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キャプティブプライシングとは|ジレットのカミソリ事例からわかる価格戦略

2020/12/04 (更新日:2021/09/09)

カミソリ本体と替刃などの製品に用いられる主製品を低価格で、付属品を高価格で販売する価格戦略である「キャプティブプライシング」についてご紹介します。


プライシングスプリント

キャプティブプライシングとは

キャプティブプライシングとは、カミソリ本体と替刃のように「主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略」のことです。

高い価格に設定した付属品を定期的に購入してもらうことで、長期的なスパンで収益を得られます。

キャプティブプライシングのメリット

キャプティブプライシングのメリットは、以下のことがあげられます。

購入してもらいやすい

キャプティブプライシングを行なっている製品は付属品で収益をあげるため、本体価格を安く抑えて購入してもらいやすくなります。

初期費用が安く、どんな人でも製品が手にとりやすいため、新規顧客を獲得することが可能です。

高いLTV(顧客生涯価値)を見込める

キャプティブプライシングのメリットとして、高いLTV(顧客生涯価値)を見込めることがあげられます。

LTV(顧客生涯価値)とは、顧客から一生のうちに得られる利益のことを指します。

キャプティブプライシングでは、セットとなる付属品を定期的に購入することを前提としているため、収益を長期的にあげられるようになり、結果として高いLTVが見込めます。

キャプティブプライシングのデメリット

キャプティブプライシングのデメリットは、以下のことがあげられます。

付属品の価格設定が困難

主製品と付属品とそれぞれの価格設定が必要となるだけでなく、付属品の継続的に購買につながる価格設定が必要です。

付属品が高価格すぎると継続的な購買にいたらず、売上の損失に繋がる可能性があります。

顧客の購買意識を維持させるのが困難

キャプティブプライシングは顧客がサービスを活用し付属品を長期的に購買し続けることで収益化に繋がります。そのため、継続的に購買をしている間に他社の類似製品と比較されがちです。付属品の商品価値を上げるなどの手段で顧客が価格に納得感を持ち続けるようにする必要があります。

キャプティンブプライシングの実際の例

カミソリ本体と替刃

カミソリ本体と替刃の関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

実際に、ジレットでは「消耗品モデル」という名前で、キャプティブプライシングを行っています。カミソリ本体の値段は抑え、付属品である替刃の部分の価格を高く設定するというビジネスモデルを確立したので、このようなモデルは「ジレットモデル」とも言われています。

プリンターとインク

プリンターとインクの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

ここでは、エプソンのプリンターの例をご紹介します。エプソンのプリンター本体価格は、6,000円から20,000円の間が相場となっています。

印刷する際に必要なプリンターのインクは、純正のエプソンプリンター専用のインクを使用することが推奨されており、1セット6,000円で販売されています。

プリンター会社が作っていない互換インクだとより安く購入することができますが、エプソンのプリンター自体が専門のインクを指定しているので、インクから安定して収益を得ることが可能です。

コーヒーメーカーとカプセル

コーヒーメーカーとカプセルの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

主製品となるコーヒーメーカーは、比較的安い価格で販売している一方、コーヒーメーカーにいれるコーヒーカプセルを高い価格に設定することで利益を得られる仕組みになっています。

具体的な例として、ネスプレッソのコーヒーメーカーを見てみます。ネスプレッソのコーヒーメーカーは、12,000円から購入することができます。そこにいれるコーヒーカプセルは、1セット30カプセル約3,000円の値段がします。1日2回飲むとしたら、1ヶ月で6,000円12ヶ月で72,000円になります。付属のコーヒーカプセルを定期的に購入してもらうことでコーヒーメーカー以上の利益を出すことができます。

SaaS + a box

SaaS + a boxとは、近年話題になりつつある、最新のビジネスモデルです。ハードウェア製品に加えて、月額課金のオンラインサービス提供をすることで、満足度を高めることができるため、非常に注目が高まっています。

実は、このモデルは、キャプティブプライシングの例だと言えるのです。SaaS + a boxでは、ハードウェア製品を高い機能に対して比較的安く提供します。

lovotというサービスでは、ハードウェア自体は原価で販売する一方で、月額課金のオンラインサービスを提供し、収益をあげています。これは、キャプティブプライシングを利用しているといえるでしょう。

具体例としては、オンラインフィットネスのPelotonが挙げられます。現在アメリカで大流行しているサービスで、ランニングマシンやサイクリングマシンといったフィットネスマシンのハードウェアと、月額課金のレッスン動画などのフィットネスサービスを販売しています。

フィットネスマシンの効果を最大限発揮するには、月額課金のフィットネスサービスを利用する必要があるため、月額課金での安定した収益をあげられます。SaaS + a boxはキャプティブプライシングを使った画期的なビジネスモデルといえるでしょう。

まとめ

キャプティブプライシングとは、主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略のことです。

主製品と付属品のビジネスモデルを確立した「ジレットモデル」を参考に、ネスカフェやネスプレッソなどのコーヒーメーカーの価格戦略が誕生したと言われています。このことから様々な製品に応用することができる価格戦略だということができるでしょう。

デメリットでも解説しましたが、主製品と付属品の価格の設定を適切に行うことが重要になってきます。キャプティブプライシングは、顧客の購買意欲を継続的に保つ価格で行うことが成功の鍵になってくるでしょう。

 

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役社長

これまでリクルートをはじめとする大手企業から中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。慶應義塾大学在学中に起業。

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超低価格戦略とは?意味、成功した企業事例、6つの成功要因について解説

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近年、新興国市場では超低価格セグメントが形成されています。これは極めて巨大なセグメントで「21世紀の最大の市場機会」ともいわれます。 では、どのようにしたら超低価格セグメントを獲得できるのでしょうか。今回は、その答えとなる超低価格戦略について解説していきます。 超低価格戦略とは2 超低価格戦略で成功した企業の事例2.1 タタ3 ホンダ4 6つの成功要因4.1 シンプルだがしっかりと考える4.2 現地で研究開発する4.3 最低コスト生産にロックインする4.4 新しいマーケティングと営業手法を用いる4.5 使いやすくて修理しやすい4.6 バラツキのない品質を提供する5 まとめ 超低価格戦略とは 超低価格戦略とは、新興国の超低価格セグメントの獲得を目的とした戦略のことです。この戦略では、低価格戦略よりもさらに50〜70%安い価格で商品やサービスが販売されます。 新興国の貧困層の人は、先進国では当たり前になっている一般的な製品に手が届きません。そのため、価格を極めて低く抑えることが必要になってくるのです。 また、人類の86%の年間世帯所得が1万ドル以下であるという事実から分かる通り、超低価格セグメントは無視のできないほど巨大で、「21世紀の最大の市場機会」ともいわれています。 超低価格戦略で成功した企業の事例 超低価格戦略で成功した企業について紹介していきます。 タタ インドの大手自動車メーカーであるタタは、超低価格戦略で成功している例として有名です。 特に、2008年から販売された「タタ・ナノ」は、日本円で1台約20万円ほどで、世界中から注目を浴びました。 ドイツの自動車サプライヤー9社がこの車に部品や技術を提供したのです。 そのため、超低価格にもかかわらず、西欧の主要サプライヤーの持つテクノロジーが驚くほど大量に用いられていました。 タタ・ナノ(出典:Tata Motors) ホンダ 日本の大手自動車メーカーであるホンダも、超低価格戦略で成功している例として有名です。 安さが求められるベトナムの市場にて、ホンダは「ホンダウェーブ」を日本円で約8万円で販売し、中国の競合企業からシェアを勝ち取りました。 安価のホンダウェーブ(出典:バイクブロス) 6つの成功要因 超低価格戦略で成功している企業には共通する戦略があります。ハーマン・サイモンは自身の本「Confessions of the Pricing Man: How Price Affects Everything 」の中で、超低価格戦略における成功要因を次のように述べています。 シンプルだがしっかりと考える 企業は製品を分解して必要最低限のものに留めなくてはならないが、単純化しすぎて不具合が生じるようではいけません。そのため、最低限の品質を考慮する必要があるのです。 現地で研究開発する 現地のニーズに応えるため、企業は研究開発を新興国市場で行う必要があります。研究開発、調達、製造を含むバリューチェーン全体を新興国市場に置くことが望ましいです。 最低コスト生産にロックインする 超低価格を実現するためには、コストをできる限り削る必要があります。そのため、適切な設計と製造能力を持つ最低賃金拠点を選ぶことが大切になります。 新しいマーケティングと営業手法を用いる たとえ従来の手法を諦めることになっても、なるべく低コストを維持しなければいけません。そのため、新しいマーケティングと営業手法が必要になる可能性もあります。 使いやすくて修理しやすい サービスや商品が複雑で顧客が機能を理解できないということがないように、使いやすくする必要があります。加えて、サービス・プロバイダが修理に必要なリソースを持っていない可能性があるので、基本的な修理や調整を行いやすい商品にする必要があります。 バラツキのない品質を提供する 超低価格品の品質がただ十分なレベルにあるだけでなく、ばらつきをなくすことも大切です。そうすることで顧客から支持され、持続的成功が可能になります。 まとめ 今回は超低価格戦略について解説しました。 企業が超低価格戦略で適切な利益を持続的に生み出せるかは依然として不透明です。それでも、巨大な超低価格セグメントを獲得するには、抜本的な方向転換、リデザイン、大々的な簡素化、現地生産、極度のコスト意識が求められるということは明白でしょう。 プライシング・価格戦略にお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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