コロナ禍でダイナミックプライシングが大幅促進!?ニュースと事例を総まとめ!

2020/07/30

こんにちは!Dr.プライスです。新型コロナウイルスの脅威が続く中、ダイナミックプライシングが様々な業界でニュースになっています。この記事は、コロナ禍で耳にしたダイナミックプライシングに関わるニュースをまとめ、五つの業界のダイナミックプライシングについて解説しています。是非ご覧ください。

ダイナミックプライシングとは何かを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

この記事の結論

  • 新型コロナウイルスの脅威は、①企業の収益減②密集回避という変化を社会にもたらした
  • ダイナミックプライシングは、その解決策として注目されている
  • 顧客との対話を心がけないとダイナミックプライシングはうまくいかない

ダイナミックプライシングとは??

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」です。主に需給の変動に合わせて価格変更を行う形で活用されており、企業の収益最大化や混雑緩和など、多くの価値を発揮しています。

人々の需要が高まった商品や、供給が足りていない商品に対しては、価格を上げて利益を最大化します

一方、人々の需要が小さくなった商品や、供給過多な商品に対しては、価格を下げることで、販売数を増やします
これがダイナミックプライシングの基本です。

新型コロナウイルス拡大によってダイナミックプライシングの浸透が進んだ!?

そんなダイナミックプライシングは、withコロナの現在、導入が拡大されているのです。

これから、3月ごろから7月現在までの、国内のダイナミックプライシングにまつわる話題をまとめて紹介いたします。そして、新型コロナウイルスの脅威がダイナミックプライシングの拡大にどのように影響したのかを解説していきたいと思います。

電車のダイナミックプライシング

7月7日、JR東日本がダイナミックプライシングを検討していることが、定例会見で伝えられました。

JRがダイナミックプライシングの導入を検討したことには、二つの背景があるかと思います。

一つ目、直接的な要因は、乗客が減ったことによる減収です。4月に発令された緊急事態宣言により、各社はテレワークを推進し、電車通勤をする人が減りました。これにより、4~6月の鉄道事業の売上高は定期券販売を除くと前年同期比で2640億円落ちるという危機的な状況になってしまいました。この中で、経営状態を改善する施策として、ダイナミックプライシングは検討されました。需要が非常に高くなる時間帯の価格をあげることで、収益増加をおこなうことができると期待されています!

二つ目の要因として、世論の後押しが挙げられるでしょう。もともと、満員電車の混雑問題は、人々にとってかなりストレスフルなものでした。それが新型コロナウイルスの拡大により、ただストレスなだけではなく、解決を求めたい大きな課題となったのです。そこで、ダイナミックプライシングによって、乗客を分散させることが期待されているのです。ダイナミックプライシングにより、需要の週ちゅすうる通勤、帰宅時の料金が上がった場合、企業がもつサラリーマンの交通費負担がかなり大きくなり、時差出勤制を採用する会社が増えることも考えられます。このように、ダイナミックプライシングは電車の混雑緩和につながる可能性があるとされています。5月末に発売された、堀江貴文氏の『東京改造計画』や、都知事選での堀江氏の政策提案などでも、電車のダイナミックプライシングは話題になり、共感を集めました。JRにとって、ダイナミックプライシングが好意的に受け取られやすい土壌ができたのです。

現在検討段階ですが、日本最大規模の鉄道会社であるJR東日本が導入したとあれば、他の鉄道会社が検討し始めることでしょう。導入の形としては、最初はリアルタイムに価格が変動するのではなく、時間帯に応じて異なった料金になる時間帯別価格制として導入されるかと思われます。

また、ダイナミックプライシングを実装する中で、乗客の価格感度の分析も期待されます。それによって改めて乗客の価格への意識を企業が掴めると、互いにとってより良い価格設定がされそうですね!

このような顧客理解というメリットについても↓の記事で解説しています。

参考記事

レイルラボ

特報web

 

Yahooニュース

飲食店のダイナミックプライシング

表参道に店を構えているasatteという飲食店は、唯一のランチメニューである日替わり定食をに、ダイナミックプライシングを取り入れました。「三密」を回避することが飲食店にも求められる中、席数を減らさずに密集を回避することを目指して導入したそうです。

  • 需要の集中する時間帯→価格を上げることで、需要を抑える。
  • 需要が小さな時間帯⇨価格を下げることで、需要がピークの時間帯の顧客を呼び寄せる。

このように、一つの商品の価格を、時間帯に応じて複数の値段に変動させることで、混雑状況をコントロールしようとしているのです。asatteさんでは、30分ごとに商品の価格が変わるようで、最も高い時間と、最も安い時間では700円もの価格差があるようです。これにより、導入を開始してまだ間もないですが、これまでのピーク時間にお客さんが集中することはなくなったそうです。

飲食店は、ダイナミックプライシングと相性があまり良くない業界と考えられています。しかし、コロナ禍により、ダイナミックプライシングは混雑緩和のツールとして活躍したのです。

asatteさんでダイナミックプライシングが成果をあげているのは、彼らの独特な特徴が関わってきます。それらについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

スポーツのダイナミックプライシング

新型コロナウイルスの感染拡大により、無観客試合が続いたプロスポーツ業界ですが、7月ごろより、入場者数を限定した上でのスポーツ試合のチケット販売が開始されました。

ダイナミックプライシングは、そこで活用されました。新型コロナウイルスを受けて導入したのではなく、コロナ以前からダイナミックプライシングで行うことは発表されていたものではありますが、現在やはり観客や世間の話題を呼んでいます。

Jリーグは、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを設けて営業を再開しました。ここで、密集を避けるために、7月10日から8月1日ごろまでは、集客の上限が5000人と定められました。2019年のJ1リーグの一試合あたりの平均集客数が20751人であるため、J1リーグのチームにとっては、1/4ほどしか集客できないのです。

このように供給可能量が少ない状況なため、収益を得るには、価格を上げて利益を最大化することが重要です。そこで、収益改善の手段としてダイナミックプライシングは注目されているのです。清水エスパルスは、セレッソ大阪戦でダイナミックプライシングをチケット価格に適用させました。価格の変動については、供給可能量が少ないこともあり、値上げが主となったようです。

清水エスパルスは、これでできるだけ高い値段で売り切り、収益の最大化を実施できると考えていたのでしょう。しかし、実際には、値段を高くしすぎたことも関係したのか、チケットは売れ残ってしまったのです。

やはり、販売する側に供給量が少ないという事情があったとしても、消費者が「今回の試合は見に行かなくて良い」と感じてしまうような価格設定になると、売り切ることは難しくなってしまうのでしょう。

このようなスポーツチケットのダイナミックプライシングは、Jリーグだけではなく、プロ野球でも導入され、千葉ロッテが実施するというニュースも話題になりました。

また、ダイナミックプライシングは、試合のチケット以外にも活用されていました。それはドライブインでの観戦イベントの価格です!

名古屋インパルスは、7月12日のセレッソ大阪戦で新型コロナウイルスの影響で、アウェーチームである名古屋インパルスのファンが応援にいけない中、試合を楽しんでもらうために、別会場にてドライブインで映像を通じて試合観戦ができるイベントを開催していました。素晴らしい試みですよね!実はこの参加費用が、抽選で名古屋市民にあたる場合をのぞいて、ダイナミックプライシングによって決定されていたのです。おそらく、パーキングのダイナミックプライシングのように、入場している車の量に応じて価格変動が起きていたのでしょう。

これは、ダイナミックプライシングが、スポーツ業界に根付くであろうことを示す事例です。

参考

FOOTBALL ZONE

名古屋グランパス

朝日新聞デジタル

BASEBALLKING

高速道路のダイナミックプライシング

高速道路でのダイナミックプライシングは、混雑緩和に活用できるとして近年注目が高まっています。

高速道路の料金にダイナミップライシングを導入することができれば、需要の大きい日や時間帯の料金を高く設定することにより、ドライバーに、時間帯をずらした利用や一般道の利用を促すことができるのです。

そんなダイナミックプライシングを促進するようなニュースが先日出されました!それは、全国の高速道路の全ETC化を国土交通省が検討し始めたことです。これは、混雑緩和のためにも以前から検討されていた事項でしたが、料金所の料金受け取り担当者を経由しての感染拡大を防げることが後押ししたようです。

ETC化が進めば、高速道路でのダイナミックプライシングの実現可能性が高まります。実際、ETC化が今まさに進められようとしているのは、これから東京五輪パラリンピック開催時などに想定される渋滞対策として、ダイナミックプライシングが求められていることからも

新型コロナウイルス感染爆発前の2020年2月の段階では、五輪期間中の首都高速道路の料金をダイナミックプライシングで行うことが許可されていたのです。時間帯別料金として、競技に影響する6時から22時までは千円割高になる一方、深夜0時から4時までは半額になる予定でした。それを予め告知することで、選手の移動にも使われる、昼の首都高の利用者数を減らし、一方で利用者の少ない夜は利用者が増えるように設計していたのでしょう。

朝日新聞デジタル

日本経済新聞

テーマパークのダイナミックプライシング

テーマパークは、一部ですが、ダイナミックプライシングが既に導入されていた業界です。国内の例としては、ユニバーサルスタジオジャパン(以下USJ)が有名ですね。繁忙期と閑散期や、平日と休日といった需要に差がでる日に応じてダイナミックプライシングを行っていました。それにより、顧客が不快になるほどの混雑を防ぎ、一方で需要が小さい日に人が流れることを可能にしたのです。

こんな遊園地のダイナミックプライシングに変化が起きるかもしれません。コロナ禍により、東京ディズニーリゾートなどのテーマパークで入場制限が起きています。それらの入場制限があるテーマパークでは、異なった手法でのダイナミックプライシングの可能性が高まっていると考えられるのです。

6月23日、東京ディズニーリゾートが7月1日より営業再開することが発表されました。しかし、密集を避けるために、入場者数は50%以下と制限されてしまいました。チケットがオンラインで発売されると、すぐに上限に達して売り切れるようになってしまう状況があります。

顧客が半分ほどしか来ない状態では、収益があまり望めません。その中で、収益最大化のツールとして、USJのモデルに近いダイナミックプライシングを導入することも効果がなさそうです。今の価格では需要が供給(入場者数の上限)を下回るタイミングがないため、値下げが効果を発揮しません。需要が低い日の集客数を増やす、ということができないのです。

この中で、収益を拡大するためには、イールドマネジメントと呼ばれるダイナミックプライシングの手法が役に立つと思われます。それは、ホテルや飛行機のダイナミックプライシングで利用されている手法で、予約状況、チケットの残り枚数に応じて段階的に値上げ、または値下げを行うことで、できる限り高い価格で売り切ることを目指せるのです。この手法を使うことで、限られた入場者数で最大の収益をあげることができるのではないでしょうか。

ディズニーランドを筆頭に、入場制限のある遊園地で、イールドマネジメント型のダイナミックプライシングが広がるのかもしれませんね。

トラベルボイス

パッケージツアーのダイナミックプライシング

航空輸送事業などを行うANAグループは、「ANAダイナミックプライシング」として、国内線の航空券とホテルの料金をまとめたパッケージツアーのダイナミックプラシングを開始しました。355日前から、出発前日までツアーチケットを購入することができ、その買うタイミングによってリアルタイムに値段が変動するのです。

これは昨年から発表されており、コロナに合わせて作ったプランではないようですが、7月のタイミングでYouTubeなどで広告を活発化させたのは、Go toキャンペーンにあわせてのものかと思われます。また、今は旅行に行きたくない顧客からもキャッシュを確保するという文脈からも、この355日前から予約可能という点から顧客に訴求しようと思った可能性も想定できます。

ANA

新型コロナのダイナミックプライシングへの影響まとめ

新型コロナウイルスにより①企業の収益減②密集回避が求められるようになる という状況が作り出されました。

この中で、ダイナミックプライシングは

  1. 収益最大化
  2. 密集回避

のツールとして注目されるようになったのです。さらに、コロナ関係でダイナミックプライシングが話題になると、コロナ収束後のダイナミックプライシングや、密集回避に関係ないものに対してのダイナミックプライシングも、社会がそれを受け入れやすくなります。これによりダイナミックプライシングはさらに拡大していくことが予想されます。

また、ダイナミックプライシングを導入する際は、顧客との対話を忘れてはいけません。企業の都合で値上げしたとしても買ってもらえないうえ、顧客離れを起こしてしまう危険性もあります。ダイナミックプライシングは強力なソリューションだからこそ、徹底して顧客のことを意識する必要があるのです。

今回紹介した事例以外にも、マスクの高騰など、私たちの日常にダイナミックプライシングは大きく関わっています。

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この記事でも紹介した、「ダイナミックプライシングが混雑緩和に果たす役割」に関しては、下の記事でより詳しく解説しています。

またダイナミックプライシングの導入を検討しているかたは、下の記事をご覧ください。

 

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価格改善クラウド

この記事の監修者

プライスハック監修

高橋嘉尋

プライシングスタジオ株式会社代表取締役社長

プライシングスタジオは、B2B向け価格改善クラウド「Pricing Sprint」の開発・提供や、様々な産業へのダイナミックプライシング受託開発・導入サポート事業を展開している。また大手飲食チェーン店をはじめとする様々なクライアントに対し、プライシングコンサルティングを実施している。

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