくお願いします。

今こそ見直すSaaSのプライシング戦略 価格調査分析から決め方まで徹底解説

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SaaSプライシングの要点を解説したセミナーが開催2 国内SaaS企業は生き残れるか?3 サブスクリプションビジネスで考えるべきポイント4 契約変更とサブスク成長率の相関関係5 なぜプライシングを見直すべきか?6 プライシングを見直す頻度はどうすべきか7 価格戦略の考え方8 具体的な価格の決め方9 まとめ SaaSプライシングの要点を解説したセミナーが開催 SaaS/サブスクビジネスにおける価格戦略は、事業成長に影響する非常に重要な要素である一方で、設定や適正化、タイミングが難しい。こうした問題に頭を悩ませるSaaS事業者は多いことだろう。 2021年5月13日に開催されたPricing Studio x Zuora 特別共催セミナー「今こそ見直す!SAASプライシング戦略」では、SaaS成長へ向けた「プライシング戦略」をテーマに、基本的な考え方から、変更、タイミングの捉え方まで解説された。 前回開催されたプライシングセミナーのレポート記事はこちら。 最初に登壇したのはZuora Japan サブスクリプションエバンジェリスト 島本 永樹 氏だ。 2007年に創業したZuoraは、プロダクト販売モデルからサブスクリプションモデルへのビジネスモデル変革における収益向上、コスト削減などを支援する企業。グローバル1,000社以上の顧客を支援しているサブスク支援業界のリーダーだ。 国内SaaS企業は生き残れるか? 島本氏は冒頭、SaaSビジネスにおける厳しい現実をデータで提示した。 Zuora Japan サブスクリプションエバンジェリスト 島本 永樹 氏 「国内のSaaS市場規模は2024年には1兆円を超えると予測されていますが、SaaS企業が生き残るのは甘くありません。マッキンゼーの調査によれば、年間成長率が20%未満のソフトウェア企業は92%企業の確率で消えていってしまうと言われています」 近年注目されているSaaS企業の多くはサブスクリプションモデルを採用しており、プライシングに取り組むことが重要であると島本氏は力説する。 「サブスクリプションビジネスは一本調子ではなく、トライアンドエラーを繰り返して成長していくものです。ユーザーであるサブスクライバーを中心に置き、常にユーザーとつながりを持たねばなりません。刻一刻と変わる彼らのニーズを的確に把握し、製品やサービスを永遠のβ版としてアップデートしていく必要があるのです」(島本氏) サブスクリプションビジネスで考えるべきポイント つづいて島本氏は、サブスクリプションビジネスにおいて考えなければいけないこととして次の5つを挙げる。 1. 全体デザインのオファーリング 2. サブスクライバーの体験 3. ファイナンシャルモデル 4. ビジネスオペレーション 5. エンタープライズ・アーキテクチャ サブスクリプションにおける4つのビジネスモデル サブスクリプションには、定期購入型モデル・頒布会(はんぷかい)モデル・利用権利型モデル・レコメンドモデルという4つのビジネスモデルがあります。この記事では、それぞれのモデルのメリット・代表例、また複数…… 限られたセッションの中で島本氏は「1. 全体デザインのオファーリング」について言及した。 全体デザインのオファーリングとは、「持続的な成長を実現するには、どのようにサブスクリプションサービスを設計し、価格を設定し、パッケージ化すればよいか」を考えることだ。 ここで島本氏は、典型的なサブスクリプション契約の例を図示して挙げた。 この図は、Zuoraの顧客(SaaS/サブスク企業)が提供するサブスクリプションの典型的な契約の流れだ。 「ベーシックプラン(トライアル)への申込み、アップデート、従量課金の導入、プランの休止から再開、ときにはダウングレードを提案する場合もあります。 重要なのは横軸の時間軸をみることです。金額と価値のレベルをアジャストさせて、横軸の顧客生涯価値、つまりライフタイムバリュー(LTV)を最大化させていくのが、成功する企業のベストプラクティスです」 サブスクリプションの成功事例解説|適した業界、成功要因は? サブスクリプションは、近年さまざまな業界で段々と取り入れられています。目新しいもののように考えられることが多いですが、実は時価総額トップ企業30社のうち、14社がサブスクビジネスを事業の一部に導入して…… 契約変更とサブスク成長率の相関関係 実際、企業の戦略と成長率は大きな相関関係がある。 Zuoraの調査では、ユーザーに対して契約プランを複数用意して頻繁に変更ができている企業とそうでない企業とでは、成長率やチャーンに大きな違いがあるという。 「年に数回サブスクリプションエコノミーインデックスと合わせて調査していますが、プランを複数用意している企業はARPA/APRUの成長率が高く、チャーンも防げます」(島本氏) ZuoraソリューションはCRMやERP/会計システムなどと連携し、価格設定や契約管理、回収、レポート、会計仕訳といったサブスクリプションビジネスに必要な機能をSaaS形式で提供されている。 島本氏はZuoraのソリューションについて説明したうえで、「Zuoraの価値は、収益向上と効率化を同時に実現できることです。既存の仕組みに加えて、新規顧客獲得の加速や収益化を支援していきます」と締めくくって次のセッションにつなげた。 なぜプライシングを見直すべきか? 続いて登壇したのは、プライシングSaaS「Pricing Sprint」の提供やコンサルティング事業を行うプライシングスタジオの取締役COO 相関集 氏だ。 プライシングスタジオ 取締役 COO 相関 集 氏 相関氏はまず「なぜプライシングを見直すべきか?」という疑問を投げかけ、価格を継続的に見直している企業とそうでない企業のユニットエコノミクス(LTV/CAC)には大きな差があることを図を用いて解説した。 「なぜセミナーを開催してまでプライシングを見直すべきかといえば、ユニットエコノミクスに大きな差が出るからです。 価格改定頻度ごとのユニットエコノミクスを比較すると、継続的にレビューして価格を見直す企業は11.1倍となっているのに対し、見直さない企業は1.7倍にとどまっています」(相関氏) LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)とは|計算方法・顧客獲得との関係 企業の状態を理解するために、顧客のLTVを把握することは、最も重要なことの1つです。この記事では、LTVの定義・計算方法・顧客獲得との関係性などを紹介します。…… 島本氏のセッションでも言及された通り、SaaSは永遠にアップデートが繰り返される前提でサービスが提供される。 「特にSaaSは機能追加が多く、値上げのタイミングがあります。この機会を見逃さずに値上げを行いLTVを増加させることは重要です。 また、定期的に価格をモニタリスングする見直すことで安すぎて不安に思われる、高すぎて検討に乗らないといったことを避ければ、CAC効率化にもつながります」 プライシングを見直す頻度はどうすべきか では、どの程度の頻度でプライシングを見直すべきか。 相関氏は「結論からいえば、年に1、2回は確実に見直すべき」と強調する。 「海外では、価格を継続的に見直すことが当たり前になっており、米国では役80%のスタートアップが年1ペース、40%が2回見直しを実施しています」 グローバルトレンドから考える、SaaS・サブスク企業のプライシング戦略 2021年4月15日、サブスクリプションビジネスのプライシング戦略について、海外のトレンドやその手法などを解説するオンラインセミナーが開催された。 本セミナーには、STRIVEのベンチャーキャピ…… 価格戦略の考え方 価格戦略の考え方としては、プライシングによって成し遂げたい結果を逆算、アプローチを考えて、短期間でやりきることが大切だと相関氏は強調する。 「まず、短期間でやりきることが非常に重要です。数年単位の長い期間をかけてじっくりプライシングを見直そうとする方もいるが、これは従来のように、製品の価値が変化しない『売り切り型ビジネス』では通用した考え方です。 しかし、プロダクトそのものの価値がアップデートしたり、競合サービスの数や価格が変わったりするSaaS・サブスクにおいては、同じ価格のままではいけません。すぐ見直し、実行するという意味では、価格を変更する際にはデータ収集から価格決定まで、3か月でやりきることをおすすめします」 具体的には、価格変更の目的によってアプローチを変えていく必要がある。たとえば、売上/利益の増加が目的だった場合ひとつをとっても、さまざまなアプローチが考えられる。 「価格変更そのものが目的ではありません。戦略上のゴールは何か。価格をつかってどうギャップを埋めるかを考えることが重要です」(相関氏) 具体的な価格の決め方 では、具体的にどのようにして価格を決めたらいいのか。行うべき調査は大きく2つある。1つは支払い意欲調査で、2つ目は属性別調査だ。 支払い意欲調査の方法 支払い意欲調査は、顧客がいくらまでなら支払えるのかを調査するものだ。ここでは、次の4つのアンケート設問から分析を行う「PSM分析」を応用したものを使う。 PSM分析のアンケート項目 その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか? その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか? 「SaaSは一般的なアンケート会社のパネル回答は得られない のでおすすめできません。パネルの方がイメージしづらいプロダクトではバイアスが強く出てしまい正確な回答が得られないので、SaaSは既存のユーザーからヒアリング調査するのがもっとも良い方法です。弊社の実績ベースでは、サンプルは50ほどあればある程度見えてきます」(相関氏) 一般的な価格感度分析では、アンケート結果をプロットした左図の交点を見ていくのだが、これだけでは不十分だという。 「大切なのは、安すぎて質が低いと考える顧客、高すぎて検討に乗らないと考える顧客を可視化することです。 これを実現するため、『顧客数を最大化させる価格』と『売上を最大化させる価格』を算出した『購買ポテンシャル』を推計する右図も作成していくことが重要です」(相関氏) 属性別調査の方法 ここまで説明してきた支払い意欲に加えて、さらに難易度が高いのが属性別調査だ。 これは「何が原因で支払い意欲が変わっているのか。支払い意欲の高い層、低い層がどんな属性なのか」を特定するための調査である。 ここでは、利用目的、機能、従業員規模などを設問として加えて質問していく。相関氏は「非常に難易度が高いが、どういう要素が支払い意欲に関わってくるのか仮説を立てて設問を追加していくのがポイント」と語る。 「ここで重要なのは、価格変更を許容する顧客の特徴と事業戦略上必要な顧客の属性が合致していることです。支払い意欲調査で売上が増える価格を決定するだけでなく、属性別調査で自分たちの戦略上ほしい顧客属性を確認していかねばなりません」 まとめ そして相関氏は、価格を決める際に大切なこととして(1)短期間で決める、(2)的確に要件設計をする、(3)確実に実行するの3点を挙げて解説した。 「1つめに、価格変更プロジェクトは3か月以内と決めて実行すること。 2つめに、的確に要件設計することです。価格変更によって成し遂げたい目的を事業戦略ベースに考えましょう。 3つめに、確実に実行することです。たとえば、お客さまの中では、サービスの利用規約に定められている内容が原因で価格変更できないケースがたまに発生しています。 請求管理業務などのオペレーションに課題がある方は、Zuora社をはじめとしたサブスク管理システムを検討・導入するのをおすすめします」 最後に相関氏は、Pricing Sprintのソリューションや実績を紹介した。 Pricing Sprintは、成功企業のプライシングノウハウを体系化し、グローバルで活用されているバリューベースプライシングによるプライシングプロセスをSaaS化したものだ。 「ローンチから数か月ですが、SaaS/サブスク業界を中心にすでに多くの企業が導入してくださっています。目的の設計からアンケート調査、分析まで専門コンサルタントがサポートしますので、よろしければお気軽にご相談ください」 戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、こちらをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。 皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまでよろしくお願いします。

グローバルトレンドから考える、SaaS・サブスク企業のプライシング戦略

2021/04/19

2021年4月15日、サブスクリプションビジネスのプライシング戦略について、海外のトレンドやその手法などを解説するオンラインセミナーが開催された。 本セミナーには、STRIVEのベンチャーキャピタリスト四方智之氏や、プライシングSaaS「Pricing Sprint」を運営するプライシングスタジオの高橋嘉尋氏、サブスク管理システム「サブスクONE」を提供するサジェスタムの藤田聡敏氏が登壇した。 バリューベースプライシングとは?2 グローバルでのプライシングトレンド3 従量課金が最近のグローバルトレンド4 従量課金モデルを採用したSaaSの収益構造5 そのSaaSは従量課金にすべきか?採用する条件6 プライシングを見直すことでLTVが大きく成長7 Netflixのプライシング戦略は正しい?考察してみた8 NetFlixの値上げで行った調査手法「PSM分析」とは9 事業フェーズごとの価格戦略10 サブスクの価格仕様をスムーズに行うには?11 価格のテストと整合性の取り方12 サブスク管理ツールの選び方13 【5/13開催】SaaS成長を実現する「プライシング戦略」セミナー バリューベースプライシングとは? 1番手で登壇したSTRIVE 四方氏は、冒頭で近年再注目されているプライシング手法、バリューベースプライシングについて説明した。 バリューベースプライシングとは、原価や競合の価格にとらわれずに、顧客が商品・サービスに感じている価値に基づいて価格を設定する手法だ。その他の有名なプライシング手法にコストベースプライシングがあるが、四方氏は両者の違いを、次のように解説した。 「コストベースプライシングは、製品にかかるコストの上にマークアップ(利益を上乗せ)して価格を設定します。しかし、これは顧客がサービスに対して感じる価値を考慮していません。一方のバリューベースプライシングは、Perceived Value(知覚価値)をベースにして価格を設定します」(四方氏) バリューベースプライシングには、次の3点のメリットがある。 1. サービス収益の最大化 2. 顧客起点の開発・改善 3. カスタマーサクセスの質向上 「1つ目はサービス収益の最大化です。顧客の支払意欲に基づいて価格を決めるので、顧客にとって検討に乗らない価格に設定することが減りますし、知覚価値が高まることで値上げも可能になります。 2つ目は顧客起点の開発・改善です。バリューベースプライシングではアンケートやインタビューなどのヒアリング調査を実施し、その結果から顧客ニーズが分かるので、顧客起点でプロダクトの開発や改善ができます。 3つ目はカスタマーサクセスの質が向上することです。SaaSビジネスの成功には顧客との継続的な関係構築が必要ですが、アンケートやインタビューを通じて顧客と深い関係構築につなげられます」(四方氏) グローバルでのプライシングトレンド つづいて四方氏は、米国のSaaSスタートアップがおこなっているプライシングの最新トレンドに言及した。 前述のとおり、バリューベースプライシングはさまざまなメリットがある手法だが、日本と比べて先行している米国のSaaSスタートアップであっても、実践できている企業は少ないという。 「バリューベースプライシングは米国SaaSスタートアップでも40%しか実施できていないというデータもあります。まだまだ『勘と経験』に頼っていたり、『競合比較』で判断している状況です」(四方氏) 価格設定したあとは、どのようにマネタイズにつなげているのか。主要な課金方法は次の4つに分けられる。 1. アカウント課金(ユーザー数に応じた課金) 2. 従量課金 3. 企業(従業員)規模に応じた課金 4. その他 米国SaaSスタートアップで数多く採用されている課金方式はアカウント課金と従量課金の2つだが、2021年時点では、米国スタートアップではアカウント課金を選択している企業が一番多いという。 「アカウント課金よりも従量課金のほうがARPA(Average Revenue per Account:アカウントあたりの平均収益)が高く、顧客満足度も高いと言われています。実際に2014年と2021年の7年間で、従量課金の割合が増えてきており、今後もこの流れは加速すると思われます」(四方氏) 従量課金が最近のグローバルトレンド 従量課金を導入するメリットは次の4つだ。 1. 導入ハードルが低い:顧客が使い始める際に低コストあるいは無料で使えるので、導入ハードルが低い 2. 矛盾がない:顧客が感じる価値=支払う額が同じなので、矛盾が無い 3. ユーザーのアクセスが増える:1つのアカウントで複数のユーザーが使っても問題は発生しない 4. TAMが拡大する:より多くの潜在顧客にリーチでき、顧客単価を上限もなくせる 従量課金モデルを採用したSaaSの収益構造 さらに四方氏は、実際に従量課金を採用している企業の事例を挙げた。 「2020年にIPOしたデータレイクSaaSのSnowflakeはデータ量、CRMツールのHubspotはコンタクト数が指標となっています。自社のMRRの成長が顧客の成長に結びつくような指標にすることが重要です」(四方氏) 従量課金モデルのSaaSは、一部の顧客が収益の大部分を生む構造になっている。10%の顧客が70%の売上を生む「70:10ルール」なるルールができつつある。 「極端な例では、SlackやUnityはトップ1%の顧客が売上の40%以上を占めています。その他にもShopify、Snowflake、Unityなど、近年高成長を遂げているSaaSの多くは従量課金を採用しています」(四方氏) そのSaaSは従量課金にすべきか?採用する条件 従量課金を採用するかどうかを判断する材料はあるのか。四方氏は3Cのフレームワークで、従量課金を採用するための条件を列挙した。 四方氏は「市場・顧客に関しては高いITリテラシーを持っていること、特定のソフトウェアから得られる成果に課金される、つまり成果報酬を許容することが必要です。加えて、顧客の予算が大きいことも重要。少ないと、サービスを使わないような逆インセンティブが働いてしまうからです」と説明した。 「自社においては『顧客の成功』が明確に定義されており、定量的かつリアルタイムに観測できるかも大切です。 そして、競合が従量課金であることも見なければいけません。もし従量課金でない場合、十分な顧客へのヒアリングや市場調査が必要です」(四方氏) プライシングを見直すことでLTVが大きく成長 最後に四方氏は、プライシングの見直し頻度とインパクトについて解説した。 同氏によれば、「米国のスタートアップの80%が年1回に価格の見直しをしており、そのうち40%は2回以上行っている」という。 「計画的にプライシングを見直している企業とそうでない企業で、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)に大きな差が出てくる。継続的にレビューしている企業の11.1倍に対し、価格改定しない企業は1.7倍程度。価格を見直すことで、チャーンレートを抑えたりアップセルしやすくなったり、CACに効いてきます」(四方氏) 実際にプライシングに対する感度が高い企業として、四方氏はNetflixやSmart HRを例に挙げた。 「Netflixは1、2年のスパンで10〜20%の値上げを実施しており、Smart HRもまた、年1度のペースで値上げしているほか、従業員規模に応じた課金から従業員1名あたりの課金に変えるなどしています」(四方氏) 「細かくプライシングの見直しを行っている企業が順調に業績を伸ばしている」ことを強調し、四方氏は自身の講演を締めくくった。 Netflixのプライシング戦略は正しい?考察してみた 2番手で登場したのは、プライシングSaaS「Pricing Sprint」を開発・提供するプライシングスタジオのCEO、高橋氏だ。 Netflixは2021年2月15日、日本国内におけるサービス価格の値上げを行った。最も安いベーシックプランを880円から990円に、中間のスタンダードプランを1,320円から1,490円に値上げした(最も高いプレミアムプランは変更なし)。 この値上げの意図を探るべく、プライシングスタジオではNetflixの既存顧客106名にアンケート調査を実施。次の図は、調査結果からプライシングスタジオが独自に算出した価格シミュレーションである。 注目すべきは、価格を変えたときに何%のユーザーが許してくれるかを示した「許容ユーザー比率」だ。 この調査結果を見て高橋氏は「もし私がNetflixの価格担当だとしても、同じような価格に変更していたでしょう」と断言する。 「当社の調査では、たとえばベーシックプランの価格を880円から990円に変えたとき、許容ユーザー比率は94%から92%と、ほとんど下がりませんでした。 しかし1,090円まで値上げしてしまうと、許容ユーザー比率は82%まで下がってしまう。値上げしてもユーザーがあまり離脱しない、ギリギリの価格に設定しているのです(高橋氏) また、この調査によってプレミアムプランを値上げしなかった理由も考察できたという。 「現行価格の1,980円から100円でも値上げすると、許容ユーザー比率は89%から78%までガクっと下がってしまうので、値上げしなかったと考えられます」(高橋氏) ベーシックプランでは、現行価格と比べたときの売上比率が高い、つまり売上を最大化できる価格設定ができたのにも関わらず実施していない。これについても高橋氏は次のように解説する。 「1,490円に設定すれば売上は上がる。しかし、許容ユーザーは78%まで下がってしまいます。この価格にしなかったのは『まだまだ顧客獲得を優先したい』というNetflixの意思表明だと思われます」 NetFlixの値上げで行った調査手法「PSM分析」とは 今回プライシングスタジオが行った調査は、PSM分析という分析手法を応用しているという。 PSM(Pricing Sensitivity Meter)分析とは、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法である。信ぴょう性の高さに定評があり、近年ではグローバルで有名なSaaS企業でも採用されているものだ。 PSM分析とは|最適価格を見つける調査方法と手順 最適価格を見つける価格調査である、PSM分析について解説します。…… PSM分析は、次の2つのステップで行われる。 1.アンケート調査 2.可視化 1つめのアンケート調査では、次の4つを既存顧客に質問する。 その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか?   その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか?   その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか?   その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか? 次の図(左)はこの回答結果をプロットして図示したものだ。 一般的なPSM分析では、「安すぎて質が低い価格」と「高すぎて検討に乗らない価格」の交点をみて価格を参考にすることで、価格設定に目安をつけられるという。 このようにPSM分析は比較的簡易に始められる調査だが、実施する際には落とし穴もあると高橋氏は語る。 「『安すぎて質が低い』価格と『高すぎて検討に乗らない』価格の交点だけを見て価格を設定するのは危険です。 PSM分析で収集したデータをプロットした左図だけでなく、さらに深堀りして「顧客数を最大化させる価格」と「売上を最大化させる価格」を算出した「購買ポテンシャル」を推計する図も作りましょう。これにより、価格を変えたときにどのようなインパクトがあるかを、より正確に把握できます」 事業フェーズごとの価格戦略 つづいて高橋氏は、事業フェーズごとの価格戦略について説明した。 「事業が成長するにつれ、価格体系も常に見直し続けなければいけません。シードステージは事業ニーズを仮説検証しましょう。そのために、シンプルな価格体系である単一価格モデルを採用し、顧客数を最大化させる価格を選択します。 アーリーステージになると、徐々に顧客のニーズが多様化してきます。顧客の予算や利用量が違うのに同じ金額を使っていたりする場合には、多様なニーズに応えるために複数プランを追加します。また、シードと同様に顧客数を最大化させる価格を選びます。 ミドルステージでは、未開拓顧客セグメントの開拓やリテンション率の向上、既存顧客の単価向上を目指します。そのために、未開拓顧客と既存顧客それぞれにPSM分析を行い、価格体系を整理します。 レイターステージでは、顧客獲得数が頭打ちになる、複数プロダクトが存在するようになります。このステージでは、追加サービスで既存の売上を毀損せず、相乗効果の出る座組みを作ります」(高橋氏) 最後に高橋氏は「ここまで見てきたように、ユーザーの支払い意欲を正しく把握し、適切なプライシングを行うには高い専門性や膨大な調査・分析工数が必要になります。 弊社ではバリューベースプライシングなどの手法を活用した戦略的なSaaSプライシングを提案できます。プライシングについてお悩みの方はぜひお問い合わせください」と語り、講演を締めくくった。 サブスクの価格仕様をスムーズに行うには? 望ましい価格水準が決まったら、これを速やかにディテールを決め、テスト、実装、PDCAを回せるように落とし込まなければならない。最後に登壇した藤田氏は、サブスクリプションにおける価格変更をスムーズに実行するポイントを解説した。 まず藤田氏は「サブスクリプションは継続的な取引により顧客が積み重なっていくので、価格体系全体の整合性を取ることが重要」と説明した。 「新プランをつくる場合は、既存プランと矛盾がないようにします。特に安いプランを作る場合は、既存プランからの移動が起こり思わぬ収益減が発生し得るので、既存価格から移動できる条件をあらかじめ定めておきましょう」 また藤田氏は、決めるべき主な仕様の構成要素を次の図で挙げた。 「サービスによってはすべて決める必要はありませんが、一つひとつの仕様を細かくみていく必要があります」(藤田氏) 価格のテストと整合性の取り方 次に藤田氏は、価格のテストと整合性の取り方を説明した。 売り切り型のサービスで価格テストをする場合は比較的簡単だ。たとえばECサイトで価格をランダムで出し分けたりクーポンをランダムで発行したり、エリアを限定してテストしたりすれば良い。 「しかし、サブスクの場合は少々工夫が必要です。プランが増えて断片化してしまい、矛盾を抱えるリスクがあるからです。キャンペーンと明記したり、提供期間を限定にしたりと、テスト期間が終了した時点の扱いをあらかじめ顧客と合意しておくことが重要です」(藤田氏) サブスク管理ツールの選び方 では、どのようにして価格変更を実装すればいいのか。サジェスタムはサブスク管理プラットフォーム「サブスクONE」を提供しており、さまざまな事業者から引き合いがあるという。藤田氏は、サブスク事業者におけるよくあるシステム構成を次の図を交えて説明した。 「サブスク事業者のシステム構成は、SFA/CRMに登録された顧客データが独自で構築した簡易的なシステムやExcelを介して請求・決済ツールに連携されている場合が多いです。しかし簡易システムやExcelでは仕様の対応に限界があり、周辺ツールとの連携も限定的になります」 こうした課題を解決するために、価格や契約を一元管理できるサブスク管理ツールを導入することが近道だという。 最後に藤田氏は、サブスク管理ツールを選ぶ際のポイントを2つ挙げて講演を締めくくった。 「1つ目は『価格の構成要素になり得る項目がスムーズに設定できるか』です。2つ目は『サブスクビジネスにおける重要KPIを取得でき、PDCAに活かすことができるか』です。 サブスク管理ツールは数多くありますので、(サジェスタムの)サブスクONEをはじめフラットな視点で選んでいただけたら幸いです」(藤田氏) 【5/13開催】SaaS成長を実現する「プライシング戦略」セミナー プライシングスタジオでは2021年5月13日、SaaS成長へ向けた「プライシング戦略」をテーマに、基本的な考え方から、変更、タイミングの捉え方まで、分かりやすく解説します。 お申し込みはこちら 戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、こちらをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。 皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまでよろしくお願いします。