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ACV(年間契約金額)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

2020/12/29 (更新日:2022/03/15)

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益を指します。サブスクリプション企業にとって重要なACVと、その計算方法について解説します。


プライシングスプリント

ACV(年間契約金額)とは

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益です。ACVは契約金額であるため、初期費用などの単発収益を含めます。

ACVの計算方法

ACVを計算する基本の式は次のものになります。

ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

ACVは、計算式を見てもわかるよう、1年間契約した場合の収益です。似た年間指標であるARRは1年間の経常収益のみをあらわすため、ACVはARRよりも正確な収益状況を知れます。

ACVとARRの違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

長期契約の場合

1年以上の長期契約の顧客の場合は、ACVの計算が簡単です。

例えば、顧客Aが6,000,000円で3年間契約した場合、ACVは6,000,000円/3年で、2,000,000円となります。

この場合、ACVはARRと同じ数値になります。

短期契約の場合

一方、1年未満の短期契約の場合のACVの計算は注意しなければいけません。

ACVは、1年間利用された場合の仮定ではなく、確定している契約をもとに算出するため、契約期間が1年間に満たない場合は、あくまで契約期間の中で得られる収益がACVとして計上されます。

例えば、顧客Bが500,000円で6ヶ月間契約している場合、ACVは500,000円と計算されます。

この場合、顧客Bが6ヶ月後に契約更新すると仮定すると、ARRは1,000,000円となります。

全体ACVの計算

全体のACVを試算する場合は、顧客のACVの平均を求めるため、次の式で計算します。

全体ACV=その年の顧客ごとのACVの合計/顧客数

先ほどの事例を用いて全体のACVを計算してみます。

1年目:{2,000,000円(顧客A)+500,000円(顧客B)}/2=1,250,000円
2,3年目:2,000,000円(顧客A)/1=2,000,000円

契約1年目は、顧客Aと顧客Bが契約しているのに対し、2,3年目は顧客Aしか契約していないため、ACVはこのように算出されます。

ACVが重要な理由

ACVの計算が重要な理由は、企業の契約状況を確認できるためです。

ACVは契約の年間の価値や規模を測る指標です。正確に契約によって得られる収益を計上しているため、自社の契約状況の確認に適しています。

さらに、顧客あたりのACVと、その平均値である全体ACVを比較することで、契約1つ1つの規模を理解が可能です。

ACVとTCVの違い

同じく契約から生まれる金額を計算する指標として、TCV(Total Contract Value)があげられます。ACVとTCVの違いは、計算する期間の違いがあげられます。ACVは1年間で得られる収益を示す一方、TCVは契約期間すべてで得られる収益です。

ACVは、「長い期間高い支払いをしてくれる顧客を知りたい」など、収益を年度別に把握したい場合に利用すべきです。また、ACVなら利用期間が異なる顧客を、年単位で得られる収益に揃えて比較できるというメリットもあります。

一方、期間に関係なく、純粋にその顧客から得られる収益を知りたい際は、TCVを測定することがよいでしょう。

TCVについてはこの記事をご覧ください。

まとめ

ACV(年間契約金額)は、1年間の収益をあらわします。

他にもSaaSやサブスクリプションにおける用語を知りたい方はこちらの記事を参照してください。

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役社長

これまでリクルートをはじめとする大手企業から中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。慶應義塾大学在学中に起業。

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米国のSaaS企業の料金表のトレンドは?

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(この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています) 米国の主要なSaaS企業の料金表にはどういう戦略の上で、作成されているのでしょうか。今回、Salesforce、Slack、zoomなど、時価総額上位50社の企業を調べてみました。 調べてみたSaaS企業はこちら ここからいくつかのことがわかったので、考察していこうと思います。 <この記事の結論> ・料金表を公開している企業のうち、プラン数が3-4プランになっている企業は76% ・料金表を公開している企業の100%が、無料トライアルを採用 ・料金表を公開している企業のうち、82%が従量課金モデルを採用 料金表を公開していた企業は34%2 公開企業のうち、プラン数が3-4プランになっている企業は76%3 公開企業の100%が、無料トライアルを採用3.1 何故フリーミアムより無料トライアルの方が主流なのか4 公開企業のうち、82%が従量課金モデルを採用4.1 従量課金モデルがトレンドになっている理由5 まとめ 料金表を公開していた企業は34% 米国の時価総額上位50社のSaaS企業の料金ページを調べたところ、具体的な料金表を公開している企業は全体の34%で、残りの66%の企業は、具体的な料金表を公開していませんでした。 また、料金表を公開している94%の企業が、PLG型ということがわかりました。PLG型とは? PLGはProduct-Led Growthの略で「プロダクトがプロダクトの価値を伝える」戦略を用いている企業のことを指します。例えばzoomやslackなど、主に個人単位でサービスを展開しており、顧客自身が自由に登録できるようになっています。そのため他社と比べて、拡散が早く、成長速度が速いことが特徴です。 以降、料金表を公開しているPLG型の企業に絞って考察を進めていきます。 公開企業のうち、プラン数が3-4プランになっている企業は76% 料金表を公開している企業が提供するプラン数について調べたところ、3-4プランになっている企業が全体の76%を占めていました。 実際、米国のトップVCであるAndreessen Horowitz(a16z)がPLG型のSaaS企業向けに書いたプライシング記事によると、PLG型の場合、試行錯誤するうちに、だいたい3-4プランに収束していくようです。 この記事では、PLG型企業のプライシングにおいて、ユーザーが初めて製品に触れてから、その製品がユーザーの組織で使われるまでの段階である「ユーザージャーニー」を理解することがとても重要だと言われています。「ユーザージャーニー」は4段階に分かれており、それぞれ次のように説明されています。 (出典:Andreessen Horowitz) TIER1で無料トライアルやフリーミアムでOrganicの母数を増やし、そこからTIER4へスムーズに移行してもらえるような導線を作ることが重要だそうです。 顧客にスムーズに移行してもらうには、このように3-4プランに設定し、導線を作るのが良いとされています。 公開企業の100%が、無料トライアルを採用 先ほど紹介したAndreessen Horowitzの記事では、PLG型のSaaS企業では、リードを獲得する為の方法として無料トライアルやフリーミアムを実施するのが一般的とされていました。 実際、料金表を公開している企業のうち100%が無料トライアルを採用していました。 無料トライアルとフリーミアムの違い 無料トライアルとは、「14日間無料」のように期間に制限をつける一方、機能には制限をつけずサービスを無料で体験することができる仕組みです。 それに対しフリーミアムとは、40分までなら無料で使えるzoom meetingのように、機能に制限をつける一方、期間には制限をつけないでサービスを無料で体験することができる仕組みです。 何故フリーミアムより無料トライアルの方が主流なのか フリーミアムより無料トライアルの方が主流な理由として、無料トライアルの方がCVRが高く、比較的容易であることが考えられます。実際、PayPalの元創設COO兼製品リーダーであるDavid Sacksは、市場に口コミやバイラルでの広がりが期待できる場合はフリーミアム有効ですが、下記のようなデメリットもあると言い、無料トライアルを推奨しています。 デメリット 1.無料版を魅力的にしすぎると有料版を使ってもらえない 顧客が価値を感じるポイントをしっかりと理解し、顧客がさらに使いたいと思うように設計することが大切です。 2.機能面のペイウォールの作成と維持に多くのリソースを割く必要がある 新しい機能がリリースされるたびに、製品チームは何が無料で何が有料かを決定する必要があります。 3.収益化が難しい 有料版が無料版と比較して魅力的なプロダクトである必要があるため開発コストは高くなります。またリードが収益を生み出すアカウントに変換されるまでに、数か月または数年かかる可能性がある場合、このマーケティングのROIを評価することは困難です。 この点、無料トライアルではこれらの制限に悩む必要がないと言われています。無料トライアルは、期間を限定し有料版への移行の意思決定を、ユーザーに迫ることができため、CVRが比較的高くなります。(フリーミアムのCVRが3-5%なのに対し、無料トライアルは10-20%) また、製品への実装、販売やマーケティングとの調整も比較的容易な為、David Sacksは無料トライアルを推奨しています。 公開企業のうち、82%が従量課金モデルを採用 料金表を公開している企業の価格体系を調べたところ、82%の企業が従量課金モデルの価格体系を用いていました。 従量課金モデルとは ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客が「使った分だけお金を支払う」仕組みです。例えばDatadogでは料金表は次のように使用料に応じた料金が表示されています。 (出典:Datadog) 従量課金モデルがトレンドになっている理由 openviewは、従量課金がトレンドになっている理由として次のようなことをあげています。 1.NDRが高い 顧客の会社規模が、売り上げの天井になることがないため、仮に売上規模が上がったとしても、普通のSaaS企業よりNDRが高く、売上成長率が高くなりやすいといわれています。従量課金モデルではアップセルがしやすいため、NDRが平均的なSaaSより9%高いとされています。 2.高い成長を維持できる 従量課金モデルを採用するSaaS企業はNDRが高いため、上場後も高い成長を維持し、平均的なSaaSより8%高くなると言われています。 3.高いプレミアムがついている 1.2などのことから、マルチプルが平均的なSaaS企業より50%高くなっています。 まとめ 今回米国の主要サービス企業の料金ページをリサーチしてわかったことについて紹介しました。プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。 価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。  

国内のサブスク200サービスの料金表/プライシングのトレンドについて調べてみた

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(この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています) 料金表のトレンドを知っておくことは、自社の料金表を検討する際、非常に重要なことであると考えています。そこで、今回は国内のB2Cサブスクリプションサービスのトレンドをご紹介しようと思います。是非お付き合いください。 調査対象2 契約期間の状況3 料金プランの種類4 オプション課金の有無4.1 利用量追加オプション4.2 機能追加オプション5 ディスカウントの有無5.1 期間で割引を行う企業は95%6 まとめ 調査対象 今回は、国内サービスで、資本金3億円以上、ARR(年間経常収益)2億円以上の1つ以上にに該当する企業200社に絞って調査を行いました。主な領域は以下になります。 契約期間の状況 まず、契約期間についてです。 今回調査した企業のうち、80%の企業では1ヶ月契約のみのプランが採用されているようです。自動更新にしている場合がほとんどですが、年間契約が少ないのはB2Cサービスならではの傾向と言えるでしょう。 逆に年契約のみのサービスは、サービス利用にはモノが必要で製造原価が大きくかかり、長期間契約されないと利益が出ない構造になっているビジネスにおいて採用されていました。アプリケーションなどの、いわゆるインターネットサービスにおいては1ヶ月契約が主流となるようです。 Ex)キリン ホームタップ (出典:キリンホームタップ) 料金プランの種類 料金プランの種類を見ていくと業界毎に傾向が別れました。そこで、料金プラン毎に考察していきます。 【単一プランが多い業界】 飲食、オンラインレッスン、ナビ、音楽、書籍、動画、ヘルスケア、レシピ、医療、見守り、専門家相談、ニュースなど Ex)ディズニープラス 【段階利用量プラン X 機能別プランが多い業界】 ファッション、不動産 Ex)ブリスタ (出典:Brista) 機能(今回の場合は借りられる服の数)に加え、ポイントの購入で追加利用ができるサービスがこれに該当します。このモデルはサブスクリプションのストック収益に加え、購買意欲の高い層からより多くの収益を得ることができるモデルのため、工夫次第では大きな武器になります。ただし、あくまでも通常のプランにユーザーが満足していることが大切になります。 他にも、年齢によって価格を変えたり(主に音楽業界)、性別によって変えたり(主にマッチングアプリ)、Netflixのようにアカウント数で料金を変えたりと、支払い意欲が異なるセグメント毎にプランを分けたり、顧客が価値を感じてくれている変数に基づいて価格を変えたりする企業も散見されました。 Ex)AWA (出典:AWA) このように、顧客のWTP(支払い意欲)が異なるセグメントの特定や、WTPに影響を与える変数を私たちはプライスレバーと呼んでいますが、これを特定することがサブスクリプションのプライシングを考える上で、非常に重要になります。 オプション課金の有無 次に課金オプションの有無について調べてみました。最初に採用率について調べたところ、次のようになりました。 驚くべきことは、91%の企業がオプションによる課金を採用していないことです。サブスクリプションビジネスは、価格体系がシンプルが故に、全ての顧客セグメントのニーズに対応できない場合が多いです。オプション課金は、多くのニーズに対応することができるかつ、客単価アップに繋がるため、多くの企業に検討の余地がありそうです。 Ex)AmazonPrime Video チャンネル内で月額499円支払うことで、1950~90年代の懐かしの特撮ヒーロー等の作品を視聴できる「マイ★ヒーロー」は、子ども向けのコンテンツを必要としており、そのためにはもっとお金を支払ってもいいと考えている顧客セグメントの単価アップに成功しました。これはオプション課金の好例と言えるでしょう。 一方、オプションを採用している9%の企業は新たな機能の追加による課金(以下、機能追加オプション)と、利用量による課金(以下、利用料追加オプション)の二種類となっていました。 利用量追加オプション 利用量追加オプションは、月額料金で決められた範囲内で利用し放題、範囲を超える分に対し、追加で課金が発生するオプションです。 Ex)港区自転車シェアリングの月額会員 延長料金 (出典:港区自転車シェアリング) ちなみに、利用量追加オプションはモビリティサービスやマッチングサービスなどの業界に採用されていました。 機能追加オプション 機能追加オプションは、月額利用料に加え、追加で課金することで、他の会員が利用することができない機能を利用することが可能になるオプションです。アプリ内のアイテムが買えるポイントを購入する場合もこれに該当します。 Ex)Omiaiのポイント (出典:Omiai) 機能追加オプションはマッチングサービスなどで採用されているようです。 ディスカウントの有無 最後に割引について調べて見ました。まずは採用率です。 割引は全体の30%の企業が採用しているようです。 期間で割引を行う企業は95% 割引は14日間無料といったような一定期間で割引が適応されるものと、連携サービスの利用をすることで適応されるものの二種類あるようです。 Ex)連携サービスによる割引の例 ウェザーニュース (出典:ウェザーニュース) ちなみに、ほとんどの場合において、一定期間での割引が採用されています。 ちなみに、期間で割引を行う企業は、どのくらいの期間で採用しているのでしょうか。次は期間ごとの割引の比率について調べてみました。 このように、割引を実施している企業のうち67%の企業が初月の割引を採用していました。最後に補足で、最初の2週間や2ヶ月など、初月以外の期間で割引を行う企業の割引日数の平均を出してみたところ、19.9日になりました。初月以外だと、2-3週間の割引が平均となるようです。 まとめ 今回は国内サブスクサービスの料金トレンドについて考察しました。実は、業界によって、面白い特徴もたくさんあるようです。 プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

T2D3とは?SaaS企業の成長指標・達成のための7つのフェーズとプライシン...

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T2D3という用語は、2015年にベンチャーキャピタリストのNeeraj Agrawal氏によって提唱され、SaaS企業が急成長を遂げ、高い企業価値を実現させるために達成すべき数値として世界的に知られるようになりました。 この記事では、T2D3という用語の意味と定義、達成するために行うべき施策、さらには成長フェーズに応じたプライシング戦略の考え方についても解説します。 T2D3とは2 T2D3を達成するための7フェーズとプライシング戦略2.1 フェーズ1:優れたPMFの確立2.2 フェーズ2:ARR(年間経常収益)200万ドル達成2.3 フェーズ3:ARR600万ドル(3倍)達成2.4 フェーズ4:ARR1800万ドル(3倍)達成2.5 フェーズ5:ARR3,600万ドル(2倍)達成2.6 フェーズ6:ARR7,200万ドル(2倍)達成2.7 フェーズ7:ARR1億4,400万ドル(2倍)に到達3 T2D3を達成した海外SaaS企業事例4 すべてのSaaS企業はT2D3を目指すべきか5 T2D3ペースで成長するためにプライシング戦略の見直しを5.1 プライシングを見直す企業のLTVは11倍を超える T2D3とは 「T2D3(ティーツー・ディースリー)とは、ARR(サブスクリプションの年間売上)が1億円を突破してから、3倍(Triple)で2年、2倍(Double)で3年というペースで売上が伸びる状態を示した、SaaSスタートアップの成長スピードをはかる指標のことです。 T2D3という用語は、SaaSに数多く投資するBattery VenturesのNeeraj Agrawal氏が提唱したとされ、2015年2月に同氏がTech Crunchのエントリを公開したことで有名になりました。 T2D3を達成するための7フェーズとプライシング戦略 Neeraj氏のエントリでは、SaaS企業が市場参入してから成功するまでの段階を7つのフェーズに分け、それぞれで行うべきことを解説しています。具体的には、次の7つです。 フェーズ1:PMFの確立 フェーズ2:ARR(年間経常収益)200万ドル達成 フェーズ3:ARR600万ドル達成(3倍) フェーズ4:ARR1800万ドル達成(3倍) フェーズ5:ARR3600万ドル達成(2倍) フェーズ6:ARR7,200万ドル達成(2倍) フェーズ7:ARR1億4400万ドル達成(2倍) ARR(年間経常収益)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標 ARR(年間経常収益)は、SaaSをはじめとしたサブスクリプションビジネスで多く使われている指標です。この記事では、ARRについて、重要な理由や、計算方法、そして増加させる方法について解説します。…… フェーズ1:優れたPMFの確立 フェーズ1では、まずプロダクトマーケットフィット(PMF:Product-Market Fit)と呼ばれる顧客の課題を満足させるSaaSを提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態の確立を目指します。事業化するための顧客セグメントを見つけ出し、顧客獲得を優先すべきフェーズです。 プライシング戦略のポイント スタートアップのステージでいうと、いわゆるシード期にあたります。このフェーズでは、企業はすでに規模の大きくなっている企業のように、既存顧客のデータをもとにプライシングを行えません。プロダクトをローンチしたばかり、またはローンチできるかどうかという時期のため、価格設定に割く時間は最小限に抑えながらも、次のような複数の切り口からデータを集め、意思決定を行えると良いでしょう。 SaaSスタートアップのプライシング戦略|シード・アーリー・ミドル・レイター【段階別】 これだけサイエンスがされているSaaSの中でもプライシングはアートの要素が多く、確立された方法論がないため、色んな起業家とディスカッションしてて多くの方が頭を悩ませることが多いと感じる。 今回は…… フェーズ2:ARR(年間経常収益)200万ドル達成 フェーズ2では、ARRで200万ドルを目指します。1社あたりの平均経常収益が3万〜8万ドルと仮定すると、30〜60社の顧客を獲得できている状態を意味します。 フェーズ3:ARR600万ドル(3倍)達成 フェーズ3では、ARRをフェーズ2の3倍である600万ドルを目指します。この「最初のトリプル:T1」を達成するために、Neeraj氏はセールスリーダーと、5〜10人のセールスを採用して計画を進めるべきだと説いています。 プライシング戦略のポイント フェーズ2、3あたりのミドル期になるとプロダクトのMVPは完成していて、誰が顧客なのかといったデータは揃ってきます。シード期に一旦置いていた価格をリ・デザインし、既存・潜在顧客がフェアと感じるプライシングを「パッケージ」として完成させる必要があるでしょう。 フェーズ4:ARR1800万ドル(3倍)達成 フェーズ4では、ARRをフェーズ3の3倍である1,800万ドルを目指します。フェーズ3からさらに半分以上セールスを増員し、10〜20人程度で推進していき、CEOはマネージャー育成と大きなアカウント獲得について時間を費やします。 プライシングの戦略ポイント このあたりはレイターステージといっていいでしょう。すでにプロダクトラインは拡大していて、より広い顧客ベースにサービスを提供しており、事業としての複雑性は増している状況です。ここでは、複雑さを適切に整理し、オンライン上での顧客への見せ方をどうするかによってレイターになっても成長速度を上げられます。料金ページを常にアップデートし続ける、価格プランごとのペルソナを設定する、などの施策を行いましょう。 フェーズ5:ARR3,600万ドル(2倍)達成 フェーズ5では、ARRをフェーズ4の2倍である3,600万ドルを目指します。約20〜30人のセールスと3〜5人のマネージャーの組織を編成します。Neeraj氏は、このフェーズでの課題として「グローバルでの販売展開」であると指摘します。CEOは、英国、フランス、ドイツなどのEMEA地域におけるセールスを機能させるためにも、英国に3〜5人、その他の国で1,2人のセールス担当を配置します。 フェーズ6:ARR7,200万ドル(2倍)達成 フェーズ6では、ARRをフェーズ5の2倍である7,200万ドルを目指します。ここで取り組むべきは、非線形成長を確立すること、またはリセラーやパートナーチャネルを機能させることです。Neeraj氏は、ARR5000万ドル達成前にこうしたチャネルを立ち上げるのは時期尚早であり、また数十社ではなく、1、2社のパートナーとの生産性を高めることが重要だと指摘します。 フェーズ7:ARR1億4,400万ドル(2倍)に到達 フェーズ7では、ARRをフェーズ6の2倍である1億4,400万ドルを目指しますが、ここまでくれば企業価値10億ドル、IPOが見えてきます。しかしこれがゴールではなく、IPO後にさらなる成長を目指していくことになります。 T2D3を達成した海外SaaS企業事例 前述したプロセスでARRが成長していけばT2D3となり、急成長を遂げているSaaSスタートアップとして世界的にも高く評価されます。しかし、これを達成することは簡単ではありません。次の7つの企業は、いずれもT2D3の指標を達成したSaaSですが、T2D3を達成したあともグローバルで高い成長を遂げている企業ばかりです。 Marketo NetSuite Omniture Salesforce ServiceNow Workday Zendesk 一方、日本のSaaS企業の中でT2D3を達成している企業はあるのでしょうか。 各SaaS企業の決算発表資料やメディアでの発言を調べたところ、SmartHR、プレイドといった企業がT2D3達成を目指していると発言していますが、2021年4月時点では、まだT2D3を達成しているとSaaS企業はないように思えます。もしT2D3を達成している企業があれば追記しますので、ぜひ編集部にお問い合わせください。 富士キメラ総研の調査によれば、日本国内SaaS市場は2024年に1兆円規模に達すると予測されており、今後ますますの成長が見込める領域です。国内からもグローバルで広く普及するSaaSが生まれることを期待したいです。 すべてのSaaS企業はT2D3を目指すべきか T2D3は、投資家がSaaS企業の事業成功を予測するための指標として使用されますが、「T2D3を達成できない=SaaSとして失敗している」というわけではありません。日本のSaaS市場と米国とではマーケットの規模も異なるため、単純にT2D3の指標を当てはめるべきかどうかは議論の分かれるところです。 しかし、世界を見据えてグローバル市場をターゲットにしているSaaSであれば大いに参考にすべきでしょう。フェーズ5のARRを達成するにはドメスティック市場だけでは難しく、グローバルでの販売展開戦略がカギを握ります。 T2D3ペースで成長するためにプライシング戦略の見直しを T2D3を達成している多くのグローバルSaaS企業で実践されているのが、プライシングの見直しです。2021年4月に開催されたセミナー「グローバルトレンドから考える サブスクビジネスのプライシング戦略」では、実際にグローバルSaaSが策定、実行しているプライシング戦略が解説されています。 プライシングを見直す企業のLTVは11倍を超える セミナーに登壇したSTRIVE 四方智之氏によれば、「米国のスタートアップのじつに80%が年1回に価格の見直しをしており、そのうち40%は2回以上行っている」といいます。 また、計画的にプライシングを見直している企業とそうでない企業で、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)に大きな差が出ており、継続的にレビューしている企業の11.1倍に対し、価格改定しない企業は1.7倍程度にとどまっています。 詳しい内容は次の記事をお読みください。 グローバルトレンドから考える、SaaS・サブスク企業のプライシング戦略 2021年4月15日、サブスクリプションビジネスのプライシング戦略について、海外のトレンドやその手法などを解説するオンラインセミナーが開催された。 本セミナーには、STRIVEのベンチャーキャピ…… T2D3のスピードで成長したいSaaS企業、急成長をめざしたいサブスク事業者にとって、プライシングの課題に取り組むことは非常に大切です。 戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、無料ホワイトペーパー「ワークショップ形式で理解するSaaSプライシング実践の基本」をご一読いただくか、プライスハックまでお気軽にお問い合わせください。 プライシングによって皆さまのSaaS事業成功のお手伝いができることを楽しみにしています。