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価格の心理テクニック①(品質指標、プラシーボ効果、威光価格)

2021/05/11 (更新日:2021/12/09)

一般的に、価格と需要量は反比例し、価格が高くなるにつれ需要は減っていくと考えられています。しかしその法則が通用しない場合があります。

経験則により、価格は高いと品質が良いと考え、逆に低価格であることは品質への懸念を抱くように、価格が消費者にとって商品の品質を評価する基準になることで、価格と需要量が比例している場合、このような現象が起こります。

そのため、価格を上げると単位あたりの売上高も増える可能性があるのです。

この記事では、この理論を活用したプライシングのノウハウについて解説します。

価格が品質指標になる

価格が品質指標になる例として、家具、カーペット、シャンプー、歯磨き粉、コーヒーなどがあります。

中でも、まだ購入したことがない商品やほとんど購入しない商品を目の前にしている時などは、品質指標として見られることが多いです。

ある電気カミソリを当時マーケットリーダーであったブラウン製品の価格に近づけようと大幅に値上げしたところ、売り上げが4倍になった例も存在します。(出典:Confessions of the Pricing Man)

なぜ価格が品質指標になるのか

価格が商品指標となる要因は次の3つです。

・経験

・比較しやすさ

・コストプラス心理

経験

消費者が過去に高価格商品で好ましい経験をしていれば、価格が高い方が安いよりも品質の保証になりそうだと思うようになります。

例えば、普段より価格が高い電子レンジを購入したら、普通は2年で壊れてしまうところ4年壊れなかったというような経験です。

比較しやすさ

価格が固定されていて、他に交渉の余地のない状況だと価格を使えば、商品を客観的に比較ができます。

バザーなど価格交渉が行われる場では価格は品質指標になりません。

コストプラス心理

多くの顧客にはコストプラスのマインドセットがあり、コストに利益を上乗せして価格が設定されていると考えられることが多いです。

例えば飲食店で、商品の価格を見て、作るのにどのくらいのお金がかかっているのか推測する心理です。

顧客が価格のみによって商品を評価するタイミングは、初めての商品やほとんど買わない商品を目の前にしている時、代替品の価格が不透明な場合、時間的なプレッシャーがある時などが挙げられます。

そういった際に価格は品質指標として考えられやすいです。

価格のプラシーボ(偽薬)効果とは

本来、商品の品質がそこまで高くないが、価格の高さによって相応の品質があるように錯覚する効果のことです。

ある研究では、同じパワードリンクで価格が値引きされているものと正規価格のものを飲んだ際、正規価格のものの方が効果が現れたとされています。

価格の品質指標としての効果は時に認知レベルを超えることがあります。

(出典:イラストAC)

価格のプラシーボ効果の研究例

あるテストでは被験者に異なる価格の鎮痛剤を処方しました。そして一方にグループには高い値札を、もう片方のグループには安い値札を見せました。

高価格を見せられた被験者は例外なく、この鎮痛剤が非常に効果的だったと述べたのに対し、低価格を見せられた被験者のうちそう主張したのはわずか半数でした。

しかしどちらも処方された鎮痛剤は実際は偽薬であり客観的に痛みを軽減させる効能はありませんでした。

このようにして価格のプラシーボ効果が実証されました。

価格が生み出す威光効果

威光効果とは「一部の特徴によって全体が実際以上に良いと感じる現象」のことです。

価格という特徴はその商品や企業の全体の評価に影響を与えます。

例えばフェラーリのようなハイブランド商品は、価格が高いほうがむしろ需要上がりますが、その要因は価格が品質指標になっていること以外にもあります。

それは価格がステータスや社会的名声のシグナルになっていることです

このような高級ブランドでは商品を所有・サービスを享受すること自体がステータスとなります。

このように価格は買い手に付加的レベルの社会的心理効用を与えるため、価格戦略に役立てることができます。

威光効果を利用した例

Louis Vuitton(ルイヴィトン)

(出典:Louis Vuitton)

威光効果を利用した代表例に、Louis Vuittonの価格設定があげられます。

長年に渡って作り上げてきたブランドイメージにより、高値でも常に人気のあるファッションアイテムを販売しています。

Louis Vuittonがセールを行わない理由も、ステータスや社会的名声のシグナルを崩さないためだと考えられます。

威光効果を利用した価格戦略

威光効果を利用する場合、顧客に対して高品質な商品・サービスであることを示すために価格を高く設定する価格戦略が有効です。

その際、自社の需要曲線が右上がりになる箇所を把握しておく必要があります。そして最適価格は再び下降する部分に存在します。

逆に自社の需要曲線を把握していない企業は、特に高価格品やラグジュアリー品の場合、手探りで最適価格を探すことになってしまうため注意が必要です。

価格が競争上の武器にならない理由

価格が競争上の武器にならないことがあります。例えば、高い評判、品質、もしくはプラシーボ効果が存在する市場です。この場合、これらが価格に大きな影響を及ぼすため、それによって競争上の武器としてのとしての価格の力が弱まります。

このような市場で、サプライヤーが低価格攻勢をかけてシェアを伸ばそうとすると、低品質や評判の悪さを連想させてしまうため失敗に終わってしまいます。

また、ブランド力の低い状態で威光効果を狙って高く売る価格戦略は難しいです。

そのため、弊社ではバリューベースプライシングを推奨しています。

この手法を活用すると、後述しますが、ディズニーチケット価格のように、年1-2回価格を見直して、定期的に値上げすることが可能になります。そうすることで、多少時間はかかってしまいますがハイブランドにしていくことが可能になります。

バリューベースプライシングとは

バリューベースプライシングとは顧客が商品やサービスに感じている価値に基づいて価格を設定することです。

バリューベースプライシングにより、商品・サービスの価格を原価や競合の価格にとらわれずに、値段を決めることができます。

これはコストに利益を加えた価格にさらに、顧客の商品に対して感じている価値に相当する価格を上乗せするというものです。

顧客の購入起点で、売り手と買い手の関係は始まるため、一部の場合を除き顧客起点のバリュープライシングから始めることが、どのような事業においても有効です。

バリューベースプライシングのメリット

バリューベースプライシングのメリットは主に次の3つです。

・商品、サービスに対しての正しい利益が得られる

・顧客価値起点の商品、サービス改善ができる

・効果的な価格戦略を構築できる

商品、サービスに対しての正しい利益が得られる

バリューベースプライシングでは、自社の顧客の支払意欲に基づいた価格設定を行うため、顧客にとって高すぎて検討に乗らない価格を設定することや、顧客にとって安すぎて品質が低いと感じる価格が設定されることが減り、商品・サービスに対しての適切な対価を得られるようになります。

次の画像のように、顧客の商品に対する「知覚価値」分の価格を上乗せします。また、東京ディズニーランドは過去13回の値上げを成功させています。

(出典:個人投資家研究所)

このようにバリューベースプライシングを使うことで、商品・サービスの開発・改善を繰り替えし、顧客が感じている価値が上昇した場合、それに応じた値上げをすることができます。

顧客価値起点の商品、サービス改善ができる

顧客価値のある製品・サービス特性を把握することで、より強みを強化する製品・サービス改善が可能になるだけでなく、バリュープライシングの調査で明らかになった顧客の支払意欲と現在の製品にギャップがある場合においても、それを埋めるためのサービス改善を行うことが可能になります。

結果として顧客満足度をあげることができ、長期的な顧客との関係性を作ることが可能です。

効果的な価格戦略を構築できる

バリューベースプライシングの最大の利点は、顧客の支払意欲の把握により、価格変更による顧客数の変化を推定できることです。

価格変更による顧客数の変化を推定することで、事業戦略上必要な顧客の離脱を起こす価格改定を避けることができ、戦略的な価格戦略を実行できます。

プライシングスプリントとは

プライシングスタジオでは、PSM分析をもとに価格戦略の策定を提供するサービス「Pricing Sprint」を提供しています。

Pricing Sprintでは、分析で顧客の支払意欲を把握するだけでなく、支払意欲をもとに顧客数、売上のシミュレーションをおこなえます。価格決定で重要な価格戦略の策定や価格策定サイクルの定着も専属のコンサルタントが伴走しますので、価格に課題を抱える企業の皆様ごとに最適なサービスを提供します。

「Pricing Sprint」サービスページはこちら

まとめ

今回取り上げた品質指標、威光効果、プラシーボ効果はあえて価格を高く設定することによって売り上げを上げたい時に使える考え方です。この考え方を利用して価格改定を行う際には、自社商品の需要曲線を理解しておく必要があります。

プライシング・価格戦略にお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

CEO at プライシングスタジオ株式会社

プライシング専門メディア「プライスハック」を監修するなど、プライシングに関する専門知識が豊富。プライシングスタジオの全案件にて、クライアント企業の価格課題分析 及び プライシングのアドバイザリー業務を担当。コンサルティング経験としては、飲食業界のプライシングに関する長期プロジェクトに参画し、売上改善を達成。

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