リアル店舗でのダイナミックプライシング??ビックカメラの導入事例に迫る!

2020/06/23

こんにちは、Drプライスです。ECなどでの活用が取り上げられることの多いダイナミックプライシングですが、実は近年、リアル店舗を持つ小売店でも導入が進んでいます。例えば家電量販店のビックカメラは、2020年内の全店舗導入を目指し、ダイナミックプライシングの導入を拡大しています。この記事ではビックカメラを事例に取り、小売店でのダイナミックプライシングについて考えていきます!

ダイナミックプライシングについてまず詳しく知りたい!と思う方はこちらの記事をご覧ください。

この記事の結論

  • 価格変更を人力でリアル店舗の値札に反映しているうちは、ECのダイナミックプライシングに対抗することは難しい。
  • リアル店舗でのダイナミックプライシング導入の鍵は、電子棚札である。
  • ビックカメラは未来の店舗戦略としてダイナミックプライシングを重要視している

はじめに

ダイナミックプライシングは、自動で価格を変更する仕組みです。ECの小売業界で長く導入されていましたが、近年リアル店舗を持つ小売店でも導入されるようになってきています。リアル店舗での価格変更で問題となるのは、「どうやって価格変更を値札に反映させるのか」です。この問題を解決し、ダイナミックプライシング導入を実現したビックカメラの導入事例について、解説していきます!

小売業界の現状

そもそもなぜ、ビックカメラはダイナミックプライシングの導入を検討する必要があったのでしょうか?この理由を理解するためには、まず小売業界の現状を把握する必要があります。

価格が重要な小売業界

もともと、小売業界は同じ商品を複数社が扱うという性質上、価格競争が激しくなる業界です。さらに近年、価格.comなど価格比較サイトの出現により、客の商品購入の意思決定における価格の重要性が高まってきました。

加えて、オンライン業者との競争も激化しています。オンライン業者の競争優位の理由の一つに、ダイナミックプライシングがあります。EC小売店は、ダイナミックプライシングによる頻繁な価格変更によって、商品価格を消費者に選ばれる値段に随時調整できていたため、価格的な優位性を保ちやすいのです。

これらの要因から、リアル店舗を持つ小売店は、価格戦略を十分に考える必要があったのです。

EC小売店のダイナミックプライシングに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

リアル店舗の価格面での苦悩

このような環境下でリアル店舗を持つ小売店は、価格面での競争力を維持するために人力で商品の値札の差し替えを頻繁に行っていました。

しかし、扱う商品点数が多い大手小売店において、値札の差し替えを伴う価格変更を行うことは非常に工数のかかることでした。また、どうしてもオンラインの販売ほど素早く正確に価格変更ことはできませんでした。価格変更の意思決定を本部が行ってから、実際に価格を差し替えるまでの間に、時間差があり、リアルタイムの価格変更を実現できなかったのです。

このように、競争力のために価格変更を頻繁に行うものの、非常に工数がかかるうえに、時間に応じた競争力の高い価格で商品を販売することも難かしい状況がありました。 

しかし、現在この状況が改善される兆しが見えてきているのです。それは、電子棚札(データを元に価格を自動反映できる電子機械のタグ)の実用化により、近年オフラインの小売業界でもダイナミックプライシングが可能になったことです。

現在、小売業界の中でも大手のコンビニエンスストアや家電量販店で電子棚札の導入が進み、ダイナミックプライシングが利用され始めています。

小売業界の状況

・小売業界の価格競争は激化している

・価格変更が価格競争の肝だが、リアル店舗では難しい

・電子棚札によって、リアル店舗でもダイナミックプライシングが可能に・・・?

ビックカメラのダイナミックプライシング導入

小売業界の状況がわかったところで、ここからビックカメラの導入事例を見ていきましょう。

ビックカメラが抱えていた価格の課題

まず、ビックカメラはどんな企業なのでしょうか?

・家電量販店 業界2位

都市圏駅前での大型店舗の展開がメイン

・家電だけでなく、自転車や日用品など多様な商品を扱う

このように、ビックカメラは知名度・業績ともに家電量販店のトップクラスの企業だといえます。

しかし、実はこのビックカメラもAmazonなどEC小売店との競争に疲弊していました。というのも近年、消費者はビックカメラに来店しても、スマホでECとの価格比較を行い、値段によってはその場で購入せずに別途ECで購入するケースが増えているからです。

そのため、ダイナミックプライシングで頻繁に価格変更を行うECサイトに対抗すべく、競合の商品価格や曜日に応じて1日最低でも2回は数千もの商品の価格を人力で張り替えていたそうです。業務の3割ほどがそこに割かれているほどハイコストだったうえ、その結果、本来オフラインの強みである接客業務が疎かになってしまう状況もありました。

しかし、消費者に選んでもらうためには、頻繁な価格変更をやめるわけにはいかなかったのです。

ビックカメラ課題まとめ

・頻繁な価格変更をしないと消費者に選んでもらえない

・価格変更に非常に大きな工数がかかる

・価格変更に工数が割かれ、接客が疎かになる

ビックカメラにおけるダイナミックプライシング導入の成果

このような状況下で、ビックカメラはEC小売店に打ち勝つべく、ダイナミックプライシングの導入に踏み切りました。そしてダイナミックプライシング導入のために、電子棚札の導入を進めたのです。電子棚札、ひいてはそれにより可能になるダイナミックプライシングの導入に、どのようなメリットがあったのでしょうか?

それは、価格変更の超効率化です。これまでも、ビックカメラでは曜日や競合価格をもとに価格変更を本部にて決断、店頭に伝達するシステムは存在していましたが、ダイナミックプライシングとして自動化することはできていませんでした。ビックカメラ本部が価格変更を店舗に伝達し、店員が新しい値札を印刷し、一枚ずつ差し替えるという大きな作業が発生していたのです。

しかし、電子棚札を導入してからは、本部から直接商品価格の一括変更が可能になりました。

(日本経済新聞 『家電の価格、随時上げ下げ ビックカメラが「電子棚札」』より引用)

これにより、価格変更の頻度も向上させられ、価格面での競争力も向上しました。さらに、価格変更にかかる大量の工数を大幅に削減でき、これまで2〜3時間かけて行なっていた値札の差し替えの作業時間がほぼなくなったそうです。そして、その分店員が接客に集中できるようになり、オフラインの店舗をもつからこその強みである接客の質が向上したと思われます。導入店舗の担当者の方によれば、実際に商品を買わずに帰る客を減らすことができたそうです。

この導入結果を受けて、ビックカメラはダイナミックプライシングの導入拡大を意思決定し、2020年中の全店での導入を目指しています。さらに、2020年8月期第2四半期決算説明会では、これからの店舗戦略において、天候やエリア性を考慮した、より高度なダイナミックプライシングを検討していくと言及されました。

ビックカメラは電子棚札を導入することで、自動で商品の価格を適正価格に変更するダイナミックプライシングを、オフライン店舗でも実現したのです。これからもダイナミックプライシングはビックカメラの店舗戦略に大きく影響していくでしょう。

ダイナミックプライシング導入による改善点まとめ

・価格変更の工数の大幅な削減

・店員が接客に集中できるようになり、顧客体験の改善

・より頻繁な価格変更が可能になり、競争力向上

ダイナミックプライシング導入のメリットはこちらです。

まとめ

ダイナミックプライシングは小売店においてもはや必須のシステムだといえます。電子棚札が実用化した現在、オフラインの小売店でも、導入は検討すべきです。

この記事で解説したビックカメラだけではなく、ノジマなど他の家電量販店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアでもダイナミックプライシングが導入され始めています。

しかし、ビックカメラは導入に成功したものの、実際に自社のみでダイナミックプライシングをで導入することは容易ではありません。導入を検討する場合は、一度専門家へご相談することをお勧めいたします。

ダイナミックプライシングの導入をお考えの場合はこちらの記事をご覧ください

この記事の監修者

プライスハック監修

高橋嘉尋

株式会社Best path Partners代表取締役社長

Best path Partnersでは、大手飲食チェーン店をはじめとする様々なクライアントに対しプライシングコンサルティングを実施。ダイナミックプライシング開発や導入サポート事業も展開している。

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