ダイナミックプライシング失敗!?自動販売機でのダイナミックプライシング事例に迫る!

2020/08/05

こんにちは!Dr.プライスです。ダイナミックプライシングは様々な業界に、新しい風を吹かせています。しかし、そんなダイナミックプライシングも導入が失敗に終わってしまったことがあります。この記事では、失敗事例を一つ取り上げて事例を解説し、ダイナミックプライシング導入の失敗要因を見つけていきたいと思います。

 

この記事の結論

  • コカコーラ社は、気温から需要予測をするダイナミックプライシングを計画していた
  • 顧客離れのリスクからダイナミックプライシングは実装されなかった
  • ダイナミックプライシングの失敗要因は、顧客へのメリットが提示できないことだと言える。

ダイナミックプライシングの導入失敗

「ダイナミックプライシングを自動販売機に導入する」

アメリカの大手飲料メーカーのコカコーラ社は、20年ほど前に自動販売機でダイナミックプライシングの導入を検討したことがります。しかし、実際にそれが実装されることはありませんでした。先進的な取り組みだと思えた、コカコーラ社のダイナミックプライシング。なぜ失敗してしまったのでしょうか??

以下の記事に、コカコーラのダイナミックプライシングについての記載がございました。これらの情報をもとに、コカコーラ社のダイナミックプライシングの沿革と、失敗に終わる結果となった原因について迫っていきます。

コカコーラ社のダイナミックプライシング

ダイナミックプライシング導入の背景

アメリカ合衆国で、コカコーラ社が自動販売機でダイナミックプライシングを導入しようとしていたのは、1990年代後半でした。当時のCEOのダグラスイベスター氏は、喉が乾くような暑い日と、涼しい日だと飲み物の需要が変わると判断し、自動販売機で販売する商品の価格を、気温に応じて価格が変動するダイナミックプライシングにしようと思ったのです。

コカコーラ社のダイナミックプライシングの仕組み

主にダイナミックプライシングでは、変動する商品需要に合わせて価格変更を行うことで、収益最大化につながる値段での商品販売を可能にします。ここで鍵になるのが、変化する需要を予測することです。多くの場合、直前の販売状況や、季節、曜日などによってこの需要予測を行うケースが多いですが、コカコーラ社は、気温が需要予測の指標として利用できると判断したのです。当時の計画では、自動販売機に気温計をつけることで、それによって測った気温に応じて自動販売機の価格が変動するという形になっていました。日ごと、および1時間ごとの価格変更を行い、気温が高い夏の日、気温が高い真昼には価格が上昇する設計だったのです。

確かに、暑い日の方が冷たいジュースが飲みたくなりますよね。少し高くても購入してしまうかと思います。これだけでは、ダイナミックプライシングが失敗するとは思ません。なぜ導入は失敗してしまったのでしょうか?

コカコーラ社のダイナミックプライシング導入が失敗した理由

このコカコーラ社のダイナミックプライシングは、適切な需要予測モデルを利用しており、導入も拡大していけるかと思われました。しかし、実際に導入が拡大することはありませんでした。

その理由は、顧客離れのリスクが大きすぎたためだと考えられます。

とあるインタビューで、当時のCEOダグラス・イベスター氏が開発中だったダイナミックプライシングについて言及したところ、それは大きな波紋を呼びました。インターネット上や、マスコミ、そして競合のペプシなど、世間から大量の批判を浴びてしまったのです。その結果、自動販売機のダイナミックプライシングは、顧客離れを引き起こすと認識せざるを得なく、導入を中止したと考えられます。

それではなぜそのように批判が殺到してしまったのでしょうか?そこには三つ考えられる理由があります。

  1. ダイナミックプライシングによる値上げが顧客に価値を提示できていないこと
  2. 商品の価値自体が変わったわけではないこと 
  3. 業界の常識から外れていたこと

批判の原因①ダイナミックプライシングによる値上げが、顧客に価値を提示できていないこと

一つ目の問題点は、コカコーラ社のダイナミックプライシングは、値上げによる顧客へのメリットを提示できなていない点です。そもそも需要の高まりに応じて価格を上げることは、「儲け主義」との不審をいだかれやすいです。欲しい時に商品の値段があげられたら、顧客からしたらムッとしますよね。そのため、ダイナミックプライシングを実施するときは、顧客に「自分たちの利益にもつながる」と納得してもらえるような設計をする必要があるのです。

例えば、配車サービスのUberは、需要が高まった地域、時間帯の価格を向上させるのですが、それによりドライバーの労働インセンティブを刺激し、需要に見合うだけの供給を確保するのです。これは、顧客のサービス満足度向上につながっているため、社会に受け入れられています。

コカコーラ社は、需要が多い時に値上げをすることで、買う人を減らし、自動販売機に並ぶ時間を減らすことができると主張していましたが、そこに魅力を感じる顧客は少なかったようであり、納得感を作ることはできませんでした。

批判の原因②商品の価値自体が変わったわけではないこと 

そもそもこのモデルは、商品価値の変動が顧客に伝わりにくい性質を抱えていました。もちろん、需要は変動するのですが、商品そのもののが変わったわけではないのです。例えば、気温が高い日にはコーラを冷やして高く提供し、そうでない日にはあまり冷やさず安く提供するなど、商品の価値自体が変化したのなら、顧客の納得度は一定高まっていたでしょう。商品の価値の変動に納得感がないと、顧客が商品価格の変動に納得しにくいのです。

批判の原因③業界の常識から外れていたこと

当時、ダイナミックプライシングを導入する飲料メーカーはありませんでした。そのため、顧客が慣れの面から受け入れられなかったうえ、競合からの批判もあったのです。有力な競合他社であるペプシが、

「気候に応じたダイナミックプライシングは、暑い地域に住む消費者の搾取につながる」

「ペプシは、コーラを買いにくくするのではなく、革新を目指す」

といった声明を出していた中でダイナミックプライシングを実行すると、大きな顧客離れにつながりかねません。これはダイナミックプライシングを中止する大きな理由となったでしょう。このように、業界で最初にダイナミックプライシングを導入することはリスクを伴うのです。

 

ダイナミックプライシングには「顧客離れ」のリスクがあります。このケースは、導入した事実によって顧客離れが起きかけた、わかりやすい例です。ダイナミックプライシングが、「企業のもうけのためだけに行われる施策」だととられてしまうと、それを導入する事実によって顧客離れは発生してしまうのです。

このリスクもあり、コカコーラのダイナミックプライシング導入計画は失敗に終わったのです。

こちらの記事では、ダイナミックプライシングと「顧客離れ」という観点から、導入デメリットを解説しています。

 

まとめ

コカコーラ社のダイナミックプライシング導入計画は失敗に近い形で終わってしまいました。たしかに、コーラは需要に変動性があり、気温に応じて価格を上下させることは、収益最大化に繋がりそうなモデルです。しかし、それが顧客離れにつながってしまう場合、長期的な利益を失うことになってしまうのです。

ダイナミックプライシングは企業の収益最大化に有効な手段ですが、それが顧客の利益にもつながるのか、受け入れてもらえるのかどうかを考えることは不可欠です。今回の事例から得られる教訓を一言でまとめるとこのようになるでしょう

「ダイナミックプライシングは、顧客に価値を感じてもらえないと難しい」

そのため、ダイナミックプライシングに失敗するリスクを回避するには、事前にどんな企業ならダイナミックプライシングを失敗せず導入を成功させられるかを把握することが重要です。

こちらの記事では、ダイナミックプライシングを導入すべき企業の特徴を紹介しています。是非ご覧ください

この記事の監修者

プライスハック監修

高橋嘉尋

株式会社Best path Partners代表取締役社長

Best path Partnersは、B2B向け価格改善クラウド「Pricing Sprint」の開発・提供や、様々な産業へのダイナミックプライシング受託開発・導入サポート事業を展開している。また大手飲食チェーン店をはじめとする様々なクライアントに対し、プライシングコンサルティングを実施している。

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