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効果的な割引戦略とは?セールによるマーケティングで失敗しない方法

2020/12/01 (更新日:2021/09/28)

企業が商品販売の促進のためのメジャーな手段として、割引の実施があげられます。アパレル店がシーズンオフに行うセールや、サブスクリプションサービスの導入に際しての特別割引プランもその1種です。この記事では、企業の割引戦略について解説します。


プライシングスプリント

企業が割引という戦略をとる意味

企業が、利益率をさげてまで割引を実行するのは、「顧客を動かすため」です。より商品を買ってもらいたい、より長くサービスに契約してもらいたい、などの思いから、割引を実行します。

そして、割引を実行することで、収益拡大や在庫消化などのメリットを得られるのです。

また、割引は活用次第で、安い価格で顧客にアプローチしできるうえに収益もキープしやすいという価値もあります。

値下げの場合、実施後にもとの価格に値上げすることが難しくなります。一方、割引の場合、期間が終われば、通常価格に自然と戻すことができるため、収益をキープさせやすいのです。

割引戦略のリスク

企業にとってメリットも大きい割引ですが、時にそれは企業にとって、以下のような悪い結果を及ぼすリスクがあります。

1.売上の低下

割引を行う際は、商品単位の利益を落としながらも、全体での売上増加を狙うことや、一時的に安くしてでも一度利用してもらい、そこから継続的な購買を狙うことが一般的です。

しかし、割引の度合いや対象を間違えると、販売数の増加などのメリットよりも、割引による利益率の低下が響いてしまい、収益に対して大きなダメージが与えられるリスクも持っています。

少なくとも短期的な利益率を犠牲にする割引戦略は、リスクをとる戦略であることは認識しないといけません。

2.ブランドに傷がつく

割引は、値下げにより価格帯を下げることなく安く販売する戦略ですが、それでもブランドに傷がつく可能性は存在します。

例えば、頻繁にセールを繰り返すアパレル店では、「こんなに値下げできるということは、原価から計算すると通常の価格で購入するのは損なのではないか」と思われることが考えられます。

このように、割引きをすることが、顧客に 「通常価格で買っては損になる」「売れない商品だから値引きされている」 といったマイナスなイメージを想起させてしまいます。

例えば、大手アパレル店では、40%割引を超えるセールを頻繁に打ち出した結果、インターネット上で「通常価格で購入するのは損なのではないか」「質が低いのではないか」というコメントが多く見られるようになることもありました。

実際に、ブランド毀損を恐れて、在庫を減らすために割引して売るということを避けている高級ブランドも多く存在します。

3.負担のみがかかる

割引戦略の中でも、一定期間のみ安くサービスを提供し、終了後通常価格での利用を開始する場合があります。この戦略は、割引期間で顧客をサービスのファンにすることで、顧客が通常価格でも支払うようになってもらうことが目標です。

しかし、それを達成することができなければ、企業に、無料期間の負担のみがかかることになります。特にサービスの原価が高いモデルの場合、低い利益率が大きな企業へのダメージとなり得ます。

また、割引によって購入行動を行ってくれる顧客は、機能に対してではなく価格によって選んだだけにすぎないため、競合企業の値下げによって簡単に目移りされやすく、サービスから離脱されやすい傾向にあるというデータも存在しています。

せっかく低い利益率で顧客を獲得しても、離脱されてしまっては収益に貢献されません。

割引を成功させるための戦略

割引を成功させるために活用できる戦略を6つ紹介いたします!

追加購入の経路設計

割引を用いることで、顧客の購入機会を作り、顧客との接点を持つことができます。その機会を活かすためには、他の商品の追加購入を促す経路を作ることが重要です。

例えば、キャプティブプライシングを用いて、他に必要な商品をセットで高価格で用意しておいてその購入につなげるなど、複数商品の購入につなげることができると割引の効果があったと言えるでしょう。

※キャプティブプライシング:主製品を低価格に設定し、必要な付属製品を高価格に設定する価格戦略。カミソリの本体を安く設定し、付け替え用の刃を高い価格設定する「ジレッドモデル」がその代表。
詳しくは

ボリュームディスカウントの設計

単純に割引をするのではなく、複数点商品を買った場合や、購入金額が一定の金額に達した場合に割引を適用するのがボリュームディスカウントです。

この場合、割引が適用される際に、利益が低くなるだけで終わらず、確実に高い売上を得ることができます。

長期契約割引

サブスクリプションビジネスでメジャーな割引戦略がこちらの長期契約割引です。

サブスクリプションビジネスでは、導入の際の金銭及び心理的なコストを削減するために、長期的な契約ではなく、月単位など短い期間での契約が多いです。しかし、長期間の契約を結べることは、確実な収益につながるため大きな価値があるため、積極的に長期間の契約は狙うべきなのです。

そこでよく取られている手法が、長期契約割引です。
「1年契約すると、2ヶ月分お得になる」などの、長期契約に対するお得な割引プランを用意することで、長期的な導入に顧客を誘導することができるのです。

実質割引

値段を引かずに割引で目指す効果を得る手法として、実質割引を紹介します。

実質割引とは、「今サービスを契約すると、3ヶ月間付属サービスが無料になる」のようなかたちで、値段を下げずに価値を無料で上乗せして、サービスを顧客にお得に提供する手法です。

実質割引は顧客にお得感を与え、今すぐの購入を促すうえに、付属サービスの契約更新も狙うことができます。また、単価が低くなってしまう割引と異なり、実質割引では、単価を一定確保したうえでの追加サービス提供となりますので、比較的にリスクの低い手法だと言えます。

割引数値の適正化

割引を行うにあたって、顧客の商品に対する支払意欲を把握することは欠かせません。当然、割引をしようと思う際は通常価格が、多くのターゲット顧客の支払意欲を下回っていることがほとんどです。

しかし、一体いくらなら購入してもらうのかを把握しないと、割引をしても販売数が増えなくなったり、無駄に安く販売することになったり、割引の効果が小さくなってしまいます。

そのため、顧客の支払意欲がどれほどなのか、いくら割引すると効果があるかを事前に予測しておくことが必要なのです。支払意欲を把握することには、「PSM分析」を行うことがオススメです。

ただ、小売店などで一斉割引をする際は、商品への支払意欲に応じた割引はできません。その際は、割引自体が顧客に「お得」だと認識させるような割引の数値設計が重要です。例えば、1000円前後の商品が多い店では、300円引きキャンペーンと広告するより、30%OFFと広告した方が、実際の割引額が変わらなくても顧客にお得な印象を与えられると思われます。

ブランドを低下させない打ち出し方

ブランドを低下させないように割引を打ち出すには、理由と紐づけることが重要です。アパレル店の年末セールや、SaaS企業が行っていた「新型コロナ支援キャンペーン」などがこれにあたります。

これらのように、不自然に感じないように、理由に紐づいた割引が行えると、ブランドを保った上で、安い価格で顧客にアプローチすることができます。

さらに、このように理由に基づいたキャンペーンの場合、ブランド低下を心配せずに思い切り広報することができるため、顧客にセールの情報を伝えやすく、セールが効果を発揮しやすいです。

まとめ

割引は、戦略次第で、ブランドを低下させず収益の拡大に繋げることができます。しかし、失敗するとブランドの低下と収益減退を引き起こす危険性も持ち合わせています。

ここで解説したような戦略を活用して、割引を効果的に行うことが重要です。

 

プライスハック監修

執筆者

高橋 嘉尋

プライシングスタジオ株式会社

代表取締役社長

これまでリクルートをはじめとする大手企業から中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。慶應義塾大学在学中に起業。

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超低価格戦略とは?意味、成功した企業事例、6つの成功要因について解説

2021/06/29

近年、新興国市場では超低価格セグメントが形成されています。これは極めて巨大なセグメントで「21世紀の最大の市場機会」ともいわれます。 では、どのようにしたら超低価格セグメントを獲得できるのでしょうか。今回は、その答えとなる超低価格戦略について解説していきます。 超低価格戦略とは2 超低価格戦略で成功した企業の事例2.1 タタ3 ホンダ4 6つの成功要因4.1 シンプルだがしっかりと考える4.2 現地で研究開発する4.3 最低コスト生産にロックインする4.4 新しいマーケティングと営業手法を用いる4.5 使いやすくて修理しやすい4.6 バラツキのない品質を提供する5 まとめ 超低価格戦略とは 超低価格戦略とは、新興国の超低価格セグメントの獲得を目的とした戦略のことです。この戦略では、低価格戦略よりもさらに50〜70%安い価格で商品やサービスが販売されます。 新興国の貧困層の人は、先進国では当たり前になっている一般的な製品に手が届きません。そのため、価格を極めて低く抑えることが必要になってくるのです。 また、人類の86%の年間世帯所得が1万ドル以下であるという事実から分かる通り、超低価格セグメントは無視のできないほど巨大で、「21世紀の最大の市場機会」ともいわれています。 超低価格戦略で成功した企業の事例 超低価格戦略で成功した企業について紹介していきます。 タタ インドの大手自動車メーカーであるタタは、超低価格戦略で成功している例として有名です。 特に、2008年から販売された「タタ・ナノ」は、日本円で1台約20万円ほどで、世界中から注目を浴びました。 ドイツの自動車サプライヤー9社がこの車に部品や技術を提供したのです。 そのため、超低価格にもかかわらず、西欧の主要サプライヤーの持つテクノロジーが驚くほど大量に用いられていました。 タタ・ナノ(出典:Tata Motors) ホンダ 日本の大手自動車メーカーであるホンダも、超低価格戦略で成功している例として有名です。 安さが求められるベトナムの市場にて、ホンダは「ホンダウェーブ」を日本円で約8万円で販売し、中国の競合企業からシェアを勝ち取りました。 安価のホンダウェーブ(出典:バイクブロス) 6つの成功要因 超低価格戦略で成功している企業には共通する戦略があります。ハーマン・サイモンは自身の本「Confessions of the Pricing Man: How Price Affects Everything 」の中で、超低価格戦略における成功要因を次のように述べています。 シンプルだがしっかりと考える 企業は製品を分解して必要最低限のものに留めなくてはならないが、単純化しすぎて不具合が生じるようではいけません。そのため、最低限の品質を考慮する必要があるのです。 現地で研究開発する 現地のニーズに応えるため、企業は研究開発を新興国市場で行う必要があります。研究開発、調達、製造を含むバリューチェーン全体を新興国市場に置くことが望ましいです。 最低コスト生産にロックインする 超低価格を実現するためには、コストをできる限り削る必要があります。そのため、適切な設計と製造能力を持つ最低賃金拠点を選ぶことが大切になります。 新しいマーケティングと営業手法を用いる たとえ従来の手法を諦めることになっても、なるべく低コストを維持しなければいけません。そのため、新しいマーケティングと営業手法が必要になる可能性もあります。 使いやすくて修理しやすい サービスや商品が複雑で顧客が機能を理解できないということがないように、使いやすくする必要があります。加えて、サービス・プロバイダが修理に必要なリソースを持っていない可能性があるので、基本的な修理や調整を行いやすい商品にする必要があります。 バラツキのない品質を提供する 超低価格品の品質がただ十分なレベルにあるだけでなく、ばらつきをなくすことも大切です。そうすることで顧客から支持され、持続的成功が可能になります。 まとめ 今回は超低価格戦略について解説しました。 企業が超低価格戦略で適切な利益を持続的に生み出せるかは依然として不透明です。それでも、巨大な超低価格セグメントを獲得するには、抜本的な方向転換、リデザイン、大々的な簡素化、現地生産、極度のコスト意識が求められるということは明白でしょう。 プライシング・価格戦略にお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

低価格戦略とは?意味、成功した企業事例、11つの成功要因、実施する際の注意点

2021/06/09

企業のポジショニングを決める上で、低価格と高価格のどちらを選ぶかは最も重要な意思決定になります。低価格と高価格について、どのようにして判断するのが良いのでしょうか。 今回は、低価格戦略で成功した企業事例、成功要因を紹介していきます。 高価格戦略の詳しい記事はこちら。 高価格戦略とは|成功要因について事例を紹介しながら解説 高価格戦略をご存知でしょうか。高価格戦略とは、商品やサービスの質を限りなく高め、それに伴った高い価格設定を行うことで売上を上げる価格戦略です。 この記事では高価格戦略について、事例を紹介しながら…… 低価格戦略とは2 低価格戦略で成功した企業2.1 H&M2.2 アマゾン2.3 QBハウス3 10つの成功要因3.1 最初から低価格で始める3.2 効率性を重視する3.3 妥当なレベルでかつバラツキのない品質を約束する3.4 コア製品に特に集中する3.5 高成長と高収益を重視する3.6 借金を避ける3.7 できる限り自社でコントロールする3.8 広告宣伝は価格に特化する3.9 メッセージを混在させない3.10 自社の役割を理解する4 低価格戦略をとる際の注意点5 まとめ 低価格戦略とは 低価格戦略とは、競合他社よりも相対的に低価格で製品やサービスを提供し、マーケットシェアを獲得する戦略のことです。コストリーダーシップ戦略ともいわれます。この方法は製品が大量に生産でき、かつコモディティ化が進んだ製品によく使われる戦略です。 一般的に、低価格で提供すると利益率は低くなってしまいます。そのため、短期的には利益を得ることはできませんが、長期的に利益を得ることができます。 低価格戦略で成功した企業 H&M スウェーデン発のアパレルメーカーであるH&Mは、低価格戦略で成功している例として有名です。 例えばH&Mでは、基本的にTシャツは1000円から2000円程で、かなり低い価格設定となっています。賃金が安い国に生産拠点を置くなどの工夫をし、徹底的にコストを削減することによって低価格を実現しています。 (出典:WWD) アマゾン ECサイトで有名なアマゾンも低価格戦略で成功を収めた例として有名です。 出品業者の膨大なデータから、売れ筋商品をあらかじめ判断し、その商品を大量に入荷して直販するというやり方で低価格を実現しています。 現在日本国内ではEC業界トップの売り上げを誇っています。 (出典:amazon) QBハウス ヘアカット専門店のQB ハウスも低価格戦略が成功している例として有名です。QB ハウスではカット一回1200円という価格が設定されています。 従来の理髪店とは違い、カットのみ行い、シャンプーや髭剃りを行いませんが、低価格や短時間などの手軽さで、顧客満足度を高く維持しています。 (出典:千代田より) 10つの成功要因 低価格戦略で成功している企業には共通する戦略があります。ハーマン・サイモンは自身の本「Confessions of the Pricing Man: How Price Affects Everything 」の中で、低価格戦略における成功要因を次のように述べています。 最初から低価格で始める 成功している低価格企業はいずれも、最初から低価格と大量販売に専念しています。多くの場合、根本的に新しいビジネス・モデルを作り出しているのです。高価格帯や中間帯の価格ポジションから低価格へ転換して成功した企業はほとんどありません。 効率性を重視する 成功している低価格企業はいずれも、コスト効率やプロセス効率に極めて優れており、低価格にしながら、申し分ない利益率や利益総額を享受できています。 妥当なレベルでかつバラツキのない品質を約束する 低価格で提案しても、粗悪でバラツキのある品質だったならば、おそらく成功しないでしょう。持続可能な成功には、妥当なレベルで一貫性のある品質が求められます。 コア製品に特に集中する 格安会社に対してよく「ノーフリル」という言葉が使わます。付帯サービスがなく、基本的なサービスのみを提供することです。重要な顧客価値を危険にさらすことなく、コストを節減することが重要です。 高成長と高収益を重視する 高成長と高収益を重視することは大切です。これによって企業の規模が拡大することによって生み出される利得を最大限に活用できます。 借金を避ける 銀行借入れや金融市場からの資金調達を検討するのはごく稀で、それよりも自己資金やサプライヤーズ・クレジット(輸出延払金融)に依拠します。 できる限り自社でコントロールする これは自社ブランドしか扱わないことを意味し、アルディなどは品揃えの90%以上を自社ブランドが占めています。バリューチェーン全体にも強いコントロールを利かせています。 広告宣伝は価格に特化する 低価格戦略ではコストを持続的に削減して行く必要があります。そのため、広告宣伝は価格に特化する必要があるのです。また場合によっては、広告すらしないこともあります。 メッセージを混在させない 「低価格と高収益」で成功しているほぼすべての企業が、一時的なプロモーションを多用する「ハイロー(High&Low)戦略」ではなく、「エブリデー・ロープライス(EDLP)戦略」を堅持しています。 自社の役割を理解する ほとんどの市場は「低価格と高収益」で戦える企業の数は限定されており、わずか1,2社ということが多いのです。そのため、自社のポジションを理解して置く必要があるのです。 低価格戦略をとる際の注意点 持続的にコスト削減を行わないと、長期的な収益が見込めなくなってしまいます。企業が低価格で一貫して高い利益を達成することは可能ですが、それは競合他社に対して、明確かつ顕著かつ持続可能なコスト優位を持つ場合に限られるのです。 まとめ 今回の記事では低価格戦略について解説しました。低価格戦略は持続的にコスト削減をおこなって行く必要があります。 プライシング・価格戦略にお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。