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2020.12.26(更新日:2023.07.13)

CRM(顧客管理システム)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

CRM(顧客管理システム)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察
CRM(顧客管理システム)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察
SaaS・サブスク
#マーケティング業界
#価格事例

この記事では、CRM(顧客管理システム)における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。

CRMとは

CRMとは、Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略で、顧客管理システムの意味で使われることが一般的です。

企業が獲得した顧客情報を一元管理し、見込み顧客および既存顧客を分析・抽出し効果的なセールス・マーケティングを可能にするシステムです。

CRMの主な機能は次のとおりです。

機能 概要
顧客情報の管理 顧客情報や購買履歴の一元管理
顧客対応履歴の管理 顧客とのコミュニケーション履歴を蓄積・管理
顧客の分析・抽出 顧客の傾向や確度の高い見込み顧客の抽出

CRMの市場規模

IT調査会社のIDC Japanによると、日本国内のCRM市場は2024年まで平均で5%以上の成長が見込まれています。顧客を獲得するだけでなく長期的な関係性を育み一顧客あたりの売上を向上すべく、CRMを導入する企業が増えているのです。

出典:IDC Japan

CRMの価格・料金体系の概要

CRMは、月額料金制で「ユーザーごとの従量課金」と「機能数によって値段が変動する複数パッケージモデル」とを組み合わせた価格体系が設定されています。

また、一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、CRM業界の中では一般的ではありません。

無料でサービスを試用できる体系として、フリーミアム・無料トライアルが設定されています。

CRMと似た料金体系を採用している業界としては、経費精算システムなどがあげられます。従業員の業務効率化を図るシステムでは、ユーザーである従業員が増えるほど料金が発生するため、売上を作りやすいこの料金体系が設定されています。

CRM業界の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
Kintone 780円~ 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
FlexCRM 1,200円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
Zoho CRM 1,440円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
ちきゅう 1,480円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Dynamics 365 Sales 2,170円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Salesforce Sales Cloud 3,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
HubSpot CRM 5,400円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
eセールスマネージャー 6,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Senses 5,000円〜 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
GEO CRM 1,800円~ 段階的ユーザー×複数価格 5万円

(調査日:2021年6月10日)

CRMでよく使われている価格体系

CRMにおいては、従量課金モデルと複数パッケージ価格モデルの2種類の価格体系が採用されています。

初期費用が設定されている理由

初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。

フリーミアムと無料トライアル

CRM業界では、主に人数制限なくフル機能で2週間から1ヶ月ほどシステムを利用できる無料トライアルが設定されています。FlexCRMでは法人向けのサービスでは珍しい広告表示型のフリーミアムを設定しています。

月額料金でユーザーごとの従量課金が設定されている理由

利用ユーザー数に沿って、月額料金を支払い始めることで各パッケージで開放されている機能が利用可能になります。CRMに格納された顧客情報はセールスチームだけでなく、多岐にわたる部署の人が利用するためユーザーごとの従量課金を設定することで売上をたてやすい構造になっています。

ボリュームディスカウントのタイプ

Zoho CRM・Salesforce Sales Cloud・HubSpot CRMの3社では、「年間契約をおこなうことで割引される」タイプのボリュームディスカウントが設定されています。

CRMの価格体系に関する考察

初期費用は非推奨

CRMでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金の値上げを推奨します。

フリーミアムを推奨

フリーミアムはリード獲得の他に、サービス価値を感じるまで利用して有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。

月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨

一般的にはユーザーごとの従量課金はユーザーからすると価格帯が分かりやすいというメリットがあるものの、アップセルしにくいというデメリットがあります。そのため、事業社には段階的パッケージにすることで多くの収益をあげやすくなります。しかし、階層が細かすぎると、ユーザーは混乱しアップセルしにくくなることが考えられます。

価格体系比較でも述べたようにCRMは1つの企業の中で多くの部署の人が利用するシステムです。そのため、顧客の企業に見合った収益をあげられるため、ユーザーが増えるごとの従量課金が推奨されます。

適切なボリュームディスカウントが設定されています

CRM業界で設定されている、1年分を一括で支払うことで毎月料金を支払うよりも割安になるボリュームディスカウントは事業者の収益性を向上する適切なボリュームディスカウントです。

プライシングを適正化するためには

これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。

プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。

以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。

まとめ

CRMでは、月額料金で主にユーザーごとの従量課金制と複数パッケージモデルが組み合わせて設定されており、一部のサービスでは初期費用・無料トライアル・フリーミアム・ボリュームディスカウントが設定されています。

また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。

  • 初期費用は設定せずその他の料金に反映
  • 月額料金はユーザーごとの従量課金制を設定
  • フリーミアムを設定
  • ボリュームディスカウントをおこなう場合は一定条件を付加する

価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライシングスタジオにお問い合わせください。

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Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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#価格事例

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CRMとは

CRMとは、Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略で、顧客管理システムの意味で使われることが一般的です。

企業が獲得した顧客情報を一元管理し、見込み顧客および既存顧客を分析・抽出し効果的なセールス・マーケティングを可能にするシステムです。

CRMの主な機能は次のとおりです。

機能 概要
顧客情報の管理 顧客情報や購買履歴の一元管理
顧客対応履歴の管理 顧客とのコミュニケーション履歴を蓄積・管理
顧客の分析・抽出 顧客の傾向や確度の高い見込み顧客の抽出

CRMの市場規模

IT調査会社のIDC Japanによると、日本国内のCRM市場は2024年まで平均で5%以上の成長が見込まれています。顧客を獲得するだけでなく長期的な関係性を育み一顧客あたりの売上を向上すべく、CRMを導入する企業が増えているのです。

出典:IDC Japan

CRMの価格・料金体系の概要

CRMは、月額料金制で「ユーザーごとの従量課金」と「機能数によって値段が変動する複数パッケージモデル」とを組み合わせた価格体系が設定されています。

また、一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、CRM業界の中では一般的ではありません。

無料でサービスを試用できる体系として、フリーミアム・無料トライアルが設定されています。

CRMと似た料金体系を採用している業界としては、経費精算システムなどがあげられます。従業員の業務効率化を図るシステムでは、ユーザーである従業員が増えるほど料金が発生するため、売上を作りやすいこの料金体系が設定されています。

CRM業界の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
Kintone 780円~ 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
FlexCRM 1,200円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
Zoho CRM 1,440円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
ちきゅう 1,480円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Dynamics 365 Sales 2,170円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Salesforce Sales Cloud 3,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
HubSpot CRM 5,400円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
eセールスマネージャー 6,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Senses 5,000円〜 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
GEO CRM 1,800円~ 段階的ユーザー×複数価格 5万円

(調査日:2021年6月10日)

CRMでよく使われている価格体系

CRMにおいては、従量課金モデルと複数パッケージ価格モデルの2種類の価格体系が採用されています。

初期費用が設定されている理由

初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。

フリーミアムと無料トライアル

CRM業界では、主に人数制限なくフル機能で2週間から1ヶ月ほどシステムを利用できる無料トライアルが設定されています。FlexCRMでは法人向けのサービスでは珍しい広告表示型のフリーミアムを設定しています。

月額料金でユーザーごとの従量課金が設定されている理由

利用ユーザー数に沿って、月額料金を支払い始めることで各パッケージで開放されている機能が利用可能になります。CRMに格納された顧客情報はセールスチームだけでなく、多岐にわたる部署の人が利用するためユーザーごとの従量課金を設定することで売上をたてやすい構造になっています。

ボリュームディスカウントのタイプ

Zoho CRM・Salesforce Sales Cloud・HubSpot CRMの3社では、「年間契約をおこなうことで割引される」タイプのボリュームディスカウントが設定されています。

CRMの価格体系に関する考察

初期費用は非推奨

CRMでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金の値上げを推奨します。

フリーミアムを推奨

フリーミアムはリード獲得の他に、サービス価値を感じるまで利用して有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。

月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨

一般的にはユーザーごとの従量課金はユーザーからすると価格帯が分かりやすいというメリットがあるものの、アップセルしにくいというデメリットがあります。そのため、事業社には段階的パッケージにすることで多くの収益をあげやすくなります。しかし、階層が細かすぎると、ユーザーは混乱しアップセルしにくくなることが考えられます。

価格体系比較でも述べたようにCRMは1つの企業の中で多くの部署の人が利用するシステムです。そのため、顧客の企業に見合った収益をあげられるため、ユーザーが増えるごとの従量課金が推奨されます。

適切なボリュームディスカウントが設定されています

CRM業界で設定されている、1年分を一括で支払うことで毎月料金を支払うよりも割安になるボリュームディスカウントは事業者の収益性を向上する適切なボリュームディスカウントです。

プライシングを適正化するためには

これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。

プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。

以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。

まとめ

CRMでは、月額料金で主にユーザーごとの従量課金制と複数パッケージモデルが組み合わせて設定されており、一部のサービスでは初期費用・無料トライアル・フリーミアム・ボリュームディスカウントが設定されています。

また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。

  • 初期費用は設定せずその他の料金に反映
  • 月額料金はユーザーごとの従量課金制を設定
  • フリーミアムを設定
  • ボリュームディスカウントをおこなう場合は一定条件を付加する

価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライシングスタジオにお問い合わせください。

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Yoshihiro Takahashi

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役CEO

プライシングスタジオ株式会社代表取締役 CEO。2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に価格1%が企業の営業利益を約20%の改善につながるということを知り、その影響力に魅力を感じ、当社を設立。プライシングスタジオは設立以来、30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に「値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識」(日経BP)。「日経トップリーダー・ビジネス」にて「値決めの科学」、「ダイヤモンドオンライン」にて「価格戦略のプロが見た「あの値付け」」を連載中。「日経COMEMO」キーオピニオンリーダー。そのほか、テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、ABEMA「ABEMA Prime」、NewsPicks「メイクマネー」など多数メディアに出演。2023年Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に部門で選出される。

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