ダイナミックプライシングはどうすれば導入できる?各アプローチを徹底比較。

2020/05/06

こんにちは。Dr.プライスです。この記事では、ダイナミックプライシングの導入方法3つについて詳細に解説しています。記事の終盤では、表での比較やフローチャートを通して、最適な導入方法がわかるようになっております。

ダイナミックプライシングとはなにかわからない方はこちらからご覧ください。

この記事の結論

  • AI人材とダイナミックプライシングの見識者が余っている企業には、自社開発が適切な導入方法
  • 自社業界にダイナミックプライシングツールがサービスとして存在している場合、導入コストを抑える意味でもツール利用が適切
  • 受託開発は、様々な業界にて、自社に最適なダイナミックプライシングを導入するための一般的な手段

はじめに

企業がダイナミックプライシングを実際に導入するにはどうすれば良いのでしょうか?
実際に導入する場合には、選択肢は三つあります。

一つ目は、自社でダイナミックプライシングのアルゴリズムを開発すること

二つ目は既存のツールを利用すること

そして三つ目が、受託会社に自社用のアルゴリズムやツールを開発してもらうことです。

こちらのフローチャートは、簡単に最適な導入方法を考えられるものです。一度簡単に考えてから、ぜひそれぞれの選択肢の解説と、比較をご覧になってください!

それぞれに良い点と悪い点があり、向いている企業と向いていない企業があります。この三つの選択肢がどんな企業に最適なのかをを解説していきたいと思います。

導入方法解説

1自社開発

自社でアルゴリズムを開発できる企業であれば、自社に最適なダイナミックプライシングを導入することができます。ただし、後述する通り、この開発方法を採用できる企業は非常に限られるため、注意が必要です。

この方法のメリットは二つ挙げられます。
一つ目は、自社の業界内で、いち早くダイナミックプライシングを導入できる可能性があることです。
プロ野球チームの楽天イーグルスは、ダイナミックプライシングを自社で開発し、野球業界でいち早く導入することができました。まだ自社業界向けの受託開発企業が存在せず、かつ自社業界向けのツールもない中でダイナミックプライシングを導入するには、自社開発を行うしかありません。また、他企業に開発を依頼する場合よりコミュニケーションコストも低く、自社の業界知識を活用できるため、スピード感をもって開発できるでしょう。

こちらはスポーツ業界のダイナミックプライシングを解説した記事となります。


二つ目のメリットは、自社で開発したダイナミックプライシングのアルゴリズムをサービス化し、他社に商品として提供できるようになる可能性があることです。
例えば、ECサイト「コスメパンプキン」を運営している株式会社日光企画の事例が挙げられます。日光企画は、自社のサイトの収益向上を目指してダイナミックプライシングを自社で開発しました。ECサイト向けのツールは国内にも存在していたものの、価格の決定要因が異なる独自のアルゴリズムを組み立て、導入したのです。その結果、既存のECサイト向けツールと差別化できるサービスが生まれ、自社だけではなく他社にもサービス提供するようになりました。
このように、自社でオリジナルなダイナミックプライシングを開発し、それをサービス化することができれば、信頼性が高いうえに、独占的な技術を持ったサービスを提供できるというメリットがあります。

以上が自社開発のメリットとなります。

しかし、相応のメリットがあるものの、自社開発は導入できる企業が少ないという弱みを持ちます。

  • ・内部にAIを扱える人材がいない場合、高い採用コストや雇用コストを負担することとなり、それを許容できる企業でなければならない。
  • ・内部にAIを扱える人材がいるとしても、ダイナミックプライシングのアルゴリズムの開発に当てられるだけの人数が社内で余っている必要がある。
  • ・効果的なダイナミックプライシングを開発するには、プライシングの専門知識を有する人材が必要となる。

これらの条件を満たす企業は実際のところ少なく、多くの企業に対しては適切だと言えない選択肢となります。

まとめ
自社開発は、導入事例のない業界で早い段階から開発ができるうえ、ダイナミックプライシングツールを展開をするビジネスにつながる可能性があるものの、開発できる環境やプライシング に対する理解が社内にないと難しい選択肢である。

ツール利用

ダイナミックプライシングを導入を考えている場合、ツールを利用するのは一度検討すべき選択肢です。
ダイナミックプライシングのSaaS(Software as a Service)はまだ数は少ないものの、EC小売業界や宿泊業界ではSaaSとしてツール展開されています。

ツール利用の最大のメリットは、やはりコストの小ささでしょう。新しく仕組みを作る自社開発や受託開発と違い、既にあるサービスを利用するだけなので、当然費用は安く済みます。また、月額課金制のものが多く、初期費用が小さいため、多くの企業で取り入れやすい選択肢となります。また、ツールそのものだけではなく、カスタマーサポートを受けられるため、基本的な受託開発会社と遜色のないサービスを受けられる可能性があります。さらに、導入までの速さもツール利用の良い点です。既存のツールを利用するため開発期間が必要なく、サービスに登録してからスピーディーにダイナミックプライシングの実用化が可能です。

デメリットとしては、そもそも現在、ダイナミックプライシングツールがサービス化されていない業界が多々あることが挙げられます。現状、国内でダイナミックプライシングがツール化されている業界は、EC小売と宿泊業界、レンタカー業界のみと少なく、ツールでの導入は簡単ではありません。

また、オリジナリティのなさも欠点になりえます。特定の業界でツールが普及している場合、既に競合他社が利用している可能性が高く、自社がその業界で導入しても大きな差別化要因にならない可能性があります。さらに、一つのツールを多くの同業者が導入する場合、結果同じアルゴリズムで価格が導き出され、価格の違いによる収益が生まれなくなるケースも考えられるのです。

まとめ
ツール利用は、差別化や話題性にはつながらないものの、適したツールが存在する場合は、安く素早くダイナミックプライシングを導入することができる選択肢です。

 

ダイナミックプライシングツールの提供は、複数の企業が行っています。同一業界で複数の企業がサービス展開している場合もあるため、ツール利用での導入を検討する場合、比較する必要性があるかと思います。こちらの記事では、業界ごとにツールを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

受託開発

受託開発は、既存の適したツールがないものの、自社に最適な形でダイナミックプライシングを導入したい企業に一般的におすすめな選択肢です。
受託開発の大きなメリットは、ダイナミックプライシングのプロである開発企業と共同でアルゴリズム開発を進められることです。ダイナミックプライシングは専門性の高い領域で、AI人材に加えてダイナミックプライシングの見識者も必要となります。それらの人材が集まる受託開発企業に依頼することは、確実な選択肢だと言えます。

開発企業によっては、プライシングに関する自社の課題の抽出や導入目標設定から協力してくれたり、実証実験として試験導入するアプローチを取ってもらえたりするため、安心して自社用のダイナミックプライシングを完成させられます。また、これも開発企業によりますが、完成したダイナミックプライシングの仕組みを実際の業務で活用し、成果をあげるまでの運用をコンサルティングしてくれる場合もあります。総合的に考えると、開発企業による部分はあれど、受託開発ダイナミックプライシングを導入して最も効果をあげやすい手法なのです。

また長期的に見ると、コストが比較的小さく済むこともメリットとして挙げられます。
受託開発の初期投資額は大きなものですが、開発期間のみ発生する費用です。一方、自社開発のために人材を確保する採用コスト 及び その後長期的に発生する人件費は、開発した後も継続発生するため、企業にとって固定的なコストとなってしまいます。結果、長期的に見れば受託開発のほうがコストは低いと言えるのです。

デメリットとしては、コミュニケーションコストの高さが挙げられます。受託元と受託先で詳しく認識をすり合わせながら開発を進める必要があるため、社内で開発する場合と比べると、コミュニケーションコストが大きくなってしまいます。
また、依頼する企業の見極めが必要になることもデメリットの一つです。
ダイナミックプライシングの開発企業は幅広く、開発のみに特化している企業もあれば、導入後の業務運用のコンサルティングまで対応できる企業もあります。そのため受託開発を依頼する場合は、開発から導入後の運用までのどの部分を開発企業に依頼するのかを自社できちんと検討し、必要な能力を持つ企業に依頼することが必要不可欠です。

このようなメリットとデメリットのある受託開発ですが、自社開発ができない企業で、適したツールのない企業がダイナミックプライシングの導入を考える場合、適切な選択肢です。

まとめ
受託開発は、既存の適したツールがないものの、自社に最適な形でダイナミックプライシングを導入したい企業に一般的におすすめな選択肢だと言えます。

比較

以上、3つの導入方法を紹介してきましたが、ここでそれぞれの選択肢を比較してみようと思います。

自社に最適なアルゴリズムを利用できるか?

ダイナミックプライシングが効果的に機能するには、当然ながら良質なアルゴリズムでの価格変更と、それが導入企業の商品や目的とマッチする必要があります。ここではそのように最適なアルゴリズムを利用できるかどうかで比較していきます。

自社開発ならば、優秀なAI人材・プライシング見識者が社内にいるという条件付きですが、確実に自社の状況に合わせたツールを作成できます。また、どの企業も開発していないモデルでも、開発に挑戦することができます。そのため、開発さえできれば、素早く、かつ確実に自社に最適なダイナミックプライシングが可能になるでしょう。

ツール利用は、既にある数少ないサービスを使わなければならないため、すでにツールがある業界でなくては、そもそも利用できないうえ、すでにある業界でも、自社に最適なツールになるとは限りません。

受託開発は、ダイナミックプライシングを専門に扱っている企業に依頼して、自社に適したアルゴリズムを構築できます。

実証実験から行う開発企業の場合、前例のない領域でも、ダイナミックプライシングが高い効果を発揮するかを検証するステップが踏めるため、最適なアルゴリズム設計をすることができます。実証実験を行なわない場合は、開発企業の経験・知見を活用して効果が見込まれるアルゴリズムを設計するにとどまるため、一部不安要素は残りますが、それでも専門家に任せられる、という点ではメリットがあるでしょう。

一方で、開発企業は得意とするアルゴリズムを持っている場合が多く、依頼された内容が開発企業にとって不得意な分野であれば、開発が行えない場合も考えられます。

費用は安く済むか

ダイナミックプライシングは、しっかりと機能すれば大きな効果を発揮しますが、導入コストは低くありません。ここでは導入及び運用にかかる費用を比較いたします。

自社開発の場合、コスト算出は複雑になります。まず、ダイナミックプライシング開発には様々な人材が関わります。例えばデータサイエンティスト(人件費:約800万円/年)、PM(同:約800万円/年)、事業側の担当者(同:約750万円/年)などの人材が必要です。こうした人材の必要な人数や、その他に必要な人材は、開発の規模によって異なります。基本的にダイナミックプライシングの開発のプロジェクトは3ヶ月ほどで実行されるので、開発期間の人件費はそこまで大きな額にはならないこともあるのですが、問題は開発前後でかかるコストです。

そもそも人材としてAI人材が余っている企業は別ですが、そうでない企業はダイナミックプライシング開発に必要な人材を事前に採用する必要があり、こうした人材が希少であることから、その採用コストは多額になることが予想されます。また、開発完了後も、その人材を雇用し続けないとならないため、人件費も開発期間の分だけでは済みません。さらに、ダイナミックプライシングを効果的に機能させるためには、開発人材だけではなく、プライシングについて見識のある人材、ダイナミックプライシングを業務に適用させるためのコンサルタント的な人材も必要となり、その人件費や採用コストも必要になります。このように、複合的、長期的に考えると、自社開発でダイナミックプライシングを導入する費用は最も高くなると考えられます。

ツール利用は、最もコストの低い選択肢です。月額課金モデルのものが多いため、初期投資額が100万円ほど、月額20万円ほどと低コストで利用でき、他の選択肢には手が届かない企業でも導入を検討できます。仮に5年間利用すると考えると、初期投資100万円+月額20万円✖️12ヶ月✖️5年=1300万円ほどとなり、自社開発や受託開発と比較して最も安い選択肢だといえます。しかし、ダイナミックプライシングツールは店舗数ごとに月額料金などを設定している場合が多く、店舗数を多く抱える大企業であればあるほど、費用がかさんでしまいます。また、こうしたツール利用料金そのものとは別に、社内でのツール導入や業務適用を担当する人材も必要になるため、実際にかかるコストは上記の限りではないと考えられます。

受託開発の場合、導入時に一度5000万円ほどの投資をすれば、それで費用は終わりになります。短期的なコストは高くつきますが、長期的に見れば一度で投資が終わるため、自社開発でかかる費用より安く済むと考えられます。また、店舗数の多い大企業向けであっても開発費用は一定となる場合が多く、店舗数による費用増加を抑えることができます。

ダイナミックプライシングを実際の業務で有効活用できるか?

どんなに効果的なダイナミックプライシングを開発して利用するとしても、それが効果的に機能しないと意味がありません。実際には、導入後どの部署が利用するのかどのタイミングで価格を変更するのか、といった業務上の問題があるのです。ここではダイナミックプライシングを導入開始したあと、業務オペレーションにフィットさせられるかを比較しました。

自社開発の場合、当然ながら、作成したダイナミックプライシングを業務に適用させられる人材が内部に必要となります。自社業務に精通していれば、その適用も可能ではあるのですが、プライシングについて専門的な知見をもつコンサルタントと同等に適切な業務オペレーション設計ができるとは考えにくいのではないでしょうか。

ツール利用では、導入時の各種ガイドに加えて、業務オペレーションへの最適化をサポートしてもらえる場合があります。近年のSaaS企業は、顧客と長期的にお付き合いするために、ツール導入後のサポートに力を入れている企業が多いため、導入後も安心して利用できることが多いです。しかし、やはりツール利用の場合、多くの企業が利用しているため、一企業あたりのサポートは、受託開発でコンサルタントが入る場合と比べて、弱いといえます。

受託開発では、開発企業の提供するサービス範囲によって、業務で有効活用できる度合いに差があります。開発だけではなく、導入コンサルティングまで行ってくれる場合だと、そもそも業務オペレーションにフィットするようなシステムや操作方法を作成してくれたり、また導入コンサルティングによってダイナミックプライシングを最適に扱えるようになるまでのサポートを受けたりすることができるなど、ダイナミックプライシングを有効活用しやすいと言えるでしょう。一方、開発企業によっては、コンサルティングなしで、開発のみで終わる場合もあります。その場合、手厚いサポートを受けることは難しいと考えられます。

まとめ

ダイナミックプライシングを導入するための方法として、自社開発受託開発ツール利用の3つがあり、それぞれに良い点と悪い点があります。導入を検討する際は、各導入方法の内容とメリット/デメリットを理解したうえで、自社の状況と照らし合わせて適切な方法を選んでいくことが大切です。

ここまでたくさん解説いたしましたが、「結局実際に弊社で導入するとなると、なにを選べば良いのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?ぜひ、改めてフローチャートを確認してみてください!

この記事の監修者

プライスハック監修

高橋嘉尋

株式会社Best path Partners代表取締役社長

Best path Partnersでは、大手飲食チェーン店をはじめとする様々なクライアントに対しプライシングコンサルティングを実施。ダイナミックプライシング開発や導入サポート事業も展開している。

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